第六十七話 無惨に散る地上最強の男 〜地上最強のソウド編〜
〜地上最強のソウドの視点〜
――――終焉の大地ゴイサ、デュラ荒地――――【現在時刻、8時57分】
「むむっ!? 何やら、”強者”の気配を肌で感じ取ったぞぉ……?」
彼の名は、通称『地上最強のソウド』……。
彼は、自身を超える能力を持つ”好敵手”を日夜求め続けていた……。
そして今まさに、好敵手と出逢いたいと言う彼の願いが、叶おうとしていたのだ―――。
クンクン、クンクン……。
「……ん? んん〜ッ!? 匂う……匂うぞぉ〜……ッ! とても強え奴の匂いが、プンプンしやがるぞぉーーッ!?」
ソウドは強者の接近に気が付くと、すかさず自身のスキル【好敵手の香り】を発動した―――!
「こりゃあ、辛抱堪らんぜッ! 俺の方から出向いてやるかッ!」
すると、ソウドは歓喜に打ち震えながら、その匂いの下へと猪突猛進に駆け出してゆく……!
ダッダッダッ!
「……! 見えたッ! あの『紳士風の男』から、とてつもない程の”殺気”が漏れ出しているぜぇッ!」
血気盛んな様子のソウドは、紳士風な男の目の前にバッと立ち塞がると、ソウドはニヤリと不敵な笑みを浮かべながら声を発する―――。
「ヘヘッ……! 突然、すまねぇなッ! 俺は、アンタと一戦交えたくてよぉッ?」
ソウドはギラギラとした目付きで、その漆黒の紳士の顔を睨み付けた―――。
すると、その漆黒の紳士の隣に居る青年が、何やら焦った様子で喋り出す―――。
「ク、『クリス』さん……! ど、どうしますか……この状況……ッ!? 喧嘩を売られちゃいましたよっ!?」
「フフフ……。 落ち着きなさい『晋也』さん。 先ずは、彼がワタクシ達の”仲間”になってくれるかどうかを確認しましょうかねぇ……」
クリスが、喧嘩を吹っ掛けて来たソウドに対して交渉を試みようとした所、咄嗟に『ロンバン』がクリスの事を呼び止めた。
「おいおい、待てよクリス。 一応伝えておくが、アイツは『地上最強のソウド』って奴で、おまけに《犯罪取締連盟》に所属してた筈だぜぇ〜? 詰まり、アイツは完全に”俺達の敵”だから、交渉すんのは無理だっつーの!」
「フム、それは困りましたねぇ? それでは、彼の”処遇”をどう致しましょうかねぇ……?」
「あー、じゃあさー? クリスのスキルの【瞬殺の審判】で、サクッと殺しちまったら良いんじゃねぇか?」
「確かに、ロンバンさんの言う通りですねぇ。 それに、こんな場所で時間を食ってる場合でも御座いませんしねぇ……」
「そうそう。 んで、『アイグ』と『ムゴズ』もそれで良いかぁ〜?」
ロンバンが振り返りながらアイグとムゴズに確認を取ると、二人はコクリと頷きながら同意した―――。
「フム、どうやら全員の意見が一致した様ですねぇ? ではでは、ソウドさん? ”覚悟”は宜しいですかねぇ?」
すると、その一連の会話を聞いていたソウドが、苛ついた口調で話に加わって来る。
「オイオイ、まさか俺の事を”殺せる”とでも思ってるんじゃあ、ねぇだろうなぁ〜ッ? へへへ、イイぜぇ、上等だぜぇッ! オラッ、殺れるモンなら、殺ってみなッ!」
すると、啖呵を切ったソウドの行動を、ケラケラとロンバンとアイグの二人が笑い始めた―――。
「ケヘヘ、おいおいコイツ面白ぇから、もうちょい泳がせようぜクリスぅ〜?」
「はははっ! にしても、こんなにも”命知らず”な人が居るもんなんだねぇ〜?」
その二人の言葉を聞いた途端に、威勢を張っていたソウドも思わず不気味に感じ始める―――。
〈……あぁ? なんだぁコイツ等……?〉
〈ケラケラと馬鹿にした様に笑いやがって……。 まさか、この取り巻きの奴等も”ヤベェ奴等”なのか……?〉
疑問に思ったソウドが、改めて自身のスキル【好敵手の香り】を発動すると、ソウドは”驚愕の真実”に気付いてしまった―――。
〈なっ!? そうか、何処かで聞いた名だとは思ったが、奴は《夢幻旅団》の一員の、『通り魔ロンバン』……ッ! 更に《悪鬼旅団》の『血塗れのアイグ』に『参謀ムゴズ』も居るじゃねぇかよ……ッ!〉
〈……なるほど、夢幻旅団と悪鬼旅団と言う強者を取り巻きにしちまう程に、このクリスって奴は、相当”強ぇ”みてぇだな……〉
相手の立場を理解したソウドは、ゴクリと固唾を呑むと、覚悟を決めた眼差しで改めて勝負を挑んだ―――。
「オッシャッ! ならば、こちらも”全力”で行かせて貰うぜッ! この俺様、『地上最強』と謳われたソウド様の相手になっちまったと言うテメェ自身の”不運”を、地獄の底で精一杯悔いて呪い続けるんだなぁッ!?」
然し、そのソウドの決死の言葉は瞬時に”否定”された―――。
「あ? 地獄の底に落ちんのはテメェの方だろ? だって、お前は後”数秒の命”だかんなぁ?」
「その通りですよ。 ソウドさん? 貴方は数瞬の後に、ワタクシの手によって、”無様な最期”を遂げるのですよ……?」
まるで煽ったかの様な口調の、クリスとロンバンから発せられた言葉を聞いた地上最強のソウドは、無性に腹立たしくなったものの、”とある恐怖の言葉”が脳内を反響し続けていた―――。
「……待て、俺の命が後数秒……だとぉッ!? テメェ等、一体なに言って――――」
「【瞬殺の審判】」
ブチュッ……。
「……………――――あぁ……?―――――なんっ」
ブチュバキッバチュブチュッ……!
パンッッッ!!!
そのクリスの詠唱を聴いた瞬間、地上最強のソウドの首から上が、まるで風船が破裂したかの様にパンッ……と音を立てると、その直後に『ソウドだったものの肉塊』が地面に向かってボロボロッと崩れ落ちていった―――。
「うへーッ! 肉塊が、こっちにまで飛び散って来てらぁ! きったね〜ッ!」
ロンバンは、ソウドの亡骸を無邪気に踏む付けながら高笑いを上げる……。
「フフフ……! 辞世の句も言えないとは、本当に無様な最期でしたねぇ? それでは皆様、邪魔者も蹴散らした事ですし、先にへと進みましょうか」
「クリスさん……。 こんなにも、あっさりと《地上最強》と謳われている男を一瞬で殺しちゃうだなんて、強過ぎでは……?」
晋也は余りもの”瞬殺劇”に思わず絶句しながら、前を歩くクリスの後ろ姿を眺め続けた――。
「フフフ……! ワタクシ達の快進撃は、そう簡単には止められませんよ……。 さぁ、目的地の『バーシト王国』迄、後もう少しですよ……」
「そ、そうだな……! 俺も、クリスさんに負けてられない……ッ! 俺も、もっと気を引き締めないとな……ッ!」
「ケヘヘ、”良い顔”になって来たじゃねぇかよ晋也ァ〜?」
こうして、犯罪取締連盟の一員でも有る『地上最強の男』を、あっさりと殺して仕舞った死神クリス達は、バーシト王国へと足早に向かうのだった―――。
【現在位置】
【終焉の大地ゴイサ、デュラ荒地】
【現在の日時】
【4月8日 9時7分 春】
【死神クリス】
【状態】:健康
【装備】:漆黒のシルクハット 漆黒の紳士服 漆黒のステッキ
【道具】:水晶玉
【スキル】:瞬殺の審判
【思考】
1:彼も、犯罪取締連盟の一員でなければ、手駒に加えたのですがねぇ……。
2:まぁ、彼とは御縁が無かったと言う事で……。
3:フフフ……!
【基本方針】:バーシト王国へと向かう。異世界を滅ぼす。天界を乗っ取る。仲間達との約束は守る。犯罪取締連盟と英傑旅団を壊滅させる。
【田川晋也】
【状態】:驚愕
【装備】:学校の制服 通貨袋
【道具】:金貨30枚 銀貨28枚 銅貨30枚
【スキル】:極度の不幸体質
【思考】
1:地上最強の人が、クリスさんの一声だけで、一瞬で肉塊に……。
2:やっぱり、クリスさんは凄いや!
3:クリスさんを頼れば、直ぐに琴子の事を見つけ出せるかも……!
【基本方針】:バーシト王国へと向かう。琴子を探す。異世界を滅ぼす。
【通り魔ロンバン】
【状態】:血が疼く
【装備】:黒色の服 赤色のマント 殺戮の剣
【道具】:包帯
【スキル】:一瞬の辻斬り
【思考】
1:ヘッ、クリスが直ぐに殺しちまうから、身体中の血の騒ぎが収まらねぇや。
2:まぁ、良いさ。
3:この世界には、ヤベェ奴がわんさかと居るからなぁ……ッ!
【基本方針】:バーシト王国へと向かう。血が疼くので誰かを殺したい。
【参謀ムゴズ】
【状態】:冷静
【装備】:眼鏡 神父の服
【道具】:バーシト王国の資料
【スキル】:虚言の祈り
【思考】
1:確か、バーシト王国の民達は基本的には善人が多かった筈……。
2:詰まり、従順な人達が多いので、此方から敵意を見せない限りは大丈夫な筈……。
3:なので、バーシト王国に辿り着く前に、ロンバンの鬱憤を晴らす相手を見付けなくては……。
【基本方針】:バーシト王国へと向かう。バーシト王国に辿り着く前にロンバンの鬱憤を晴らさせる。
【血塗れのアイグ】
【状態】:退屈
【装備】:血塗れのコック帽 血塗れの料理人服 血塗れの包丁 小さな袋
【道具】:金貨6枚
【スキル】:抜群の切れ味
【思考】
1:眠い……。
2:疲れた……。
3:留守番したかったなぁ〜……。
【基本方針】:バーシト王国へと向かう。何か料理を作りたい。
【地上最強のソウド死亡確認】
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〜謎の二人組の視点〜
クリスの手による瞬殺劇を、遠くの方から静かに眺め続けていた二人組が居た―――。
「ほう……。 あの『地上最強の男』を瞬殺とは……! これは、今後も監視を続けねばな……。 お前も、そう思うだろ『ナルヒンゴ』?」
「オレモ! ソウ、オモウ! 『ゼランガ』! ガウガウ!」
「ふふっ、そうか。 なんか、お前と居ると心が安らぐよ……。 そんじゃ、そろそろ連絡をしなくちゃな……」
『特殊機密偵察部隊隊員』のゼランガとナルヒンゴは、死神クリス達の監視を続行しながら、密かに『本部』に連絡を入れ始めるのだった―――。
【特殊機密偵察部隊隊員No.05ゼランガ《竜人族》】
【状態】:冷静
【装備】:サングラス 青の偵察服 レーザー銃 袋
【道具】:バッテリー5個 金貨10枚
【スキル】不動の見切り【効果】:相手からの攻撃を、その場から動く事無く躱し続ける事が出来る。
【思考】
1:クリスか……。
2:どうやら、アイツは人間では無いらしいな……。
3:とても危険な奴だな……。
【基本方針】:死神クリス達を監視する。本部にクリスの事と、地上最強の男が殺害されたと言う事を報告する。
【特殊機密偵察部隊隊員No.06ナルヒンゴ《バルルーナ族》】
【状態】:興奮
【装備】:サングラス 黄色の偵察服 ナイフ 袋
【道具】:金貨30枚
【スキル】石化光線【効果】:相手を石化させる事が出来る特殊な光線を、目から何時でも出す事が出来る。
【思考】
1:スゲェ!
2:ヤベェヤツ、バッカリダナァ〜!
3:ガウガウッ!
【基本方針】:死神クリス達を監視する。弟の『バーバル』に、自分が生きていると言う事を伝えたい。




