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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第六十六話 イラル王国に到着! 〜餅木歩夢編〜


〜餅木歩夢の視点〜


――――イラル王国――――【現在時刻、9時30分】



 悪名高き《夢幻旅団》の一員である『道化師ヨイシー』の護衛の御蔭で、無事にイラル王国へと辿り着いた歩夢と雅隆は、目を爛々と輝かせながら、王国内に並んだ露店や道行く人々の姿を興味津々に見渡してゆく。


 「おぉ……っ! これがイラル王国で御座るか……! 其処ら中に、とても強そうな雰囲気を醸し出している”王国騎士団”が歩いて居ますなぁ〜っ!」


 「わぁ〜っ! 甲冑が格好良いな〜! 僕も、いつか騎士になってみたいな〜っ!」


 そんな目新しい光景を見た事によって、すっかりと浮かれている様子の歩夢と雅隆に対して、バルフも意気揚々と会話に加わって来る―――。


 「お、歩夢も騎士とかに憧れたりすんのか! へへっ、実は俺も昔は騎士に憧れてたんだぜぇ〜っ! まっ、俺は《犬鬼族》に産まれた時点で、その騎士の道は諦める他に無かったがな……」


 すると、何やら悲しそうな表情を浮かべているバルフに対して、歩夢が困惑した様子で慌てて聞き返した。


 「えっ!? ど、どうして犬鬼族だと騎士の道を諦めなくちゃいけないんですかっ!?」


 すると、バルフは腕を組みながら、ゆっくりと歩夢達に向かって語り始めた―――。


 「あぁ、実はな簡単に言うと”2つ”程の特殊な事情が有るんだ……。 一つは、シンプルに犬鬼族っつー種族は、この《自動翻訳装置》を装着しねぇとそもそも他種族と、まともにコミュニケーションが取れねぇって事だな……」


 バルフは、首元の首輪型の自動翻訳装置を撫でながら、物悲しげに呟いた―――。


 〈そっか……。 僕は【慈愛の涙】と言うスキルを持っているから、首輪型の自動翻訳装置を着けていなかったバルフさんと御話しする事が出来たけど、普通の人じゃ無理だもんね……〉


 歩夢は不思議と納得した様子で沁み沁みと頷いた―――。


 「成程、確かにそれは”致命的な問題”で御座るなぁ……。 然し、今はその自動翻訳装置を着けている手前、今からでも騎士への道を目指す事は決して遅くはあるまいて?」


 と、雅隆が閃いた様に提案すると、バルフは首を横に振りながら直ちに”否定”する―――。


 「いんや、それは”もう一つの理由”の所為で、無理なんだ……」


 「そ、その……。 もう一つの理由って……?」


 歩夢は、ゴクリと唾を呑み込みながら、バルフに問い掛けた―――。


 然し、思い詰めた様子のバルフは、歩夢達にもう一つの理由を話すのを止める事にした―――。


 「……いや、また今度話すわ。 ちょっと、”重い話”だからな……」


 「まぁ、バルフ殿が話したくないのであれば、無理には……」


 「だね……。 バルフさんが僕達に話したくなったタイミングで改めて聞けば良いもんね……」


 然し、そんな気遣う様子の歩夢と雅隆とは対照的に、そのバルフの話の続きが気になっている様子のヨイシーが、御立腹した様子でバルフに向かって問い詰め始める―――。


 「およよ〜っ!? そんな意味深に切り上げられた日にゃあ、この先の話が気になって気になって、ボクちんは”夜と昼と朝”しか眠れなくなっちゃいますよぉ〜っ!?」


 「寝てばっかじゃねぇかよッ! 兎にも角にも、続きはまた今度な……ッ!」


 「おっよよ~〜ッ!? そ、そんなぁ〜……」


 すると、バルフに怒鳴られて落ち込み気味のヨイシーに対して、歩夢が笑顔でナダめ始めた。


 「まぁまぁ、確かにヨイシーさんの気になる気持ちは分かるけど、バルフさんの方から話し出してくれるのを気長に待とうよ。 ねっ、ヨイシーさん?」


 「……まぁ、確かに無理矢理”トラウマ”を呼び起こして聞き出す程の話でも無いかぁ〜。 分かったよ。 歩夢君の顔に免じて、ここはボクちんの方が折れる事にするよ〜」


 「ふふっ、ありがとねヨイシーさんっ☆」


 すると、ヨイシーを無事に説得する事に成功した歩夢は、バルフの方に振り返りながらエヘヘっと笑みを浮かべると、バルフは歩夢の頭をワシャワシャと撫でながら感謝の言葉を述べた。


  「ありがとな歩夢。 そんじゃ、気を取り直して、このイラル王国内を心行くまで"探検"しようじゃねぇかッ! ついでに、ヨイシーの事も夢幻旅団の団員の割には優しい奴だって事もイラル王国内に広めてやっからな!」


 「おぉ〜っ! ボクちんの為に、ありがとね~っ!」


 「ふむふむ、そうと決まれば、観光がてらイラル王国内を隈無く見て回りましょうぞぉ〜っ!」


 「うんっ! いっぱい楽しもうねっ!」


 かくして暫くの間、歩夢達は興奮気味にイラル王国内を駆け巡りながら楽しく観光をしていった―――。



――――イラル王国、噴水広場――――【現在時刻、9時50分】



 すると、ふと”一人の通行人”を目撃した歩夢は、ギョッとした様子で慌ててバルフに問い掛けた。


 「うひゃーっ!? 何あの身体が燃えてる人は〜っ!?」


 「んー? あぁ、あれは《炎人族》の奴だな。 炎人族ってのは何時もあんな風にメラメラと燃えてるんだよ。 危ねぇから余り近付かねぇ方が良いぞー?」


 「およよ~。 下手すりゃ燃え移っちゃうからねぇ〜。 いやぁ〜、怖いねぇ〜?」


 ヨイシーが悪戯イタズラっぽく歩夢に向かって声を掛けると、歩夢はワクワクした様子で鼻息を荒くした―――。


 「へぇ〜! 流石は沢山の人々が集まる”王国”と言うだけの事は有るねっ! 僕が初めて見るような種族がいっぱいだね〜っ!」


 「そりゃ、そうですぞ歩夢殿? そもそも拙者達は、つい昨日この異世界に転生して来たばっかで御座るからなぁ? だから、拙者達が初めて見る種族がいっぱい居ても、何ら可笑しくは無いで御座るよ?」


 「あ、そう言えばそうだったね! こりゃあ盲点だ! テヘペロっ☆」


 と、歩夢はテヘッと可愛らしくベロを出しながら自分の頭をコツンッとコミカルに叩いた。


 「おや、歩夢殿? それって、現世で流行っていた”アイドルのネタ”で御座るなぁ〜?」


 歩夢が披露したのは、現世で国民的アイドルとして名を馳せている『板橋慶美イタハシケイミ』の十八番のネタだった―――。


 「良く分かったね雅隆君っ♪ これって結構、学校中で流行ってたんだよね〜っ♪」


 すると、もう一度歩夢はコツンッと軽く自身の頭を叩きながら変顔を決めた。


 「おっ! その変顔も板橋殿がバラエティ番組の時にする表情そっくりですなぁ〜っ!」


 すると、その歩夢の間抜けな姿を見ていたヨイシーが、突如として腹を抱えながら笑い転げた。


 「ウヒョヒョヒョッ!! アッへへへへへッ!!」


 「おやおや、どうやら板橋殿の鉄板ネタが異世界人にも通用したみたいですなぁ〜?」


 「あれっ!? そ、そんなに笑い転げる程に面白い事かな、これって!? ここまで笑われると、逆に恥ずかしくなって来ちゃうなぁ〜……」


 すると、ヨイシーはピタッと真顔に戻りながら冷静な口調で返答し始める―――。


 「……およよ? ボクちんの”ビジネス笑い”は要らないのですか?」


 「ビ、ビジネス笑い!? いっ、要らないよっ! そんなのはッ!!」


 「……板橋殿の鉄板ネタは、別に異世界人に通用していた訳では無かったみたいですなぁ」


 「フンッだ! 恥ずがしがって損したよ全くッ!」


 歩夢はヨイシーに対して若干腹を立てたものの、咄嗟に今度は違う人物の方ヘと指を差し始めながらバルフに質問した。


 「じゃあ、あの……。 あの目の前に居る”お魚と人間のハーフ”みたいな人は、どんな名前の種族なんですかぁ〜?」


 「お、アイツは《魚人族》と言う種族だぜ。 確か、昔は魚人族って種族は、他種族からかなりの”酷い差別”を受けていたみたいだが、10年前に『ブリギッテ』と言う名の魚人族の男が《平和維持連盟》に向かって直接、"とある交渉"を持ち掛けてな……?」


 「とある交渉って……?」


 「あぁ、その交渉内容って言うのは、かなりの"ショッキングな内容"なんだが……。 端的に言うと、そのブリギッテと名乗った魚人族の男は、突如として平和維持連盟の奴等の目の前で、自身の片腕と片足を切り落とした上に、片目を抉りだした状態で、『この俺の醜い姿を今すぐに世界中に向けて生中継をしろッ』……と言った、正にとんでもねぇ交渉を持ち掛けたらしいんだよなぁ……?」


 「えぇっ!? 一体、なんでそんな事を……ッ!?」


 「まぁ、俺が思うに……。 恐らく、他種族からの酷い差別に耐え兼ねたブリギッテが、苦肉の策で編み出した”最後の抵抗手段”だったんだよ……。 世界中に傷付いた自身の姿を見せる事が出来れば”世論を変えられる”と思ったんだろうな……」


 「世論を変えられる……ですと?」


 「あぁ、そうだ。 魚人族の男が無修正の生中継にて、片腕と片足を切り落とした状態の上に、片目を抉り出して悲痛な叫びを上げながら、のたうち回り苦しむ様を全世界に流す状況を作り出す事が彼の目的だったんだ……」


 「……凄い話ですね、それって……」


 壮絶な魚人族の男の話を聞いた歩夢と雅隆は、神妙な面持ちで話に聞き入った―――。


 「そして、このブリギッテの哀れな姿が平和維持連盟に所属している『五島洋一』の会社である《UACユニーク・アイテム・カンパニー》本拠地から延びている”電波塔”を通じて、要求通りに茶の間に流されたんだがな?」


 「良かった! 無事にブリギッテさんの要求を聞き入れてくれたんだねっ!」


 「平和維持連盟も捨てたもんじゃねぇって事だな。 そんで、その生中継時に、ブリギッテは世間に向かってこう言い放ったんだよ……。 『この俺の姿を見ても尚、未だに貴様等は考えを悔い改める事も無く、魚人族と言う種族を蔑ろにするのか……?』 ってね……」


 「おぉ……っ!」


 バルフから、『ブリギッテ』と言う名の魚人族の漢の”逸話”を聞かされた雅隆と歩夢は、思わずビリリっと電撃を食らったのかと錯覚してしまう程に強く感銘を受け始める―――。


 「なるほど……。 そのブリギッテと言う『漢』の覚悟の御陰で、魚人族の差別が世界中から消え去ったと言う事ですな……?」


 「いやぁ〜、痺れるねぇ〜……っ! 僕、ブリギッテさんのファンになっちゃうかも……っ! 因みに、そのブリギッテさんは、今も元気なんですか?」


 と、歩夢が嬉々とした様子で問い掛けると、バルフはコクッと頷きながら笑顔を見せた。


 「安心しな? 今話したブリギッテと言う奴は今も”存命”しているぜ? そんでその事件を切っ掛けとして、奴は昔からの念願の夢だった”傭兵団”に晴れて入団する事が出来てな? んで、今は義足と義手と渋いサングラスを掛けながら、皆の為に今も必死に働いて居るんだとさ」


 「ほぉ~? ブリギッテ殿は、今現在は傭兵と言う職種に就いていると言う事ですな? と言う事は、そのブリギッテ殿と拙者達が出会う事も出来ると……?」


 「あぁ、大金さえ払っちまえば、直ぐにでもブリギッテを雇う事が出来るぜぇ? おっ、そうだな……。 良い事を思い付いたぜッ! この国で依頼をこなして、大金を手に入れたら、そのブリギッテと言う人物を雇ってみても良いかもなっ!」


 バルフは、ニヤニヤとほくそ笑みながら、雅隆と歩夢の肩に腕を回す―――。


 「えっ!? そんな簡単に雇えるの!? よ〜し、そう言う事なら、今直ぐにでも冒険者ギルドに向かって、依頼を達成して大金を稼ぐぞ〜っ!」


 「拙者もブリギッテ殿に直接、その時の御話しを聞いてみたいで御座るからなぁ……! では、早速冒険者ギルドへと向かいましょうぞっ!」


 「およよぉ〜? なんかギルドに行く流れですねぇ〜? それじゃあ、ボクちんも空気を読んで冒険者ギルドへと付いて行く事にするよぉ〜っ!」


 「おぉ、そうしてくれると助かるぜッ! ヨイシーっ!」


 と言う訳で、歩夢達はブリギッテと言う”伝説の傭兵”を雇う為にも、先ずは大金を稼ぐ為に《冒険者ギルド》にてクエストを受注しに行くのだった―――!



【現在位置】

【イラル王国】


【現在の日時】

【4月8日 10時9分 春】



【餅木歩夢】

【状態】:興奮

【装備】:フリフリのワンピース 女性用の下着 鞄

【道具】:鞄の中に様々なコスプレ服

【スキル】:慈愛の涙

【思考】

1:ギルドのクエストを達成するぞーっ!

2:最初は、討伐以外のクエストから受注しようね……!

3︰コツコツと依頼をこなして武器や防具を揃えてから、討伐クエストを受注しようねっ!

【基本方針】:傭兵ブリギッテを雇う。先ずは簡単な依頼から受ける。



【大宮雅隆】

【状態】:興奮

【装備】:眼鏡 忍と書かれている白の服 リュック 自動翻訳装置

【道具】:リュックの中に様々なコスプレ服

【スキル】:永遠の瞬間移動

【思考】

1:大金を稼ぎまくるで御座るよぉ〜っ!

2:拙者達は、一文無しで御座るから、どんな依頼でも受けるで御座る!

3:但し、誰かが命を落とす危険性が有る依頼だけは、なるべく引き受け無いで御座るよぉ〜っ!

【基本方針】:傭兵ブリギッテを雇う。大金を稼ぐ。依頼内容を良く考えてから依頼を受ける。



【バルフ】

【状態】:やる気満々

【装備】:威嚇用の爪と牙 袋 自動翻訳装置

【道具】:母の写真 催眠玉5個 回復瓶10個

【スキル】:勇気の咆哮

【思考】

1:うしっ! 力仕事はドーンと来いだぜ!

2:でもまぁ、安全の為にも討伐クエストは、後回しだなぁ……。

3:歩夢達が危ねえもんな!

【基本方針】:傭兵ブリギッテを雇う。ギルドに行って依頼を受ける。危険なクエストは受けない。



【道化師ヨイシー】

【状態】:微笑み

【装備】:黄色と水色の道化師の服 道化師の袋

【道具】:ナイフ10本 赤色のガラス玉、青色のガラス玉、緑色のガラス玉、各10個

【スキル】:理想の道化師

【思考】

1:冒険者ギルドねぇ……?

2:ふむ、ブリギッテですか……。 魚人族の英雄ねぇ……?

3:まぁ、良いでしょう。 このままブリキッテ諸共、ボクちんの”手駒”にして差し上げますよ……。

【基本方針】:善人の様に振る舞う。自分の手配書を世界中から失くしたい。自分を慕ってくれる仲間を増やす。自分に歯向かう奴は殺す。歩夢達を手下に引き入れる。


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