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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第六十四話 白き盾マモル 〜魔王アモン編〜


〜魔王アモンの視点〜


――――楽園の大地エクラン、ビュルクナー平原――――【現在時刻、10時8分】



 ”街トルラ”へと向かっている最中の『脱獄犯ドルネイン』と『魔王アモン』と『ロスル・ル・ナータ』の3人は、周囲に警戒を配りながら慎重に歩みを進めていた―――。


 「おい、ロスル。 トルラって街に着くまで、後どのくらい掛かるんだ?」


 アモンをおんぶしているドルネインは、後ろを振り返りながらロスルに問い掛けた。


 「んーっと……。 このまま何事も無ければ、直ぐに辿り着けるかと思いますよ? 然し、だからと言って油断してはいけませんよ……。 この辺りにも、憎き《魔族抹殺連盟》の一員が僕等の事を狙って居るかも知れませんからね……?」


 〈魔族抹殺連盟……っ! ソイツ等の所為で、ベルファス様が殺されたんだ……ッ!〉


 魔王アモンは震える手付きで、ドルネインの両肩をギリギリと強く掴むと、傷跡が付く程に両肩を握られたドルネインは慌てた様子でアモンに向かって声を荒げる―――。


 「いでででッ!? お、おいッ! 急にどうしたってんだぁアモン? 何だか震えてるみてぇだが、大丈夫か?」


 「あっ! ご、御免なさいドルネインさん……っ! 決して、ワザとじゃないんです……っ! 本当に御免なさい……」


 アモンは、ブルブルッと身体を震わせながら、今にも泣き出しそうになっている……。


 「震えてるのか……アモン?」


 そして、そのアモンから発せられる振動を背中で直に感じ取っているドルネインは、直ぐ様アモンの事を気遣う。


 「おい、マジで平気か……? 一旦、休憩するか?」


 「す、すみませんドルネインさん……。 実は、その《魔族抹殺連盟》と言う名を聞いてしまうと、悔しさの余り思わず震えが止まらなく……っ」


 すると、アモンからその事を聞いたドルネインはニカッと笑いながら、ド~ンっと自信有り気に胸を張り上げた―――。


 「へへっ、な〜に安心しろって! 魔族抹殺連盟っつー巫山戯(フザケ)た連中は、このドルネイン様が直々に、あの世に葬ってやるからよぉ……!」


 〈ドルネイン……さん〉


 「心配しなくとも大丈夫だぜアモンッ! それに、俺達には『ロスル』っつー頼れる仲間も出来た事じゃねぇかよっ! まだまだ、これからだぜぇッ!」


 ドルネインは、震えているアモンの事を再び元気付ける為に、アモンに向かってニィっと憎たらしい程の満面の笑顔を見せ付けた。


 「ふふっありがとう、ドルネインさん。 うん、確かにドルネインさんは、とても強い人ですから……。 だから、これからどんなに強大な敵が相手になったとしても『きっと』勝てちゃいますよね……っ!」


 「あぁ〜? 『きっと』じゃねぇだろ? 『絶対』だろぉ?」


 ドルネインに注意されたアモンは、照れ笑いを浮かべながらドルネインに向かって訂正の言葉を発する。


 「あ、そうですねっ! 『絶対』に、ドルネインさんが勝つ……ですねっ!」


 「おうっ! ……だが、まさかこの俺様が、”魔族の王”を護衛する事になるとは、人生とは分かんねぇモンだなぁ〜」


 「僕だって、まさか今日で魔王に昇格するだなんて夢にも思っていませんでしたからね……」


 「ヘヘへ、だなぁ〜。 んで、調子はどうだ? そろそろ落ち着いて来たか?」


 〈あっ! 言われてみれば、さっきから身体の震えが止まってる……っ!〉


 ドルネインと話している内に、いつの間にか身体の震えが治まっている事に気付いたアモンは、クスッと微笑みながら感謝の言葉を述べた。 


 「ありがとうドルネインさんっ! 御蔭で震えが治まったよっ!」


 「ヘヘッ、そいつぁ良かったぜぇッ! 段々と元の調子が戻って来たじゃねぇかアモン! んじゃあ、これからは心機一転”猛ダッシュ”で街トルラへ向かって行っても、特に問題ねぇよなぁッ!?」


 〈えぇッ!? も、猛ダッシュ……ッ!? うぅ、昨日の街ルタイアに辿り着く迄の”悪夢”が蘇って来るぅ〜っ!〉


 「おいおい、無言は無しだぜぇアモンよぉ〜? ケッへへ!」


 ドルネインは悪魔的な笑みを浮かべながら、アモンを背中に抱えた状態で、今にも走り出しそうな体勢にスムーズに移行してゆく―――。


 「ウゲッ! いきなり”クラウチングスタート”の体勢に入らないで下さいってばッ!? ちょちょちょッ!? ま〜た、あの乱暴な走りをするんですか!? 嫌ですよッ! ちょっと、今すぐにでも降ろして下さいよ〜ッ!」


 「ッるせぇぞアモンッ! テメェも《漢》だろぉッ! この俺様の”暴走特急”ぐれぇ我慢してみやがれってんだぁッ!!」


 「い、嫌だァァアアッッッ!!!」


 すると、そのジタバタと暴れているアモンと、怒り狂うドルネインのやり取りを、微笑ましそうに眺めていたロスルは、ふふっと笑いながら会話に加わってゆく。


 「うんっ、良かった。 すっかり元気になりましたね、アモン君……。 それにしても、ドルネインさんは本当に凄い御方ですね。 貴方の心からの『熱意』が、しっかりとアモン君の心に届いたみたいですからね……!」


 「あぁ? んー、『熱意』か……? まぁ、俺は小難しい事とか良く分かんねぇから、『ノリとパッション』で押し切っているだけだけどな? 理屈とか良く分かんねぇし、やっぱ俺自身が思った事を、そのまま口に出して言うのが一番って思ってよぉ?」


 「……いえいえ、その思った事を言えるのが『貴方の凄い所』なんですよ。 普通は他人に遠慮とかしちゃったりして、それの所為で余計に話が拗れたりしちゃうんですけど、ドルネインさんって、無自覚にもその現象を上手い事”回避”出来ているんですよね……」


 〈確かに、言われてみればそうかも……。 ドルネインさんは《夢幻旅団》に所属している”指名手配犯”なのに、正義の心を持つロスルさんと仲良くなれている。 それって、案外凄い事だよね……〉


 すると、ロスルから褒めちぎられたドルネインは、嬉しそうに表情を崩しながらロスルに問い掛ける―――。


 「なんだよ? さっきから、えらい褒めてくれるじゃねぇかロスルゥ〜? もしや、何か俺に頼みたい事でもあんのかぁ〜?」


 「いえ、ただ単に”感心”しているだけですよ。 僕も、《英傑旅団》の端くれとして見習わなくちゃいけないなって」


 「ヘッ、あの正義の軍団である『英傑旅団員』のお前が、悪の軍団である『夢幻旅団員』の俺様に、感心するだなんて、何だか可笑しな話だが、まぁ……いいかッ! あんがとなロスルッ! ガッハッハ!」


 「いやぁ、改めて言われると御恥ずかしい限りですよ〜っ! あっはっは! 確かに、ちょっと”特殊な状況下”ですよねっ!」


 「だなッ! ガッハッハッハ!!」


 ドルネインとロスルは、お互いの顔を見合わせながら盛大に笑い出した。


 そのやり取りをドルネインの背中越しから聞いていたアモンも、クスクスッと笑みを浮かべる。


 「ふふっ、なんか良い感じの雰囲気ですね〜! ……って、あれっ? ド、ドルネインさんとロスルさんっ! あ、彼処を見て下さいっ! 何やら、”怪しい人影”が……っ!?」


 すると、”何か”に気が付いた様子のアモンが遠くの方を指差しながら、ドルネインとロスルに向かって注意を呼び掛けた―――。


 「ん? あぁ、本当だな……? 確かに、『大きな白い盾を持ってる人物』がコッチに向かって近付いて来てるなぁ……?」


 「彼は一体何者なのでしょうか……? ドルネインさん、一応”戦いの準備”は出来ていますか……?」


 ロスルは、咄嗟に鞘から剣を抜き出すと、すかさずドルネインに問い掛ける―――。


 「あぁ、一々お前に言われなくとも、とっくに出来てるぜぇ? それに俺レベルにもなると、背中に誰かを背負っていようが、特に戦闘に支障は来たさねぇんだぜぇ……。 ヘヘッ!」


 〈でも、激しく動き回られるのは、僕が酔うから嫌だなぁ〜……〉


 アモンは苦笑いを浮かべながらドルネインから目を背ける―――。


 「まぁ、僕もなるべく我慢しますよ……」


 「おっし! 漢を見せたなアモンッ!」


 こうして、ドルネインとロスルの二人は一斉に謎の人影に対して睨みを利かせながら、ゆっくりと身構え始める―――。


 「……ロスル、一応聞いとくが近付いて来るアイツって、魔族抹殺連盟の一員か?」


 「さぁ、どうでしょう……? 少なくとも、”確定的な情報”が無い今、彼に対しての警戒を解く訳にはいきませんね……」


 「だな……。 それに、見た限りだと”白い甲冑”を装備してるから、顔も分かんねぇしなぁ……」


 謎の白い甲冑を着ている男が何かしらの行動を起こす迄の間、周囲にはピリっとした”緊張感”が走り続けていた―――。


 〈……ッ来た! 一体、何をするつもり何だ……?〉


 やがて、その謎の男がドルネイン達の目の前に詰め寄って来るや否や、突如として、おもむろに語り掛けて来た……!


 「あ、あの〜……っ! そ、そんなに僕に対して警戒なさらないで下さいよ〜っ! 僕は、皆さんが思っている程に、そんなに”悪い人”じゃありませんってば……っ! 僕は、ただ単に『果樹の迷宮』に行く迄の道程を教えて貰いたいだけですよ〜っ!」


 その白い甲冑を着た男の発言を聞いた瞬間に、ドルネイン達の緊張の糸が一斉に切れた―――。


 「んだよ……。 ただ単に道を知りたかっただけかよ。 ふぃ〜っ、余計な心配をして損したぜ全く……ッ!」


 どうやら、白い大盾を持っている謎の男は、ただ単にドルネイン達に道案内をして欲しかっただけの様だ。


 ホッと胸を撫で下ろしたアモンは、果樹の迷宮迄の道程を白い大盾の男に向かって丁寧に説明をする。


 「……果樹の迷宮ですか? それならば、此処からアチラの方向に向かって行けば、其処に果樹の迷宮迄の”近道”が在りますので、その道を通って行けば何れ辿り着けると思いますよっ! それでは、達者で……っ!」


 「わぁっ! 親切に教えて頂き、感謝申し上げますっ! しかも、目的地の場所だけではなく、その場所の近道まで教えて下さるだなんて……っ! いやぁ〜、本当に助かりましたっ! それでは、貴方方アナタガタも御元気でぇ〜っ!」


 白い大盾の男は弾んだ口調で手を振りながら、果樹の迷宮迄の近道が在る方向へと走り去って行った―――。


 こうして、何事も無く男を見送ったドルネイン達は、冷や汗を拭いながらヘラヘラと談話をする。


 「ふぅ……。 ヒヤヒヤしたぜぇ……っ! どうやら、マジでただの『一般の冒険者』だったみたいだなぁ……?」


 「えぇ、杞憂だったみたいで良かった……! さて、それでは気を取り直して、街トルラへと向かいましょうか……!」


 「あぁッ! 行こうぜ〜ッ!」


 「あ、頼みますから猛ダッシュだけは止めて下さいよドルネインさ〜んっ!」


 かくして、ドルネイン達は街トルラに向けての歩みを再開するのだった―――!



【現在位置】

【楽園の大地エクラン、ビュルクナー平原】


【現在の日時】

【4月8日 10時23分 春】



【脱獄犯ドルネイン】

【状態】:安堵

【装備】:黒と黄色のシマシマ模様の囚人服

【道具】:無し

【スキル】:渾身の鉄拳

【思考】

1:さて、向かうか! 街トルラへとな……ッ!

2:街トルラに、魔族抹殺連盟の連中が居ない事を祈るぜ……。

3:まぁ、例え居たとしても、この俺様の手で直接、ぶっ飛ばすだけだがなぁッ!

【基本方針】:街トルラへと向かう。魔族は良い奴だと言う事を世間に広める。魔王アモンを守る。



【魔王アモン】

【状態】:安堵

【装備】:人間の変装服

【道具】:拘束縄

【スキル】:願いの犠牲

【思考】

1:白い甲冑の人が優しい人で良かったぁ〜……。

2:さぁ、改めて街トルラへと向かいましょうかっ!

3:どうか、このまま魔族抹殺連盟の奴等が現れません様に……っ!

【基本方針】:街トルラへと向かう。魔族抹殺連盟と出会いたくない。ドルネインとロスルを信頼する。



【ロスル・ル・ナータ】

【状態】:安堵

【装備】:英傑旅団の団員服 英傑の剣と盾 大きな袋

【道具】:金貨50枚 銀貨50枚 銅貨50枚 ハンカチ

【スキル】:晴れ渡る天空

【思考】

1:一安心ですね……。

2:然し、まだまだ気を緩める訳にはいきませんね。

3:慎重に行動して参りましょう。

【基本方針】:街トルラへと向かう。慎重に行動する。魔王アモンを守る。魔族の安全性を世間に広める。



【果樹の迷宮迄の近道】


【白き盾マモル】

【状態】:嬉しい

【装備】:白色の甲冑 大きな白色の盾 白色の袋

【道具】:防御力の実 忍耐力の実 瞬発力の実 生命力の実 各5個

【スキル】白き守護神【効果】:圧倒的な防御力で他者を護る事が出来る。更に、自身から遠くに居る困り果てている人物の存在を曖昧ながら感知する事が出来る。

【思考】

1:近道を教えてくれるだなんて良い人達すぎるっ!

2:僕も、もっと誰かの役に立ちたいんだっ!

3:果樹の迷宮内に、凄く困っている人の反応が有るんだ……っ!

【基本方針】:果樹の迷宮内に困っている人の反応が有る為、その人の事を助けに行く。誰かの役に立ちたい。


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