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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第五十三話 探偵ジンラの報告 〜ギルム編〜


〜ギルムの視点〜


――――街デイルン、宿屋――――【現在時刻、7時30分】



 夜が明けて、朝早くから目覚めたサヨコとシルバーの二人は、隣でぐっすりと眠っている鯛造とアビウスとギルムを起こさない様にと、こっそりと忍び足で部屋から出て行こうとする。


 すると、そのタイミングで丁度良く起床してしまったギルムが眠たげに目を擦りながら、二人の事を呼び止めた。


 「むにゃ……。 あ、あれっ? 先輩方……? もしや、これから”パトロール”に行かれるのですか……? せめて、鯛造さんとアビウスさんが起きてから行かれた方が宜しいかと思うのですが……」


 すると、そのギルムの問い掛けに対して、サヨコが微笑みながら返答する。


 「ふふっ、気遣い有難うねギルム。 でも、そうしちゃうと私は、アビウスと鯛造さんと別れるのが、なんだかとても寂しくなって来ちゃう様な気がしててね……? そうなっちゃったら、もうパトロールどころじゃ無くなると思うから、ジルバーにも迷惑を掛けちゃうし……」


 「な、なるほど……? 要するに、別れの挨拶をするのが嫌って事ですね……。 分かりました、そう言う理由であれば、此方としても一々引き留めませんよ……」


 「うんっ、ありがとねギルム。 そう言う事だから、もう行くね? アビウスと鯛造さんの事は、ギルムに任せたからね……」


 「サヨコ先輩……ジルバー先輩……」


 ギルムがそう呟くと同時に、二人は部屋のドアを開けて廊下に出ると、そのままパトロールに向かって行ったのだった……。


 部屋に残されたギルムは、やれやれと肩を竦めた。


 「全く、二人共勝手なんですから……。 さて、アビウスさんと鯛造さんが起きる迄の間、私がしっかりと見張っていないとですね」


 と、ギルムが窓から外を見回しながら目を光らせている時だった。

 突如として、背後に在るこの部屋のドアから何回もドンドンドンっとノックをする音が聞こえ始めた……。


 ドンドンドンッ!


 〈うわッ!? だ、誰だっ!? こんな時間に”訪問者”だなんて……?〉


 警戒した様子でギルムはドアに近付くと、そのままドアをノックしている人物に向かって恐る恐る質問した。


 「えっと、私の声が聞こえているのであれば、先ずは名を名乗って下さいっ!」


 すると、そのギルムの問い掛けを聞いたドアをノックしている人物が、扉越しのギルムに向かって”元気な口調”で名を告げた。


 「あっ、その声はギルム先輩ですねっ!? 私ですっ! 『英傑旅団No.27のチベッタ』です! あのですねっ! どうやら、私の隣りに居る探偵ジンラさんがギルムさんに向けて何か”御話し”したい事が有るそうですよ〜っ!」


 すると、その聞き馴染みのある声を聞いた途端に、ギルムはホッと胸を撫で下ろした。


 「あぁ、なんだチベッタだったのか! ふぅ、相変わらず元気そうで良かった! えっと、それでジンラさんも其処に居るのですね……? そう言う事なので有れば、どうぞお入り下さいっ!」


 「やった! ジンラさんっ! ギルム先輩からの入室許可が出ましたよぉ〜っ!」


 「そうみたいだな。 それじゃあ、入るぞ?」


 ギルムから入室の許可を得たチベッタとジンラは、ゆっくりと部屋の扉を開けてズカズカと中に入ると、奥のベッドで眠っているアビウスと鯛造に目線を向けた。


 「おや、どうやら鯛造さんとアビウスさんは、すやすやと眠っているみたいですね? これは、あんまり大きな声で話すわけにはいかないな……」


 「あぁ〜っ! も、もしかしたら私がさっきから、バンバンとドアを叩いてたのって、メチャクチャ迷惑だったのかもぉ〜っ!?」


 チベッタは、青褪めながらギルムの顔を見て様子を伺った……。


 「まぁ、特に気にしなくとも大丈夫ですよチベッタ。 先程のノックの音を聞いてもなお、この様にぐっすりと鯛造さんとアビウスさんは眠っているのですから。 さてと、それよりもジンラさん? どうやら、この私と御話しがしたいと言う事らしいのですが、一体どう言った件で?」


 「あぁ、それはだな? おっと、彼等を起こさない為にも、小声で話す事にするか……」


 「はい。 気遣い助かりますジンラさん。 あ、もしかしたら、御話ししたい事とは、昨日この街で起きた”強盗事件”の事ですか……?」


 するとコクっと頷いたジンラは、コソコソと声を潜めながらギルムとの会話を開始する。


 「あぁ、飽く迄もこれは俺の辿り着いた”推理”だけどな? 俺の推理が正しければ、この街を襲った強盗犯の正体は『夢幻旅団No.15のエザック』と言う人物で間違い無い筈だ」


 「へぇ、なるほど……。 エザックですか? 何故、彼の犯行だと思ったのか、理由と根拠を聞いてみても宜しいでしょうか?」


 「理由と根拠か? あぁ、良いぜ。 それはな、普通ならば必ずこの手の強盗事件には、何かと犯人の証拠や痕跡が雑に残っている筈なんだよ。 だがしかし、今回のこの街の犯人の残した手掛かりは、”ゼロ”だったんだ……」


 「ほぉ、なるほど。 詰まり、余りにも手際が良過ぎる為に、この一連の犯行を行えるのはエザックしか居ないと言う事なのですか……?」


 「まぁ、そんな所だ。 そもそも昨日の同時期に起きた教会ノイリでの”聖職者殺人事件”の犯人も、同じ夢幻旅団員のギョンだと言う話を其処で眠っている二人が証言してくれた。 それに、こんなにも完璧な犯行を実行に移せるのは必然的にエザックしか居ないんだ。 アイツは【ステルステレポート】とか言う便利な能力も持ってるしな?」


 「はぁ……。 それにしても、またしてもエザックの犯行だったのですね……。 道理で通報が有ったのにも関わらず、目撃者が見付からなかった筈ですよ……。 恐らく、あの通報もエザックが街から難なく逃げ出した後に掛けた”自作自演”だったのでしょうね……」


 「だろうな。 んで、残された問題は、そのエザックが今何処に居るのかと言う事だが――――」


 すると、興味深そうに二人の会話を聞いていたチベッタが、意気揚々と会話に加わって来た。


 「なるほどっ! 要点を纏めると、そのエザックって人が、自分が難なくこの街から逃げ出した後で、街の周囲に居た我等が英傑旅団と犯罪取締連盟の人達を、もぬけの殻になった状態のこの街にへと誘導する事が目的だったんですね……っ! うっひゃぁ〜っ! これには、まんまとやられましたねぇ〜……」


 チベッタは、オーバーリアクションを取りながら悔しそうに地団駄を踏む。


 「ちょっと、騒々しいので静かにして貰えませんかね……?」


 「はい、すみませんギルム先輩……」


 ギルムから怒られたチベッタは、シュンと悲しそうな顔を浮かべながら項垂れる。


 すると、チベッタに話を遮られたジンラが軽く咳払いをした後に、自分なりに辿り着いた考えを述べる。


 「ゴホンッ! んーっと、それでな? これからが本題なんだがな……? これは、俺が導き出した結論なんだが……もしかしたら、『セイラ王国』が数多アマタの犯罪者を匿ってるんじゃあねぇかと俺は睨んでんだ……。 だから、恐らくエザックは其処に居る筈だ……」


 すると、そのセイラ王国と言う名を聞いた途端に、ギルムは動揺した様子で口を開く。


 「な、なんですって!? あのセイラ王国が……!? 待って下さいよジンラさんッ!? そもそも、『女王セイラ』は《平和維持連盟》に加入している事で有名ではないですかッ!?」


 「矢張り、お前も驚くよな……。 俺は、この事実に気付いちまった時には、俺もお前と同じ反応をしていたさ……。 それだけ、今回の事件は”闇が深い”って事なんだよ……」


 「闇……ですか?」


 「あぁ、ドス黒い暗闇さ……」


 「うっひゃぁー……! な〜んだか、ヤバ気な感じっすね! ギルム先輩っ!」


 〈チベッタ……。 何でお前は、そんなに能天気なんだ……?〉


 「……と言う事を、お前に俺の口から直接伝えておきたかったんだ。 だから、これから俺はセイラ王国へと”偵察”しに行ってみようかと思ってんだ……」


 すると、これからセイラ王国へと偵察に向かうとしていると言う話をジンラから聞いたギルムは、腕を組んで悩みながら返答する。


 「……セイラ王国に行かれるのですか? 確かに言われてみれば、あの王国は平和維持連盟に加入していると言う情報以外には、一切の詳細な情報が無いですからね……。 よくよく考えてみれば、怪しさ満載ですね……」


 「あぁ。 だから、その事も踏まえて調べようと思う。 ただ、もうちょっとだけ一緒に行く”人員”が欲しい所だ。 お前から俺に紹介出来る人物は居るか?」


 「うーん、そうですねぇ……。 アビウスさんと鯛造さんは安全の為にも、この部屋に居て貰わないといけないですし……。 その上、ジルバー先輩とサヨコ先輩も、先程に颯爽とパトロールにへと出掛けちゃいましたし……」


 「そうか。 そりゃ間が悪かったな。 じゃあ、その辺に突っ立って居る英傑旅団の団員を数人程、お前の名を借りて連れてっても良いか?」


 「えぇ、それなら良いですよ。 でもまぁ、探偵ジンラさん程の人望が有る人なら、いちいち私の名を借りなくとも、事情を話せば共に協力してくれる筈ですよ?」


 「オーケー、了解だ。 それなら、お前はアビウスさんと鯛造さんが起きるまで一緒に居てやれ。 この調査は、お前抜きでやる事にするよ」


 「そうですね。 私には、アビウスさんと鯛造さんの事を”御護りする”と言う任務が有りますから……! と言う訳なので、今回の件に関しては、私は”不参加”と言う事にしといて下さい……」


 「うしっ、分かった。 突然邪魔して悪かったな。 じゃあ、行くぞチベッタ!」


 「は、はいっ! それじゃあギルム先輩っ! 失礼致しましたぁ〜っ!」


 〈なるほど、チベッタもセイラ王国へと向かうんだな……。 何事も無ければ良いんだけど……〉


 「おい、チベッタ! 一体いつまでギルムに手を振ってんだ! さっさと行くぞッ!」


 「うぎゃぁぁ〜〜ッッッ!? か、肩の関節が外れちゃうぅーーッ!」


 ジンラは、中々移動しないチベッタの両肩を力強く引っ張りながら部屋から出て行くと、そのままドアをゆっくりと閉める……。


 キィ〜、バタンッ。


 こうして、部屋に残されたギルムは、鯛造とアビウスの寝顔を見ながら静かに微笑むと、セイラ王国へと向かった探偵ジンラとチベッタの無事を祈った。


 「セイラ王国か……。 ジンラさん達大丈夫なのかな……。 どうか無理だけは、決してしないで下さいね……。 さてと、私は部屋を掃除しないとですね……!」


 こうしてギルムは、昨夜アビウスが食べ散らかした”ピザまん“やら、“フェアチキ“とやらのゴミ掃除を開始するのだった……。



【現在位置】

【宿屋内】


【現在の日時】

【4月8日 8時5分 春】



【ギルム】

【状態】:不安

【装備】:英傑旅団の団員服 英傑の剣 双翼の腕章

【道具】:メモ帳 ペン

【スキル】:犯罪取締連盟瞬間報告

【思考】

1:ジンラさんに、これからセイラ王国に行かれる皆様方……。

2:どうか御武運を……。

3:にしても、一夜にしてこんなにも部屋の中が取っ散らかるとは……。

【基本方針】:アビウスと鯛造を護る。捜査の事は他の団員や犯罪取締連盟に任せる。部屋の中を掃除する。



【アビウス】

【状態】:睡眠

【装備】:紫色の和服

【道具】:無し

【スキル】:閃光斬り

【思考】

1:ムニャムニャ……。 もう、食べられないよぉ〜……。

【基本方針】:アケミと再会したい。座衛門達と再会したい。



【竜胆園鯛造】

【状態】:睡眠

【装備】:黒色の和服

【道具】:無し

【スキル】:指導効果最大

【思考】

1:Zzz……。

【基本方針】:アケミと再会したい。座衛門達と会ってみたい。



【現在位置】

【宿屋周辺】



【探偵ジンラ】

【状態】:慎重

【装備】:サングラス 茶色のコート 黒の帽子 鞄

【道具】:様々な人物の資料

【スキル】:悪意感知推理

【思考】

1:嫌な予感がするな……。

2:一応、優秀な人材にも一緒に来て貰う事にするか……。

3:俺の方からも、仲間に要請を掛けよう……。

【基本方針】:セイラ王国へと向かう。充分に警戒する。頼れる仲間を呼ぶ。



【チベッタ】

【状態】:元気

【装備】:英傑旅団の団員服 英傑の剣と盾 袋

【道具】:金貨40枚 回復薬DX10個 眠り粉5個

【スキル】猛烈な元気力【効果】:未来永劫どんな時にでも元気で居続けられる。

【思考】

1:戦う準備は出来てますよぉ〜っ!

2:どんな相手でも掛かって来いやですっ!

3:私の剣技に酔いしれると良いですっ!

【基本方針】:セイラ王国へと向かう。仲の良い他の団員を誘う。早く戦いたい。



【現在位置】

【始まりの大地ストファー】



【サヨコ】

【状態】:パトロール中

【装備】:蒼色の和服 英傑の剣と盾 自動翻訳装置 財布

【道具】:自動翻訳装置数個 金貨30枚

【スキル】:渦巻き斬り

【思考】

1:そう言えば、教会ノイリの方は、もうとっくに落ち着いたのかな?

2:彼処に入れる様なら、今度こそネリアスの墓に行きたいなぁ〜。

3:御供え物は持って無いけど、心優しいネリアスなら許してくれるでしょっ!

【基本方針】:パトロールする。アケミと再会したい。教会ノイリに向かいたい。



【ジルバー】

【状態】:パトロール中

【装備】:英傑旅団の団員服 英傑の剣と盾 自動翻訳装置 財布

【道具】:自動翻訳装置数個 金貨50枚

【スキル】:目覚める正義の心

【思考】

1:さて、悪事を働く不届き者は居るかな……?

2:しっかりと僕達がパトロールしないとですねっ!

3:今度こそ、食い止めて見せますよ!

【基本方針】:パトロールする。悪事を働いている悪鬼旅団の団員と夢幻旅団の団員を倒す。


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