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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第四十七話 ムニルちゃんは怪力娘! 〜五十嵐隼人編〜


〜五十嵐隼人の視点〜


――――ムニルの家、寝室――――【現在時刻、7時5分】



 無事に異世界生活一日目を終えてスヤスヤと眠りに就いた隼人達は、やがて起床時間を迎えるや否や、ソアボが大声を上げながら皆の事を起こし始めていた。


 「グッモーニン〜! さぁ、みんな起きて起きて〜っ! もう”朝”だよ〜っ!」


 〈んん〜……? こ、この声はソアボ様……?〉


 と、隼人が目を擦りながら顔を上げると、其処には満面の笑みを浮かべているソアボの姿があった。


 「ふっふーん! そ~れ、起きろ起きろぉ〜っ!」


 ソアボは、はしゃいだ様子で隼人が寝ているベッドを目掛けて思いっ切りダイブした。


 ボフッ!


 ソアボが寝そべっている隼人の腹に強烈なダイブを決めると、隼人は情けない悲鳴を上げながら慌てて飛び起きた。


 「うわぁッ!? ちょっと、ソアボ様ッ! いきなり何ですかッ! 余りの痛みで心臓が止まり掛けましたよっ!」


 腹を抑えながら慌てふためく隼人の姿を見てソアボは思わず笑い声を吹き出す。


 「ぷぷぷ……あっははっ! いきなりゴメンね隼人君っ! おっはよーっ! どう、ぐっすりと眠れたかなぁ〜?」


 〈やれやれ……。 まさか寝起きに早々ダメージを負う事になるとはな……〉


 隼人は呆れた様子でソアボに返答する。


 「ま、まぁ……。 それなりに眠れましたけど、でもソアボ様に叩き起こされた事によって、目覚めの気分は最悪になって仕舞いましたよ……」


 「えへへ~、やり過ぎちゃったっ! テヘッ♡」


 〈え、可愛い……。 許しちゃおうかな……〉


 ソアボの小悪魔的な振る舞いを見た途端に、隼人の中に芽生えていた僅かな怒りは急速に治まっていた……。


 モゾモゾ……。


 すると、朝っぱらから部屋中に響いているソアボと隼人とのやり取りに気が付いた様子の権兵衛と座衛門も、ゆっくりと目を擦りながら起床した。


 〈あ、どうやら権兵衛さんと座衛門さんも、この騒ぎに乗じて起き出したみたいだな……〉


 「んあ……? オメェ等、朝っぱらからうっせーなぁ……。 ふわぁ〜……。 にしても、もう朝かぁ……。 時間の流れって奴ぁ速ぇな……」


 「むむ、すまないが某の”眼鏡”を取って頂けませぬかぁ〜……。 情けない事に、良く前が見えないで御座いまするから、何処に置いてあるのかが判りませぬ故に……」


 「わわっ! 待っててね座衛門君! 今、私が眼鏡を取って上げるからっ!」


 すると、目が半開きの状態の座衛門の為にも、ソアボが床に置いてあった座衛門の眼鏡を見付けて手に取ると、そのまま優しく手渡した。


 「はい、これっ! 座衛門君は、この眼鏡が無いと全く目が見えないんだもんね……」


 「おぉッ! いやはや、ソアボ殿は気が利きますなぁ〜っ! ではでは、装着ですぞぉ〜ッ!」


 座衛門が眼鏡を掛けて何時もの調子に戻った所で、隼人がソアボに質問をする。


 「あれ? 所で、ムニルさんは……? てっきり、朝はムニルさんが起こしてくれるのだとばっかり……」


 「ん〜、ムニルちゃん? ムニルちゃんなら、皆より先に起きて、下の階で”朝御飯”を作ってるよぉ〜?」


 「おぉ、マジかッ! んじゃ、さっさと朝飯を食いに行くぞオメェ等ッ!」


 と、睡眠を取って元気が有り触れている様子の権兵衛達の所に、ムニルが朝御飯が出来たとの報告にやって来た。


 ドタドタ、ガチャ!


 「おはよう御座います皆さんっ! さぁ早く顔を洗って、そして歯も磨いてからリビングに来て下さいねっ!」


 「あっ、ムニルさん! おはよう御座います!」


 「ヘヘ、俺達の為に朝飯を作ってくれてたみてぇじゃねぇかよッ! あんがとなムニル!」


 「ふふっ、いえいえ♡ 因みに、今日の朝御飯は『ポラ魚のバターソテー』と、『ドラゴンの卵で作った目玉焼きと玉子焼き』ですよ〜っ♪」


 「ウッヒョーっ! 名前を聞いただけで、思わず涎が出そうになりましたぞぉ〜っ!」


 「よぉ〜し! それじゃあ、皆でムニルちゃんが作ってくれた朝御飯を食べよっか〜っ!」


 「おっと、その前に顔洗いと歯磨きだぜっ! おっしゃ! そんじゃ、早く洗面台に行くぞッ!」


 「えぇ、行きましょうかっ!」


 こうして、隼人達は洗面台で顔を洗った後に、しっかりと歯を磨いてからリビングにへと向かうと、其処にはムニルが用意してくれた美味しそうな料理がテーブルの上に並べられていた。



――――リビングルーム――――【現在時刻、7時15分】



 「ウッヒョーッ! これは、見ただけで美味しそうで御座いまするなぁ〜! ムニル殿、もう食べても宜しいのですかなッ!?」


 「勿論良いですよ〜っ♪ あ、喉を詰まらせない様に慌てずに、ゆっくりと味わって食べて下さいね〜っ♪」


 〈流石はムニルさんだな……。 気遣いのレベルが段違いだ……〉


 「承知致しましたぞムニル殿ッ! それじゃあ、頂くで御座いまするよーッ!」


 「はいっ! それでは皆様方、手を合わせて〜? せーのっ! 頂きまーすっ!」


 『頂きまーすっ!』


 ムニルの号令の合図が終わるや否や、隼人達は仲良く談笑しながら、ムニルが作ってくれた美味しい朝御飯を堪能していく。


 バクバク、むしゃむしゃ、モグモグ……。


 「美味しぃ〜〜っ!! ほっぺたが落ちちゃいそうだよぉ〜っ!」


 「だなッ! こりゃぁ、うんめぇ〜〜ッ!」


 権兵衛はバクバクと口の中に魚と玉子焼きを入れ込むと、それを見た隼人が引き気味に注意をする。


 「ちょっと、権兵衛さんったら! そんなに食べ物を口に含み過ぎたら危ないですよっ!」


 「あぁ〜? 全く、隼人は心配性だなぁ〜? ゴクンッ! ほらよ、これで良いんだろう?」


 権兵衛は、口に含んでいた物を全て飲み込むと、そのまま大きく口を開けて中には何も入っていない事を隼人に見せ付けた。


 「えぇッ!? あ、あんなに沢山の量がこんなにも早く……っ!? さ、流石は、あの『大食らい』って学校中で話題になっていただけの事は有るな……」


 「ヘヘ、いやぁ〜改めて言われちまうと、何だか照れるぜぇ〜?」


 そして、そんなこんなやり取りを繰り広げながら、やがてムニルが作った朝御飯をペロリと食べ終えた隼人達は、椅子にモタれ掛かりながら腹をサスる。


 「わぁ、皆さん偉いですね! しっかりと残さずに食べ終わりましたねっ♪ それでは皆様方、手を合わせて〜? 御馳走さまでした〜っ!」


 『ご馳走さまでしたーっ!』


 「ふぃ〜……。 食った、食った〜。 おい、ムニル! 今日の朝飯も凄く美味かったぜ! あんがとなムニルッ!」


 満足そうに白い歯を見せながら笑みを浮かべている権兵衛が、ムニルに向かって親指を突き立てながら感謝した。


 「ふふっ、とても喜んで頂けたみたいで良かったですゴンベエさんっ! そんなにも喜んで頂けるのなら、これからも張り切って作っちゃいますねっ!」


 「俺からも礼を言わせて下さいムニルさんっ! こんなにも美味しい朝御飯を作って頂いて本当に感謝致しますっ! 是非これからも宜しく御願い致しますねムニルさんっ!」


 権兵衛に続いて、隼人もムニルに向かって感謝の言葉を告げると、何故だかムニルの顔が段々と赤らんでいく……。


 「ほぇッ!? あ、えっと……! こ、此方こそ有り難う御座いますハヤト……さんっ♡」


 ムニルは、両手で頬を隠しながら何やら嬉しそうにクネクネと身体をヨジらせていた。


 「えっ!? 急に……ど、どうしたんですかムニルさんっ!? ま、まさか熱でもッ!?」


 隼人が心配そうに、ムニルに近寄っていくと、更にムニルの顔が赤くなっていった。


 すると、そんな鈍感な態度を取る隼人の姿を眺めていたソアボと座衛門が、やれやれと肩を竦めた。


 「はぁ……。 隼人君はニブチンだねぇ〜……。 ねぇ、座衛門君もそう思うでしょ〜?」


 「ですなぁ。 然し、恐らく隼人殿は異性から惚れられたのは生まれて初めての経験でしょうし、鈍感になるのも無理はあるまいて……」


 「全く……。 隼人君は”私の方なんか”よりも、ムニルちゃんの方に目を向けて欲しいんだけどねぇ……」


 「おや、その口振りですと隼人殿がソアボ殿に気が有る事に勘付いていたので……?」


 「そりゃあ……ね。 でも、そもそも私は他人と恋愛する気持ちは更々ないからさぁ〜。 だから、隼人君には早くムニルちゃんの気持ちに気が付いて貰いたいんだけどねー……」


 「まぁ某達は、ゆっくりと隼人殿とムニル殿との恋路の行方を邪魔せずに静かに見守りましょうぞ……!」


 「だね、座衛門君……」


 座衛門とソアボが隼人の方に目線を移すと、慌ててムニルが両手と首を振り回しながら、隼人の接近を静止している姿が目に入った。


 「い、いえいえっ! わ、私は平気ですともっ! ご、御覧の通り"健康"ですからねっ!」


 〈え、本当にそうなのか……? 何か、俺達の事を心配させない為に無理をしているんじゃあ……?〉


 心配そうな顔を浮かべている隼人を安心させる為にも、ムニルは腰に手を当てながら、えっへんと胸を張り上げて自身の健康さを隼人に向けてアピールする。


 すると、そのムニルの不審な動作が段々と不憫に思えて来たソアボが、溜息混じりにムニルに向かって助け舟を出した。


 「ほらほら、隼人君っ! 無闇にレディーに近付いちゃ駄目でしょー? もっと、”距離感”を保って! ねっ!」


 「あ、すみませんっ! ちょ、ちょっと離れますね……っ!」


 すると、ソアボに注意されて思わずたじろぐ隼人の姿を見て、権兵衛が思わず吹き出した。


 「ガッハッハ! おいおい、隼人ぉ〜? そんなんでこの先大丈夫かぁ〜?」


 「まぁまぁ、権兵衛殿。 隼人殿も”年頃の男子”なのですから、チャンスが有れば女子に近付こうと言う行動を取るのは当たり前の事で御座ろうて……」


 と、座衛門がカラカうかの様な口調で、ニヤケ面で隼人に目線を配ると、それを聞いた隼人は怒りをアラワにする。


 「ちょ、ちょっと待って下さいよっ!? 俺の善意に対して、そんな捉え方をしないで下さいよ座衛門さんっ!? 厶、ムニルさんっ! 俺には、これっぽっちも下心なんて有りませんからねっ!?」


 「ふふっ♡ 分かっておりますよハヤトさんっ♪ さてと、それでは、これからどう致しますか? 何処か散歩にでも出掛けますか? それとも、早速”冒険”にでも出掛けちゃいますか?」


 と、ムニルが皆に向けて問い掛けると同時にソアボが思い出したかの様に、とある事を確認した。


 「あ、そうだった〜っ! 因みに確認するけどムニルちゃん! この街に『冒険者ギルド』は在るのかな〜っ?」


 「はい、冒険者ギルドですか……? えっと残念ながら、この街にはギルドは無いですね……」


 「あー、そっか……。 残念だけど仕方無いね……」


 「んーと……。 ですけど、この街から少しだけ離れた所に在る『ゴルヒー』と言う名の街には、確か冒険者ギルドが在った筈ですから、本日は其処のゴルヒーと言う街にへと一緒に向かう事にしますか?」


 すると、そのムニルの話を聞いたソアボは、笑みを溢しながら両腕を振り上げた。


 「お〜、そうだね〜っ! よしっ、決っまりー! それじゃあ、今すぐに準備を整え終えたら、このまま街ゴルヒーに皆で行こっかー!」


 「おっし! これで今日の”活動方針”が決まったな! それじゃあ、各々の準備が終わったら再び此処のリビングに集まる事だッ! 良いな、皆ッ!」


 「はい、権兵衛さんっ!」


 抜群のリーダーシップを発揮している権兵衛の指揮を聞いた隼人達は、一斉に各自の準備に取り掛かった。


 やがて、各々の準備を終えた隼人達が、約束通りにリビングに集まると、其処には何故だかムニルの姿だけが無かった。


 「あれ? ムニルさんは?」


 「あぁ、ムニルちゃんなら、先に玄関に向かって外に出ちゃったよ〜? なんか、外で”荷物整理”するとか何とか言ってたんだよねぇ〜?」


 「え、外で荷物整理ですか……? 変だな、それなら別に家の中でやれば良いのに……?」


 「まぁまぁ、そんな気にしても仕方無いですぞ? それよりも、早く外に出てムニル殿と合流致しましょうぞ!」


 「だなっ! んじゃ、行くぞーッ!」


 隼人達は、街ゴルヒーに在る冒険者ギルドを目指すべく玄関を開けて外に出ると、其処には大量の荷物を巨大な風呂敷に包んだ状態で、何食わぬ顔で持ち上げ始めた瞬間のムニルの姿が目に入った。



――――ムニルの家、周辺――――【現在時刻、7時50分】



 「ハァ……ハァ……。 み、皆さんっ! 無事に出発の準備が整ったのですねっ! 私も、ほらっ! これで”準備バッチリ”ですよっ♪」


 「いやいや、幾ら何でも荷物がデカ過ぎるってばーーーッッッ!!??」


 涼しい顔で大荷物を抱きかかえるムニルの姿を見たソアボは、思わず卒倒した。


 「ム、ムニルさん……!? な、何なんですか、その大荷物は!?」


 そのムニルの非現実な姿を見た隼人達は、誰一人残らず仰天していた……!


 すると、飛び起きたソアボが指を震わせて口をパクパクとしながらムニルに向かって問い掛けた……。


 「ひえ〜〜っ!? ちょっと、ムニルちゃん!? お、重く無いの……? そんな大荷物を背負って!?」


 抱きかかえた状態から、手慣れた手付きで後ろ手で背負う状態に変更したムニルは、少しだけ考え事をした後に笑顔で返答した。


 「そう……ですね? ほんの少しだけ重い気がしますけど、この位の荷物なら楽勝ですよ〜♪」


 「マジ……かよ!?」


 〈ま……まさか、ここに来て”驚愕の事実”が判明するなんて……!〉


 〈ムニルさんは、常人では有り得ない程の量の荷物を意図も簡単に持ち運ぶ事の出来る”怪力”の持ち主だったのか……!〉


 「お、驚いたよ〜……っ! ムニルちゃんってば、案外”フィジカル”が強いんだね〜……!」


 〈え、フィジカルの一言で済む問題ですか、コレって……?〉


 「えへへ〜。 実は皆様方には、まだ話していなかったのですが、私には”兄上様”がいましてね?」


 「あ、兄上様だぁ〜?」


 「えぇ。 私は、その兄上様から沢山の”実技特訓”を日夜学ばさせて頂き、やがてグングンと身体能力が向上していき、遂にはこれ程迄の重さの大荷物でさえも、意図も簡単に持ち運ぶ事が可能になったんですよ〜っ♪」


 ムニルは、無邪気な笑みを浮かべながら自慢気に背負っている大荷物を、まるでバーベルみたいに上げ下げする。


 その姿を見て、ソアボ達は完全に引いた様子で苦笑いを浮かべた……。


 「す、凄ぇな……。 で、その兄上様ってのは一体どんな人物なんだよ……? ぜってぇ只者じゃねぇだろぉ……?」


 「うふふっ♪ 兄上様は、あの《英傑旅団でNo.7》と言う称号を持っている『ロスル』って名前の立派な人なんですよ〜っ♪ 我ながら自慢出来る兄を持てて嬉しい限りですっ♪ まぁ、今年で兄上様は『31歳』になるんですけどもね……」


 〈31歳か……。 ムニルさんは何歳だったっけ? 俺と近い年齢だとしたら、ムニルさんと兄は10歳以上も歳が離れている事になるんだな……〉


 「むむっ? 話を聞く所、何やら某も、その兄上様に対して何処かと”親近感”が湧いて来始めましたぞ……?」


 実は現在、”34歳”である座衛門は、同じく三十代らしきロスルと言う人物に対して、少しだけ興味が湧いて来ていた。


 すると、ソアボがムニルに向かって、現在の年齢を聞いた。


 「えっと、そう言えばムニルちゃんって何歳なの〜?」


 「えっと、私ですか? 私は晴れて今年で『18歳』になりますよっ♪ 恐らくは皆さんとは、其処まで歳は離れていないと思いますけど……。 あ、でもソアボ様は女神様だから、結果的に凄い離れている事になるのかな……?」


 「そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ〜っ! 確かに皆とは遥かに歳が離れているけど、私の”精神年齢”は皆よりも若干低いと自負してるからさぁ〜っ!」


 「いや、それはそれで大丈夫なんですかソアボ様……?」


 と、隼人が軽いツッコミを入れていると、ふと隣に居る座衛門が何かと”哀愁”を漂わせながら羨ましそうに隼人達の事を凝視している事に全員が気付き始める……。


 〈えっ、怖い……〉


 「ははっ、良いですなぁ〜”若い”って……。 某は、もう34歳で御座いますからなぁ〜……。 詰まり、ムニル殿の兄上の更に歳上で御座いまするよ……」


 「ざ、座衛門さん……。 地味にフォローし辛い事を言わないで下さいよ……」


 「あ、安心しろって座衛門ッ! ほらッ! 例えば、プロ野球選手なら丁度”中堅からベテラン”に差し掛かる頃合いの年齢だろうッ!? だからチームにとっては、精神的支柱になれる様な正に"いぶし銀"と言う重宝する存在になるしよぉ……?」


 「そうそう! 権兵衛さんの言う通りですよっ! まさに座衛門さんは、バントや守備の名手の立ち位置に居るんですから、そう悲観する事はないんですよっ!」


 「だから落ち込むんじゃねぇぞ座衛門! て言うか、この訳分かんねぇタイミングで、俺達の若さに嫉妬すんじゃねぇよッ! これから冒険に出ようってタイミングで調子が狂うだろうがッ!」


 「うぅ……。 すみませぬ隼人殿に権兵衛殿ぉ〜……。 そ、そんなに某に対して、憐れみの目を向けないで欲しいで御座いまするよぉ〜……っ! 何だか段々と哀しくなって来ますぞぉ〜……」


 〈34歳の男でメンヘラって面倒臭過ぎる……。 最早、俺の手に負えないよ……〉


 隼人が目を凝らしながら良く見てみると、徐々に座衛門が掛けている眼鏡が曇り始めた……。


 どうやら静かに泣いている様だ……。


 〈泣くなよ……〉


 「おいおい……。 まぁ、座衛門の事は放っとくとしてだ。 ムニル、オメェ一体何を詰め込んだら、そんな大荷物になんだぁ?」


 座衛門の余りの面倒臭さに痺れを切らした様子の権兵衛が、ムニルの大荷物の方に話題を転じた。


 「えーとですね……? これは野宿用のテントと、調理器具と、微量の魔力で電力を補える小型の冷蔵庫と、その冷蔵庫の中に沢山の保存食が入っていて残りは、沢山のお皿とフォークとナイフとスプーンを詰め込んでいますねっ♪」


 「へぇ……。 本当に凄い大荷物ですねムニルさん……」


 「え、マジかよ……。 その大きな風呂敷の中には小型とは言え”冷蔵庫”が入ってたんかよ……」


 「ふふっ♪ 実を言うと、この風呂敷の中に入っている一番の大きな荷物は、折り畳んでいるとは言え、それでもかなりの容量を占めている”簡易式テント”なんですよ〜」


 「まぁ、ムニルさんが平気なら、俺達もそれに従う迄ですけどね……。 えっとそれで、どうします? もう、出発しますか?」


 すると、その隼人の言葉を聞いたソアボが嬉々として皆に向けて出発の号令を発する!


 「よ~しっ! 兎にも角にも! これで、みんな準備完了だねーっ! それじゃあ、街ゴルヒーに向かって出発進行〜っ!」


 ソアボが元気良く、大きく手振りしながら歩みを進めていくと、それを見た隼人達も駆け足でソアボの後を追っていく。


 「ヘヘ、にしても冒険者ギルドか! 何だか楽しみだな隼人ッ!」


 「えぇ、そうですね権兵衛さんっ!」


 かくして、隼人達一行は冒険者ギルドを求めて、街ゴルヒーにへと向かっていくのであった!



【現在位置】

【街チーマ】


【現在の日時】

【4月8日 8時14分 春】



【五十嵐隼人】

【状態】:健康

【装備】:紺色のコート クリーム色のズボン 深紅色のベルト 旅人の袋 耐久の弓

【道具】:毒の矢10本 炎の矢10本 痺れの矢10本 普通の矢30本 服屋ドア・ゼルのポイントカード

【スキル】:刹那の狙い撃ち

【思考】

1:ムニルさん凄いなぁ〜……。

2:取り敢えず、今まで着ていた学校の制服はムニルさんの家に置いていっても良いらしいから置いて来ちゃったけど……。

3:……いつか、また戻る時が来るかも知れないし、大丈夫だよな?

【基本方針】:街ゴルヒーに向かう。仲間を護る。ソアボが気になる。

※一応、ドアゼルから貰ったポイントカードを服のポケットの中に入れています。



【仁科権兵衛】

【状態】:健康

【装備】:騎士の鎧 斬撃の剣 鉄壁の小盾 旅人の袋

【道具】:銀貨5枚

【スキル】:最強の意志

【思考】

1:うーし、行くかー。

2:道中で素振りでもするかな。

3:早く剣の扱いに慣れねぇとな。

【基本方針】:街ゴルヒーに向かう。隼人と親友になる。仲間を護る。魔王を倒して現世に帰る。



【大宮座衛門】

【状態】:健康

【装備】:眼鏡 侍のコスプレ服 美乳剣舞の痛剣 旅人の袋

【道具】:美乳剣舞のシール50枚

【スキル】:熟練の百戦錬磨

【思考】

1:若いって良いですなぁ……。

2:うぅ……グスッ……。

3:さぁ、気を取り直して前を向きましょう……。

【基本方針】:街ゴルヒーに向かう。ハーレムを創る。美乳剣舞を世界中に広める。トラックの運転手を成敗する。



【娯楽の女神ソアボ】

【状態】:ウキウキ

【装備】:金色の羽衣 金色の指輪と腕輪 女神の袋

【道具】:女神の袋の中に色んな物が入っている

【スキル】:能力授与

【思考】

1:いざ、出発進行〜っ!

2:冒険者ギルドに着いたらどんなクエストを受けようかな〜!

3:にしても、隼人君は鈍感過ぎるなぁ〜……。

【基本方針】:街ゴルヒーに向かう。みんなと楽しく冒険をする。天界の身勝手な神達に復讐する。この世界に居るであろうクリスに対して警戒心を強める。

※ムニルの隼人に対しての恋心に勘付きました。



【ムニル・ル・ナータ】

【状態】:健康

【装備】:街娘の服 巨大な風呂敷袋

【道具】:組み立て式のテント 調理器具 小型冷蔵庫 様々な食料品 ナイフ、フォーク、スプーン各10本

【スキル】:極限の癒やし

【思考】

1:さぁ、行きましょう!

2:あぁ〜っ、ハヤトさんの素敵な横顔……っ♡

3:うふふふふふ〜〜〜っ♡♡♡

【基本方針】:街ゴルヒーに向かう。世界中の全生物を癒やす。

※完全に隼人に惚れてます。


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