第三十九話 殺される覚悟を持っている者と、持っていない者との違い 〜死神クリス編〜
〜死神クリスの視点〜
――――悪鬼旅団本拠地――――【現在時刻、19時30分】
『団長ズモハー』と多数の悪鬼旅団員を殺害した事に依って、無事に悪鬼旅団を乗っ取る事に成功した『死神クリス』は、この場に残された悪鬼旅団の残党達から情報を収集していた。
「フム? 本来ならば、この場に『卑怯なるゲノン』と言う名の男も居たのですね? でも、現在は何故か居なくなっていると……?」
「そうなんっすよね〜……。 因みに、伝えておくとそのゲノンって奴は、【認識されない存在】と言う特殊なスキルを持ってるんっすよ……」
〈……【認識されない存在】ですか。 これは、”惜しい人材”を逃して仕舞ったかも知れませんねぇ……?〉
クリスは、後々に使えそうなゲノンの存在に気付けなかった事を悔いていると、そのクリスとワルヤーとの会話の間に『参謀ムゴズ』が割り込む様に加わって来た。
「少し私からも良いですか? 恐らく、ゲノンの奴は団長達が殺された事による騒ぎに乗じて、静かにこの場から逃げ出したのでしょうね……。 仲間である私達を見捨てるとは、本当に”卑怯な奴”ですよゲノンは……」
ムゴズは、怒りに身体を震わせながらゲノンに対して憤りを感じていた。
〈フム……。 ゲノンさんを逃してしまったのは痛手でしたが、このムゴズさんも色々と”利用”出来そうですねぇ……?〉
すると、ワルヤーの隣で無言を貫いていた『賞金稼ぎボルモ』も、ゲノンの事を思い浮かべるや否や、徐々に怒りが腹の底から湧いて来ると、思わず怒りの声を上げる。
「くそっ! ゲノンの奴……俺等をあっさりと見捨てやがって……!」
すると、そんなボルモの言葉に対して、クリスが興味無いかの様に、軽くあしらった。
「まぁ、ワタクシは貴方達のイザコザには一切の興味が御座いませんので、さっさと話を進めましょう」
「んだとぉ……ッ?」
「待て、一旦冷静になるのですボルモ……! 悔しいと言う気持ちは分かりますが、死神クリスに当たるのは駄目です……。 貴方も団長の様に殺されて仕舞いますよ……?」
「ググ……ッ! 仕方ねぇ……話を続けろクリス……ッ!」
参謀ムゴズからの忠告を受けた賞金稼ぎボルモは、横目で団長ズモハーの亡骸を見ながら悔しそうに唇を噛み締めて、咄嗟にクリスに話を振る。
「フフフ、言われなくても。 それで、どうやら貴方達は、各地から此処の本拠地に集まって今週の成果を発表しに来ているらしいのですが、一体どうやって日を跨がずにこの場所に辿り着いたのですかねぇ?」
「え、何が言いてぇんだよ?」
「だって、一つの大地を渡り歩くのにはかなりの時間を有する筈ですがねぇ……? 此処に居る全員が”瞬間移動”等を持っているとは到底思えませんしねぇ?」
クリスは悪鬼旅団の団員達に向かって、今自分が疑問に思っている事を尋ねた。
「………………………」
一瞬の静寂の間があったものの、ゆっくりと口を開いた参謀ムゴズがクリスの問い掛けに対して淡々とした口調で答えた……。
「それはですね……? 先程、死神クリスさん貴方が殺した……『副団長ゴリッペ』さんが、自身の所持スキル【強制任意転移】を発動してくれた御蔭なのです……」
「ホォ、詰まりその【強制任意転移】の御蔭で時間を掛ける事も無く、この場に集まれたと言う事ですかねぇ?」
「えぇ、そうです。 報告会の日になると私達は此の本拠地へと、ゴリッペさんの手によって否応無しに連れて来られるのです。 その結果、私達は日を跨がずに此処の本拠地に集まる事が出来たのですよ……」
「フムフム? ならば、このワタクシが副団長ゴリッペを殺害した判断は間違っていなかった様ですねぇ? フッフッフッ、これで貴方達はこの場から逃げられなくなって仕舞った様ですねぇ……?」
思い掛けず”瞬間移動系のスキル”を所持していた人物を殺害していた事を知ったクリスは、思わずニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる。
すると、そのクリスの馬鹿にしたかの様な表情を見たボルモが、クリスに対して静かな怒りを顕にするものの、拳を握り締めながら必死に堪え続けていた……。
「ぐぅッ……! 抑えろ……抑えろ俺ぇッ!! 奴に逆らうと、俺まで殺されちまうぅッ……! ぐぅううう……ッッ……」
すると、その苦しんでいるボルモの後ろ姿を眺めている『血塗れのアイグ』が、この緊迫した状況には相応しくない様な陽気な口調でボルモの事を励ました。
「おいおい、そんなんで、この先大丈夫かよ〜? ボルモ〜? 気晴らしに何か”美味い料理”でも作ってやろうかぁ〜?」
「うるせぇッ! アイグお前は黙っていろ……ッ! アイグよぉッ! お前は、副団長と団長と仲間達が数人殺されてよぉ……ッ! 悔しくねぇのかよぉッ!! 悲しくならねぇのかよーーーッッッ!!!」
「…………………」
「なんか喋れよッ!!」
すると、アイグは肩を竦めながら呆れた口調で返答する。
「えぇ? だって、お前は黙っていろって言われたから、律儀に黙ってたってのに今度は喋れよだって〜? やれやれ、んじゃ一体俺はどうすりゃ良いんだよ〜?」
「うるせぇッ! お前と話していると調子が狂うぜッ! クソッ、お前に問い掛けた俺が馬鹿だったぜッ! ……ううぅ、畜生……」
ボルモは、アイグに対して怒鳴り付けると、途端に悲しそうな顔を浮かべた……。
ドンドンッ!
「うわッ!? だっ、誰だッ!?」
すると、突如として扉の方からノックをする音が周囲に響き出すと、そのノックをしている人物が喋り始める。
「クリスさ〜ん? 居ますか〜? えっと、クリスさんに是非会って貰いたい人が居るんですけど〜」
〈おや、その声は……。 『晋也さん』……ですか?〉
扉の方から、聞き覚えのある声を聞いたクリスは、ゆっくりと扉の方にへと足を向ける。
「おやおや、矢張り晋也さんでは無いですか。 仕事が早いですねぇ? もう街トナデンの人々を殺し終えたのですか? フフフッ!」
「クリスさんの方こそ! どうやら、上手く行った様子ですねっ!」
クリスの姿を見て安心した様子の晋也は、一人の見知らぬ男を連れながら一緒に中にへと入って来た。
「おや? その御方は?」
晋也の隣に居る”赤いマントを羽織った男”が、クリスの顔を興味深そうにまじまじと見詰めていると、その男がクリスに向かって弾む様な口調で話し掛けた。
「お前が、晋也が話していたクリスって男かぁッ!?」
「え、確かにワタクシはクリスと申しますが……。 フム、”その顔”もしや貴方は……?」
クリスは、晋也が連れて来た男退けた正体が、《夢幻旅団No.16》の『通り魔ロンバン』である事に瞬時に気が付いた。
「……おぉッ! なるほどな。 お前がクリスなのか……! 晋也から詳しくお前の事について聞いたぜぇ〜……? お前……”死神”なんだろ? で、この悪鬼旅団を乗っ取って、この世界を滅亡させるとか何とかって話し合ってだったよなぁ……?」
「ホォ? それで詰まる所、貴方は何を申したいのですかねぇ?」
クリスから問われたロンバンは、両手を広げながら満面の笑みで答えた。
「ヒャハハッ! 良くぞ聞いてくれたなぁッ! 俺ァ、アンタの事が心底気に入ったぜクリス! だから、俺もアンタの仲間に加えてくれよぉ〜ッ! ヒャハッ、俺の名はロンバンだ! 夢幻旅団No.16のロンバンだ!!」
「矢張り、そうでしたか。 夢幻旅団とは少数精鋭の『全24名』で形成されている”犯罪のスペシャリスト集団”ですから、仲間になって頂けるのなら百人力ですねぇ……」
「ヒャへへッ! 正確には、現在二人抜けての”総勢22名”だがなぁッ!?」
「おっと、そうでしたねぇ。 確か、アドムンハとジルバーと名乗る御二方が抜けたんでしたっけ?」
「イヒヒッ! アドムンハ先輩は、俺が入団した頃からとっくに脱退してたし、ジルバーもとっくに夢幻旅団を裏切って《英傑旅団》に入団しちまってたからなぁッ!」
「あぁ、言われてみればそうでしたねぇ……?」
「あぁ……クソが……ッ! アドムンハは”円満退団”だったらしいが、”裏切り者”のジルバーの事は俺の手で直接殺してやりてぇぜッ!!」
「フム、それで気になるのですが、夢幻旅団には”穴埋め”と言うか、昇格制度は無いのですかねぇ? ここ数年間ずっと『No.6』と『No.12』は空き番の様ですからねぇ?」
「んあ? まぁ、夢幻旅団員に与えられる『No.』は強さ順じゃなくて”古参順”だからな。 そう言う理由で襲名制度は採用されてねぇぜ。 とは言え、古参の奴等もガチで強えから、割と強さ順って考えても特に問題は無いぜッ!」
「フフフッ! そうですか、”夢幻旅団”ですか……。 悪鬼旅団だけでは無く、夢幻旅団をも乗っ取る事が出来れば、ワタクシの計画は更に上手くいく事となるでしょうねぇ……! フフフッ!」
「ヒャハハッ! おいおい、死神クリス! やっぱ、お前最ッ高だなぁ〜! お前なら、本当に俺を含めた夢幻旅団の『バケモノ集団』をも殺して仕舞いそうだ! ヒャハハハハハハッッッ!!!」
すると、その二人の狂っている会話を冷や汗掻きながら聞いていた悪鬼旅団の団員達は、非常に困惑した様な表情でロンバンに向かって問い掛けた……。
「おいおい……冗談だろ、お前……ッ!? お前の所の仲間達が殺されそうになってるってのに、黙って見過ごすどころか……協力しようとしてんのかよ……ッ!?」
「あぁ? 何だよテメェ等? 俺に向かって口答えするつもりかぁ?」
「……もしかして、夢幻旅団の団員同士の仲はとても悪いのでしょうか……? ですから、お仲間が死んだとしても、へっちゃらだと言う事なのですか……?」
ムゴズとボルモが、ロンバンに向かってそう問い掛けると、その二人の問い掛けに対して、ロンバンは見下す様な目で答えた……。
「あぁ……? 黙れよ”負け犬共”が。 お前ら、一体何の為に悪鬼旅団に入ってんだ? あっ、そうか分かったぜ! つまり”仲良しこよしの犯罪者ごっこ”がしたかっただけなんだろ? そうなんだろッ!?」
ロンバンは、下目遣いでボルモとムゴズに詰め寄りながら挑発する。
「あぁ……? んだとぉ〜?」
「怒りを鎮めなさいボルモ。 そう簡単に奴の挑発に乗るな」
「ヘッ、ボケカス共が。 そもそも、俺等《夢幻旅団》はなぁ……? ”殺す覚悟”どころか”殺される覚悟”もバッチリキメてるイカれた……『最強』で『最凶』な『最狂』の”パーフェクト集団”なんだぜぇ〜……?」
「ロンバンッ! 一体、俺達に何が言いてぇんだよッ!」
「イヒヒッ! 詰まり、テメェ等おこちゃまな思考の奴等しか居ねぇ《悪鬼旅団》と俺達《夢幻旅団》とは、根本的に”格”が違えんだよ……。 分かったか? 馴れ合い大好きな甘ちゃん底辺共が」
『……!!??』
「へぇ〜、流石はロンバン。 物怖じせずにズバズバと痛い所を突いて来るねぇ〜……? まっ、当たってるけどね〜」
ロンバンに図星を突かれたアイグは、頭に手を置きながらニヤけ面で仲間の悪鬼旅団員達の顔色を見渡した。
「うううぅぅッッッ………!! ……っ、ちっきしょぉぉぉぉおおおおッッッ!!!!」
「ボルモ……。 そんな、泣き出さなくても……」
遂に我慢の限界を超えた賞金稼ぎボルモが、思わず泣き出して仕舞った……。
今まで例え悔しくとも、泣く事だけは我慢していた屈強な彼でさえも、現状の余りもの苦しさに、とうとう涙腺が決壊したのだ……。
そんなボルモの悲痛な姿を見たアイグが、慌ててフォローを入れる。
「おいおい、泣くなよ……ボルモ〜。 でもまぁ、アイツが言った事は本当の事だしなぁ〜……。 俺が悪鬼旅団に入団した理由とかも、”生易しい程度の理由”だったからなぁ……。 まっ、だから俺も反論は出来ねぇや!」
すると、続いてワルヤーも自分語りを始める……。
「……俺も自分語り良いっすか? 俺は、家族を殺された仇を取る為に、先ずはこの悪鬼旅団の権限を使って家族を殺した奴を突き止めたいと言う理由で入団したんっすよ……。 だから、別に悪事を働く為に入団した訳では無いんっすよねぇ……」
ワルヤーがそう言い終えると、更にロメオも話し出した。
「……それなら僕もそうですよ。 数年前に見知らぬ奴隷商に誘拐された『ロゼリアお姉ちゃん』の現在地を調べる為に、悪鬼旅団の権限を利用しようとして入団したから……。 だから、僕も殺される様な覚悟は一切していないんだ……」
ワルヤーとロメオの話を聞いて少し落ち着いたボルモは、嗚咽しながら泣き止んだ。
「……ぐすんっ。 ……そうか。 皆、何かしらの理由が有るものの、殺される覚悟はしてねぇんだなぁ……。 ……ぐすんっ。 んで、因みにムゴズとザマは、どんな理由で悪鬼旅団に入団したんだ……?」
泣き止んだボルモがそう話を振ると、ムゴズとザマも自分の入団経緯を話す。
「そうですね……。 動機は不純なのですが、神父と言う職業に就いている人が好きだと言う”獣人族の女性”とお近付きになる為に、悪鬼旅団員だけが使う事を許可されている『データ改竄装置』を使う為に入団したのです……」
「あぁ、そう言や確かに! コソコソと夜中にムゴズがその装置を使ってる所を見た事が有んなぁ〜!」
「そして、その装置を使った事に依って、晴れて私はスキル【虚言の祈り】を取得し、難なく神父に完璧に成り済ます事が出来たのです。 なので、そもそも私は他人と戦うと言う事を想定していませんでしたので、殺される事の覚悟なんて一切していなかったのです……」
「なるほどなぁ。 んで、ザマは?」
「うおっ! 次は俺が言う番か? えっと俺は……昔に母ちゃんが病気で死んじまって……それで精神を可笑しくした父ちゃんが”オネェ”になっちまって……」
「……えっと、お前の父ちゃんって、確か有名な服屋を全国に経営してる『ドアゼル』って、奴だったよな……」
「あぁ……。 そんで、俺はそんな異常な環境に嫌気が差して、当ても無く勝手に家出して……。 そして生きて行く為に楽に金を稼げる悪鬼旅団に入団しちまった……。 うぅ……俺は、一体何やってんだよぉ……家に帰りてぇよぉ……父ちゃ〜んっ!」
すると、皆から入団動機を聞いたボルモも、自身の入団動機を皆に伝える……。
「そうか……皆も色々事情があったんだな……。 俺は、弟の”才能”に嫉妬して悪鬼旅団に入団したんだ……。 弟は、凄い剣の腕を持っていて……今は立派にも、”とある王国”の騎士を任されているんだ……。 弟の名前は『エール』と言ってな……?」
すると、そのエールと言う名を聞いたアイグが何かを思い出したかの様に相槌を打つ。
「エール……? あぁ、『女王セイラ』の部下の男か……。 えっと、話を遮って悪かったな。 ボルモ、俺の事は気にせず話を続けてくれ」
「……だから、俺は弟に追い付く為にも、誰でも入れると言われている”リスクの少ない悪鬼旅団”に入団して……少しだけでも弟との地位の差を縮めたかっただけなんだ……。 ……とまぁ、色々愚痴ったが要するに、結局は俺は殺される覚悟どころか、殺す事の覚悟すら出来ていない只の”弱虫”って事なんだよ……」
と、長々と悪鬼旅団達の心情の吐露を聞いたクリスは、飽き飽きしたかの様な口調で一蹴した。
「やれやれ……。 さっきから、グチグチと煩わしい事この上ないですねぇ? 良いから、生き残った貴方達は黙ってワタクシに従えば良いのですよ……」
するとボルモは俯きながら、ボソッとクリスに向かって問いかけた……。
「……確か、お前の計画は、この世界を滅亡させる事なんだろ? 一体……どう言う理由で、この世界を滅ぼそうとしているんだ……?」
「ホォ? このワタクシにも理由を聞きますか……。 まぁ、良いでしょう。 特別に説明致しますがこの計画は、ワタクシを追放した天界への”復讐”なのですよ……」
「……なに? 天界への復讐だって……ッ!?」
ボルモは驚きの声を上げると、続け様にクリスは天界で自分に降り掛かったとても理不尽で許せない出来事に対する全ての気持ちを曝け出した。
「……まぁ、過去にワタクシにも色々有ったと言う事ですよ。 でも、ただ一人だけ、まだ新参者の女神だった『ソアボ』だけは、ワタクシの追放を心の底から強く反対して下さったのですよ……」
「へぇ、なんやかんや良い神様も居たって事か?」
「フフフ。 ですからワタクシは彼女だけは恨んでいません。 然し、ワタクシは彼女以外の全ての神を"とても憎んでいる"のです……。 ……どうです? 貴方達も、”此処で終わりたく無い”ですよねぇ?」
「………えっ?」
唐突に問われたボルモ達は、思わず目を丸くしながら聞き返した。
「ですから、ワタクシは皆様方に”下剋上”のチャンスを与えているのですよ? 皆様方の上司だった、団長ズモハーと副団長ゴリッペは、ワタクシの手で殺しました。 なので、これからは自由に、この世界を”壊す”事に専念出来るのですよぉ〜?」
「……え、下剋上? この世界を、壊す……?」
「そうです。 ここからが、皆様方の”人生のターニングポイント”なのですよ? 《悪魔に魂を売るのです》。 《人の心を捨てるのです》。 さすれば、やがて貴方達にも”幸運”が訪れて来ますとも……!」
「俺達にも、幸運が……っ!」
そのクリスの言葉を聞いた悪鬼旅団の団員達は、お互いの顔を見合わせると……静かに頷いた。
そう……今まさに、クリスの言葉を聞いていた悪鬼旅団員達の気持ちが一つになった瞬間だったのだ……。
「フフフ、と言う訳で皆様方? 是非とも……ワタクシと共に世界を壊す事の協力をして頂けませんかねぇ……?」
クリスがそう言い終えると、真っ先にボルモとザマが答えた。
「……チッ。 アンタの事情を知っちまったからには、協力しねぇ訳にはいかなくなっちまったなぁ〜……。 そうか、天界からの追放って、アンタも中々に辛い思いをしてたんだなぁ……」
「うしっ、俺はアンタに協力するぜクリス……。 でも、さっき俺達の仲間を殺した事については、お前の目的が達成した後に、きっちりと償って貰うけどな……ッ!」
ボルモとザマが、クリスに協力する事を伝えると、続け様に他の者達もクリスに駆け寄っていく。
「俺も協力するっすよ……っ! 必ず見付け出して、この手で殺してやるっす……。 両親の仇こと『ナルル』の事を……ッ!」
「ぼ、僕もっ! ロゼリアお姉ちゃんと出会える迄、僕は死にたくないし、それにロゼリアお姉ちゃんの事をクリスさん達が殺さない様に、僕が見張っていないといけないからっ! だから、僕も協力するよ……クリスさんにっ!」
「フムフム。 賢明な判断をしてくれて、こちらとしても誇らしい気分ですねぇ〜?」
クリスは、順調に自身の事を支持してくれる者が増え始めると、次第に笑みが溢れ始める。
「私も協力しますよクリスさん。 でも、始まりの大地ストファーに埋葬されている、嘗ての私の恋人の『ネリアス』の墓が在る”教会ノイリ”には、決して手を出さないで下さいね? あの場所だけが、私と彼女を結び付ける事の出来る、”唯一の場所”なのですから……」
「そうそう。 くれぐれも、各地で父ちゃんが経営している『服屋ドア・ゼル』は破壊しないでくれよなッ! 頼むからさ!」
ムゴズとザマからの忠告を受けたクリスは、コクコクと頷く。
「えぇ……。 了解しました。 皆様方の”思い出の場所”には手を加えない事を心掛けますよ」
「俺も、なんか流れ的に協力しないといけないみたいな雰囲気になってるから協力するぜッ! いつか、お前にも俺の作る”絶品料理”を食わせてやるからなクリスッ!」
アイグは、自信満々にクリスに向かって人差し指を突き付けた。
「フムフム。 それではこれで、この場に居る全員がワタクシとの協力関係を結ぶ事に同意致しましたねぇ? フフフッ! それでは皆様方、どうぞこれからも何卒宜しくお願い致しますねぇ……。 フフフッ!」
『おうッッ!!! やってやんぜぇぇええッッッ!!!』
こうして、改めて結束を強めた悪鬼旅団員達は、死神クリスと協力する事となり、今日の所は一先ず明日以降に備える為にも暫しの休息を取る事となった……。
【現在位置】
【悪鬼旅団本拠地】
【現在の日時】
【4月7日 23時0分 春】
【死神クリス】
【状態】:歓喜
【装備】:漆黒のシルクハット 漆黒の紳士服 漆黒のステッキ
【道具】:水晶玉
【スキル】:瞬殺の審判
【思考】
1:フフフッ!
2:なんと愚かにも単純で素晴らしい方々なのでしょうか……!
3:天界の腐った奴等とは大違いですねぇ……?
【基本方針】:天界に戻る為に異世界を破壊する。仲間達の思い出の場所は破壊しない。琴子とその仲間達を殺さない。やがて天界を乗っ取る。
※4月7日を生き残りました。
【田川晋也】
【状態】:眠気
【装備】:学校の制服 通貨袋
【道具】:金貨30枚 銀貨28枚 銅貨30枚
【スキル】:極度の不幸体質
【思考】
1:クリスさん……貴方は最高だよ。
2:一瞬で皆の心を掴んじゃうなんてさぁ……。
3:……然し、兎に角眠い。
【基本方針】:琴子を探す。クリスに協力する。睡眠を取る。
※無事に異世界生活一日目を生き残りました。
【通り魔ロンバン】
【状態】:大興奮
【装備】:黒色の服 赤色のマント 殺戮の剣
【道具】:包帯
【スキル】:一瞬の辻斬り
【思考】
1:ハハハハハハ!
2:アッハハハ!
3:ヒャッハハハハハハハハ!
【基本方針】:クリスと晋也に協力する。なるべく夢幻旅団の仲間達と戦いたくないが、やむを得ない場合は相手が夢幻旅団員だろうが構わず殺す。
※4月7日を生き残りました。
【参謀ムゴズ】
【状態】:眠気
【装備】:神父の服
【道具】:眼鏡 悪鬼旅団の活動報告書 御供え物
【スキル】:虚言の祈り
【思考】
1:夜も更けましたね……。
2:そろそろ、睡眠の時間ですね……。
【基本方針】:クリスに協力する。ネリアスの墓に行く。そろそろ寝る。
※4月7日を生き残りました。
【用心棒ワルヤー】
【状態】:睡眠中
【装備】:ゴーグル バンダナ 悪鬼旅団の団員服 鉄砲
【道具】:弾薬50発分 葉巻き数本
【スキル】:遠距離絶対命中
【思考】
1:Zzz……。
【基本方針】:クリスに協力する。家族の仇のナルルをこの手で殺す。
※4月7日を生き残りました。
【新入りロメオ】
【状態】:睡眠中
【装備】:悪鬼旅団の団員服
【道具】:ロゼリアの写真
【スキル】:無し
【思考】
1:Zzz……。
【基本方針】:姉のロゼリアを探し出す。クリスを見張る。
※4月7日を生き残りました。
【賞金稼ぎボルモ】
【状態】:睡眠中
【装備】:獣の毛皮 ハンマー 大きな袋
【道具】:大量の金貨
【スキル】:妄想の豪運
【思考】
1:Zzz……。
【基本方針】:クリスに協力する。弟のエールに会いたい。
※4月7日を生き残りました。
【賞金首ザマ】
【状態】:睡眠
【装備】:シマシマの服
【道具】:自分の手配書
【スキル】:無し
【思考】
1:Zzz……。
【基本方針】:クリスに協力する。家に帰りたい。
※4月7日を生き残りました。
【血塗れのアイグ】
【状態】:眠い
【装備】:血塗れの料理人服 血塗れのコック帽 血塗れの包丁 小さめの袋 双翼の腕章
【道具】:数枚の金貨
【スキル】:抜群の切れ味
【思考】
1:眠ぃ〜。
2:皆寝ちまったなぁ……。
3:まだ起きてる、このロンバンって奴とは気が合いそうだな〜。
【基本方針】:クリスに協力する。ロンバンと友達になりたい。皆に自分の作る絶品料理を食わせたい。
※4月7日を生き残りました。




