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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第一章 各々の思惑が始まる一日目
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第四十話 ギルムからの伝言 〜ジルバー&サヨコ編〜


〜サヨコの視点〜


――――始まりの大地ストファー、教会ノイリ周辺――――【現在時刻、21時34分】



 バルフの村周辺のパトロールを終えたジルバーとサヨコは、ネリアスの遺体が埋葬されている『教会ノイリ』へと向かっていた。


 〈ふぅ~っ! やっと、自由に行動出来る時間を作れたよっ! 待っててねネリアスっ!〉


 逸る気持ちを抑えながら、サヨコはジルバーの腕を引っ張りながら教会ノイリ迄の道程を案内する。


 やがて、サヨコの眼前に教会ノイリの姿が見え始めると、サヨコは指を差しながらジルバーに慌てて話し掛けた。


 「あ、ジルバー! アレだよアレっ! あの教会ノイリの中に、嘗ての私の友達の『ネリアス』のお墓が在るんだよっ!」


 「ネリアスさんですか……。 確か、数年前にサヨコと初めて出会った時に、そのネリアスさんらしき姿を見た様な気がします……。 あの後に、残念ながら彼女は亡くなって仕舞ったのですね……」


 「うん、そうみたい……だね。 私が、ジルバーと一緒に英傑旅団に入る為に尽力していた頃には、もうとっくに亡くなってたみたいなんだよねぇ……」


 ネリアスとの思い出を思い浮かべながら、サヨコは涙ぐみながら俯く。


 〈うぅ……っ。 今でも死んじゃった事が信じられないよネリアスぅ……っ〉


 すると、暫くの間無言になっていたサヨコは、慌てて首を振りながら、目を擦ると次第に前を向き始めた……。


 「……でもね? 確かに最初その事を知った私は、すっごく悲しい気持ちになったけど、でもいつかはこの悲しみを乗り越えなくちゃいけない気がしててさ……?」


 サヨコは真っ直ぐな目で、ネリアスが眠っている教会ノイリの姿を眺めている……。


 すると、その覚悟を決めているサヨコの後ろ姿をジッと見詰めているジルバーも、ボソッと呟いた……。


 「詰まり、ネリアスさんが亡くなったと言う現実を受け止める為にも、ひと目でもネリアスさんの名前が刻まれている墓を拝んでおきたいと言う事ですね……?」


 「うん。 ジルバー……」


 ジルバーの言葉を聞いたサヨコは、ニコッと笑みを浮かべると、歩みを教会ノイリの方にへと少しずつ進めた。


 「ふふっ、湿っぽい話は、ネリアスに会ってからにしないっ? 後ちょっとで、教会ノイリに着くんだからさ……」


 「……そうですね。 ……む? 待って下さい、サヨコ。 何やら、教会の辺りが”騒がしい様子”ですが、もしや何かが起きたのですかね……?」


 徐々に教会ノイリにへと近付くジルバーは、教会ノイリの周りに、沢山の人集ヒトダカりが出来ている事に気が付くと、次第にサヨコもその異変に気付く。


 「え? あ、ホントだねぇ……? それに、なんかこの場所に似つかわしく無い様な、見るからに強そうな人達がいっぱい居るね……? 何か、嫌な予感がするよ……?」


 「サヨコ……。 警戒をしながら、近付きましょうね……」


 「そうだね、ジルバー……」


 教会ノイリ周辺が、まるで緊迫したかの様な状況になっている事に対して頭の中で疑問符を思い浮かべながらも、二人は果敢に人集りに近寄ってゆく。


 すると、その人集りの群衆の中から、眩しい程の光りに包まれた黄金の鎧を着た一人の騎士の男が出て来ると、近寄って来るサヨコとジルバーに向かって話し掛けた。


 「おや? その格好を見るからに、もしや貴方達は、《英傑旅団》の方々ではないですか……ッ!?」


 「え、確かに私達は英傑旅団員ですが……?」


 「矢張り、そうでしたか……! えっと、恐らく応援に駆け付けてくれたのだと思いますが、一応この事件に関しては私達、《犯罪取締連盟》が対処する事になっておりますので、どうかこの場は御引き取り願いたいのですが……?」


 すると、その言葉を聞いた二人はお互いに顔を見合わせながら首を傾げた……。


 「いえ、別に僕達は応援に駆け付けて来た訳ではないのですが……。 えっと、あのー? 申し訳ありませんが、此処で一体何が起きたのか説明してくれませんか? 御恥ずかしながら、僕達は事情を良く知らないもんで……」


 すると、そのジルバーの意見を聞いた黄金の騎士の男は、申し訳なさそうにペコペコと頭を下げると、丁寧な口調でサヨコ達に現状の説明をしてくれた。


 「もっ、申し訳ありません……。 てっきり、英傑旅団の皆様には情報が行き渡っているとばかり……。 誠に勝手ながら勘違いしておりました……。 実はですね、数時間程前にこの教会内で、『聖職者大量殺害事件』が巻き起こって仕舞ったのです……」


 「えぇっ!? せ、『聖職者大量殺人事件』ですって……!?」


 その驚愕の事実を知った二人は絶句した……。


 〈そ、そんな恐ろしい事が……起きていたなんて……っ!〉


 「ぐぬぬ……。 僕達が呑気にパトロールしている間に……そんな凄惨な事件が……ッ! 僕達が、もっと早くこの場所に辿り着いていたら……救えたかも知れないのに……ッ!」


 ジルバーは、悔しそうに歯軋りしながら、己の無力さを恥じた。


 「……いえいえ、貴方が気に病む必要は御座いません。 現在は、地下墓地に散乱していた全ての遺体の回収も終わり、後は犯人である『ギョン』の行方の手掛かりを探すだけです……」


 「そうなんですね……。 えっと、因みに遺体回収を終えた今も中に入れない感じなんですかね……?」」


 「はい、幾ら英傑旅団員の方々とは言えども、今のこの教会ノイリ内部に部外者を入れる訳にはいかないのです……。 すみません、分かって下さると幸いなのですが……」


 黄金の騎士の男は深々と頭を下げながら、二人に向かって御願いした。


 その御願いを聞いたサヨコとジルバーは、心底残念そうな顔を浮かべながらも、仕方無くその願いを聞き入れる事にした。


 「そう……ですね……。 今日の所は、一旦『街デイルン』の宿屋に戻ろうかと思います……。 捜査の邪魔をして本当に申し訳ありませんでした……」


 〈……そう言う事情なら仕方無いよね。 ……ごめんね、ネリアス。 私は、まだ貴女とは出会えないみたいね……。 悔しいけど、今は受け入れるしかないみたいだから……〉


 「それでは、捜査頑張って下さい……。 私達は、今直ぐにこの場から離れますから……。 大変失礼致しました……」


 ジルバーとサヨコは、トボトボと重い足取りで教会ノイリを後にしようとする。


 すると、その立ち去ろうとする二人に対して、黄金の騎士の男が、何かを思い出したかの様に、慌てて呼び止めた。


 「あ、少々お待ち下さいっ! もしや、貴方達がサヨコさんとジルバーさんでは無いでしょうかッ!? 実は、先程『ギルム』さんから”伝言”を御預かり致しまして……っ!」


 すると、そのギルムと言う聞き覚えの有る名を聞いた二人は、ピタッと足を止めた。


 「えっ!? ギルムから伝言だって……!?」


 「……そ、それでっ! ギルムは私達に一体何を伝えようとしてたんですかっ!? 勿体ぶってないで、早く教えて下さいっ!」


 「す、すみませんっ! 私も、ついさっき思い出したのですっ! え、えぇっとですね?」


 黄金の騎士の男は、サヨコとジルバーに向かって、ギルムが今まさに、『アビウス』と言う名の女性と『鯛造』と名乗る男性と共に、”街デイルンの宿屋”にて、現在パトロールに出掛けているサヨコとジルバーの帰りを、ずっと待っているとの情報を伝えた。


 〈えっ……! う、嘘……っ!? アビウスと鯛造さんが街デイルンに……?〉


 その話を聞き終えたサヨコは、思わず両手で口を抑えながら、まるで信じられないと言わんばかりの表情を浮かべると、感極まったのか徐々に涙目になっていた……。


 「そ、その話……本当……なのですか……? ま、まさか……。 こんな近くに、アビウスと鯛造さんが……っ」


 余りもの嬉しさに過呼吸気味になっているサヨコの背中を、ジルバーが優しくサスりながら、念の為にもう一度、黄金の騎士の男に向かって確認をする。


 「良かったですねサヨコ……っ! 一応、もう一度お聞き致しますが、本当に街デイルンの宿屋にアビウスさんと鯛造さんが居るのですね……ッ!?」


 「えぇ。 確かに、ギルムからその様な連絡を頂いております……っ!」


 「そうですかっ! とても大事な情報を伝えて頂き、誠に感謝致しますっ! さぁ、サヨコ! それならば今直ぐにでも、宿屋にへと向かいましょう!!」


 「うんっ、そうだねっ! ネリアスの墓を拝めなかったのは残念だったけど、それでもアビウスと鯛造さんが生きているって話を聞いちゃったら、途端に元気が湧いて来たよっ! よしっ! 行こう、ジルバーっ!」


 涙を拭ったサヨコは、ジルバーと共に、嘗ての戦友の下にへと駆け足で向かうのだった……!



【現在位置】

【教会ノイリ付近】


【現在の日時】

【4月7日 22時5分 春】



【サヨコ】

【状態】:興奮

【装備】:蒼色の和服 英傑の剣と盾 自動翻訳装置

【道具】:自動翻訳装置数個 財布

【スキル】:渦巻き斬り

【思考】

1:早く宿屋に戻らないと……っ!

2:アビウス……っ! 鯛造さん……っ!

3:やっと、もう一度会えるんだね……っ!

【基本方針】:早く宿屋に戻ってアビウスと鯛造に会いたい。アケミとも再会したい。いつか、ネリアスの墓参りをする。

※教会ノイリ内で、大事件が巻き起こったと言う情報を仕入れました。



【ジルバー】

【状態】:興奮

【装備】:英傑旅団の団員服 英傑の剣と盾 自動翻訳装置

【道具】:自動翻訳装置数個 財布

【スキル】:目覚める正義の心

【思考】

1:早く鯛造さん達に向かって御礼を言いたいです……!

2:サヨコの後押しをしてくれたのも、鯛造さん達の御蔭ですからね!

3:連絡をくれたギルムにも感謝しないとですね……!

【基本方針】:早く宿屋に戻ってアビウスと鯛造に向かって御礼を言いたい。ギルムにも御礼を言いたい。

※教会ノイリ内で、大事件が巻き起こったと言う情報を仕入れました。



【黄金騎士ラシア】

【状態】:健康

【装備】:黄金の兜 黄金の鎧 黄金の剣と盾

【道具】:捜査資料

【スキル】黄金の剣撃【効果】:周囲に神々しい黄金の輝きを放ちながら、見る者を魅了する程の”最強威力”の剣撃を繰り出せる。

【思考】

1:ふぅ、無事にお伝えする事が出来て、ホッとしました……。

2:これで気も楽になりましたし、捜査の続きを始めますか。

3:ふむ、然し……。 ギョンの犯行動機とは、一体なんなのでしょうか……?

【基本方針】:犯人のギョンの行方を捜索する。ギョンの犯行動機を突き止める。困っている人を助ける。

※ギルムからの伝言を、無事にサヨコとジルバーに伝えられました。


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