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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第一章 各々の思惑が始まる一日目
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第二十五話 通り魔ロンバン 〜田川晋也編〜


〜田川晋也の視点〜


――――終焉の大地ゴイサ、街トナデン周辺――――【現在時刻、18時10分】



 「……そう言えば、”悪鬼旅団本拠地内”で見付けた、この”袋”の中には一体何が入ってるんだ……?」


 晋也は、悪鬼旅団本拠地内でクリスと別れた際に、偶然にも見付けた”謎の袋”を持ち運びながら街トナデンへと駆け足で向かっている最中だ。


 「よし、ちょっとだけ中身を確認しておくか……」


 そう思い立った晋也は、そそくさと袋の中身を調べてみると、そこには……。


 「ん? 何だ、これ……? 凄い量の”メダル”みたいなのが入っているが……もしかしたらこれが、この世界で使う”通貨”とかなのか……?」


 この袋の中に入っているのが、この世界の通貨である事を瞬時に察した晋也は、ニヤリと嗤った……。


 〈たまたま、悪鬼旅団の本拠地でこの袋を見付けたとは言え、これで俺が金に困る事は無くなったと言う事だな……!〉


 〈この俺が、運良く通貨袋を見付ける事は、本来ならとても”不自然”だが、きっとこの通貨袋が、これからとんでもない”不幸”をモタラしてくれる筈だ……〉


 「さてと……。 これで、俺は一つの事に”集中”出来るな……。 この俺の【極度の不幸体質】を上手く利用して、この眼前に見える街、『トナデン』の奴等を殺すと言う目標にな……」


 そして、晋也は”悪人の顔”を浮かべながら、ゆっくりと歩を進めると、やがて『街トナデン』へと辿り着いた。


 「此処だな……。 クリスさんが言ってた街トナデンは……」



――――街トナデン、噴水広場――――【現在時刻、18時14分】



 「……でも、幾ら俺が極度の不幸体質つっても、この街の住民全員を不幸な事故で殺すのは中々に骨が折れそうだが……。 それでも、琴子の為だ。 やるしかねぇな……」


 晋也は改めて決意を固めていると、何やら数人の優しそうな人物がゾロゾロと晋也の下に集まるとそのまま気さくに話し掛けて来た。


 〈何だ……? 急に、周りに人が集まって来たぞ……?〉


 「あんれ〜、旅人さんかい? 珍しいね〜、こんな辺境の地にある街に、わざわざ旅人さんが来てくれるなんてねぇ……」


 「ささ、恐らく長旅で疲れている事でしょう。 旅人さんや、この街の唯一の観光名所の温泉にでもゆっくり浸かって、存分に疲れた身体を癒やして下さいな〜」


 〈……ん? どうやらこの人達は、俺の事を持て成してくれるみたいだな……。 だが、心苦しいが琴子を守る為には、名も知らないアンタ等の事も”犠牲”にしなくちゃいけねぇんだよ……〉


 〈すまねぇ……。 俺は、心優しいアンタ等の事も、必ず”皆殺し”にしてやるからな……〉


 晋也は、心の中での謝罪を済ませると、まるで切り替えたかの様に笑顔を向けながら陽気な口調で返答した。


 「へぇ〜、なるほどっ! この街には”温泉”が在るんですね〜っ! でしたら、御言葉に甘えて、俺も温泉に入って疲れを癒やすとしますかな〜っ!」


 すると、その晋也の言葉を聞いた街の人達は、嬉しそうな反応をし始める。


 「わぁ〜っ! 旅人さんに、そう言って貰えるなんて光栄ですぅ〜っ!」


 「ささ、旅人さん! それでは、温泉地へと御案内致しますぞぉ〜!」


 「ははっ、温泉かぁ〜……」


 晋也は、口元をニヤつかせる。

 実は温泉と聞いた晋也の脳裏には、”とある考え”が浮かんでいたのだ。


 その考えとは、温泉に入る者は皆、必ず”無防備”になる筈……。


 詰まり、そんな状態の人達が居る場所に、他人を巻き込んで仕舞う程の強烈な力を持っている、【極度の不幸体質】の晋也が乱入して来たら一体どうなるだろうか……?


 そう考えていると、段々と晋也は心の奥底からワクワクして来る。


 〈……不思議な気持ちだ〉


 〈俺は今迄、他人を不幸にして来たこの体質の事を忌み嫌っていたが、クリスさんから与えられた”この世界を滅ぼす”と言う目標が出来た今では、この力が段々と……〉


 〈”頼もしいもの”に思えて来たな……〉


 と、無言で立ち尽くしている晋也に対して、街の人達が心配そうに話し掛けてくる。


 「おや、どうしたのですかな旅人さん? ささ、それでは、早速温泉の場所にへと御案内致しますねぇ〜」


 「えぇ、有り難う御座います」


 そして、晋也は街の人の後に付いて行くと、やがて”温泉街”に辿り着いた。



――――街トナデン、温泉街――――【現在時刻、18時21分】



 「おっと所で、旅人さんや。 因みに、”予算”はどの程度お持ちで? 温泉は一回の入浴に付き”銀貨2枚分”ですが……」


 〈おっ、丁度良い。 銀貨は……恐らくコレかな?〉


 晋也は、通貨袋の中から銀貨2枚を取り出すと、そのまま街の人に向かって見せ付けた。


 「おぉ、旅人さんったらお金持ちですねぇ〜っ! それだけ持っているのなら一安心で御座います。 ではでは、たっぷりと疲れを癒やして下さいね〜」


 「はい、どうも御親切に。 えっと所で、さっきこの街の外に何やら”怪しい人物”が居たので見回りに行って見たらどうですか?」


 晋也は、咄嗟に”嘘の情報”を街の人達に教えた。


 「え? 怪しい人物ですか……? はい、分かりました……では今から確認して来ますが……」


 「ん〜? んでその、怪しい人物とはどのような”服装”だったんだい〜?」


 すると、首を傾げている街人からの質問に対して、晋也は冷静な口調で答える。


 「そうですね、なんか”赤っぽい服装”だったかな? 兎に角、早く見に行った方が良いかも知れないですよっ!」


 「そうか……情報提供ありがとな! 旅人さん! おいっ、みんな行くぞッ!」


 そして、その晋也の”大嘘”に対して、全く疑う素振りを見せない数人の心優しい街の人達が、一斉に街の外の見回りに向かって行った。


 〈ふふっ、上手くいったな……〉


 この、晋也が発した嘘の真意……。


 それは、自身が発した言葉を聞いた者に、”何かしらの反応”を起こさせる事だった……。


 晋也の発言を信じたり、逆に聞き耳を持たなかったとしても、晋也と”関わり”を持って仕舞った人が最終的に迎える結末はただ一つ……。

 【不幸な死】のみなのだ……。



◇■◇■◇■◇■◇



――――街トナデン、周辺――――【現在時刻、18時27分】



 そして、そんな晋也の言葉を聞き入れて仕舞った街人達が、街の外に出てみると、其処にはなんと、晋也が言った様に本当にその場には、”一人の謎の人影”があった……。


 「……ん? もしやアイツか? 旅人さんが言っていた怪しい人物ってのは……。 おーい、そこのアンタ……ちょっと話があるんだけどよー」


 「……五月蝿い」


 「……え?」


 ザシュ……ッ!


 それは、ほんの”一瞬の出来事”だった……。


 怪しい人物に向かって話し掛けた心優しい街の人達の”腕”と”足”と”頭部”が、気が付いた頃には血飛沫を撒き散らしながら鮮やかに切り落とされて宙を舞っていた……。


 「ンぎゃ…………ッ……」


 街人達は、声にもならない叫び声を上げると、そのまま”バラバラの遺体”になって仕舞った。


 街人達を一瞬にして殺害した謎の男は、ペッと唾を遺体に吐き掛けながらボソッと呟いた。


 「……俺に話し掛けた事をあの世で後悔していろ……ゴミムシ共が……」


 彼の名は、《夢幻旅団員No.16》の、通称『通り魔ロンバン』……。


 彼は、視界に入って来た”仲間以外の人物”を何の躊躇いも無く殺す外道である……。


 「あー……なーんか、滅茶苦茶イライラして来たなぁ〜……。 コイツ等、急にこの街から出て来たよな……。 ウゼーから生意気なこの街の人を皆殺しにすっかぁ〜……」


 そう言うと、通り魔ロンバンは、敵意を剥き出しにしながら、街トナデンの中へと入って来た……。


 どうやら、晋也の他人を巻き込むタイプの極度の不幸体質は異世界に置いても健在なのは確定らしい。


 晋也の極度の不幸体質によって、この街トナデンに”凶悪犯罪者”を呼び寄せて仕舞ったのだ……。



◇■◇■◇■◇■



――――街トナデン、男湯――――【現在時刻、18時30分】



 通り魔ロンバンが街トナデンに侵入して来た事なぞいざ知らず、晋也は自身の【極度の不幸体質】を上手いこと活用しながら、順調に人々を不慮の事故で殺害していた……。


 「よしっ……! これで男湯に居た人達は全員片付いたな……」


 男湯に乱入した晋也は、通貨袋の中から大量の金貨と銀貨と銅貨を”ツルツルのタイル床”の上にバラ撒いてから、この場に金が落ちてるぞーっと煽ると、それに釣られた目が眩んだ様子の”全裸の男達”が湯船から一斉に出ると、足元のツルツルのタイル床に足を取られて体勢を崩した弾みでタイル床に思いっ切り頭を打ち付けると、当たりどころが悪かったのか、そのまま全員が帰らぬ人となってしまった……。


 「ははっ、やっぱ改めて考えてみると、俺の”相手に干渉するタイプの不幸体質”ってヤベーんだな……!」


 晋也は改めて自分の体質の恐ろしさを実感してゆく……。


 自分の嘘を信じた者は全員死んでゆく……。

 逆に、自分が本当の事を言ってたとしても、晋也の言葉を聞いた者は瞬く間に全員死んでゆく……。


 すると、晋也は唯一、自分と話しても特に何事も無かった『死神クリス』について、思い返してみる……。


 「クリスさん……貴方だけなんだよ。 貴方だけが、俺と”親しい関係”になっても死んでいないんだよ……。 ははっ、やっぱり本物の”神”と言うのは凄いな〜……。 俺、クリスさんと出会えて本当に良かったよ……っ!」


 〈……クリスさんと出会えて、何かが救われた気がするよ……。 俺、頑張れるかも……!〉


 そして、晋也は徐々に”悪の道”へと堕ちてゆく……。



【現在位置】

【街トナデン】


【現在の日時】

【4月7日 18時35分 春】



【田川晋也】

【状態】:健康

【装備】:学校の制服 通貨袋

【道具】:金貨30枚 銀貨28枚 銅貨30枚

【スキル】:最早、最凶スキルと化した極度の不幸体質

【思考】

1:さて、次はどんな方法で人を殺そうかな……。

2:取り敢えず、騒ぎを聞き付けた誰かがやって来る前にさっさと逃げるか……。

3:温泉には浸かりたかったけど諦めるしか無いな……。

【基本方針】:この世界の何処かに居るかも知れない琴子を見付け出す。クリスと協力する。この街の人達を全員殺す。

※人を殺す事に対して”快感”を抱き始めました。



【通り魔ロンバン】

【状態】:イライラ

【装備】:黒色の服 赤いマント 殺戮の剣 

【道具】:包帯

【スキル】一瞬の辻斬り【効果】:一瞬で相手の様々なパーツを切り落とす事が出来る。体力の持つ限り何度でも連続で使える。

【思考】

1:殺す。

2:殺す。

3:殺す。

【基本方針】:ムカつくので全員殺す。

※目に付く奴を皆殺しにします。



【心優しい筋肉質の男死亡確認】


【心優しい老人死亡確認】


【心優しい女性死亡確認】


【温泉の男湯に居た人達全員死亡確認】


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