第二十三話 街チーマの商店街 〜五十嵐隼人編〜
〜五十嵐隼人の視点〜
――――始まりの大地ストファー、街チーマ商店街――――【現在時刻、14時34分】
街チーマの商店街に辿り着いた隼人と権兵衛は、興味深そうにキョロキョロと辺りを見回しながら、目当ての”武器屋”を探していた。
〈うわぁ〜、何だか凄い”熱気”に溢れてるなぁ〜……! 思わず目移りしちゃいそうだな……〉
すると、武器屋らしき”露店”を見付けた様子の権兵衛が、嬉しそうにしながら隼人に話し掛けた。
「おっ! おい見てみろよ隼人っ! どうやら、”アレ”なんじゃねぇのか? ムニルが言ってた武器屋っつーのはよぉ!」
〈あ、本当だ……! さてと、あの武器屋に俺が求めている何か良い感じの”弓”と”矢”は有るのかな……〉
隼人と権兵衛は、そのままフラフラと武器屋の露店に立ち寄ると、椅子の上に腰を掛けている”武器屋の店主”に向かって気さくに声を掛けた。
「お〜い、おっちゃん! 『ムニル』から、この店に”斬撃の剣”と”騎士の鎧”があるっつー事を教えて貰ったんだけどよぉ! チョイと見せてくれよ!」
すると、その権兵衛の声を聞いた武器屋の店主が、笑みを浮かべながら返答した。
「んん? なんだいお客さん? もしかしたらムニルちゃんの”友達”かい?」
「おう、そうだけどよぉ? まさかムニルって、この街じゃ”有名人”なのか?」
「そりゃあ、もうっ! ムニルちゃんって、何時も朝方になると、商店街の俺達に向かって優しく笑顔で挨拶してくれる良い子なんだよ〜っ!」
〈へぇ〜! やっぱり、ムニルさんって根っからの良い人なんだなぁ〜!〉
隼人は、その挨拶をしている様子のムニルの姿を想像しながら感心する。
「おい、おっちゃん! んで、その斬撃の剣と騎士の鎧って奴は、それぞれ”金貨一枚”で売ってくれるんだろう? ヘヘ、金貨なら二枚持ってるから早く俺に売ってくれや!」
権兵衛は、武器屋の店主に向かって金貨二枚を手渡すと、武器屋の店主はニコッと笑みを浮かべながら、権兵衛に話し掛ける。
「ふふっ、お客さん達がムニルちゃんの友達ってんなら、”特別に”この斬撃の剣と騎士の鎧を”半額”で売ってやるからなぁ〜! だから、お客さんが払う金貨は、”一枚”で充分だからねぇ〜!」
武器屋の店主は、権兵衛から手渡された金貨二枚を受け取ると、直ぐ様もう片方の金貨一枚を権兵衛の手元に返した。
「えっ! 半額ってマ、マジかよっ!? おっちゃん……オメェ良い奴だなぁ……! よっしゃ! これで残った一枚の金貨で、”盾”とか”便利な道具”とかも買えるぜ〜! あんがとな、おっちゃん!」
「ヘヘ、毎度あり〜! 礼なら要らねぇからなぁ〜ッ! ホイよッ、そんじゃ更にこの”旅人用の袋”もサービスして付けてやるからな〜。 あっ、それともし良かったら今買った鎧を着ていくかい? ほら、そこの”試着室”で着替えてくると良いよ〜」
武器屋の店主は、傍らに置いてある試着室に指を向けると、権兵衛は鼻息を荒くしながら試着室に駆け寄った。
「おっ! 試着室もあんのかよォ〜っ! んじゃあ、お言葉に甘えて、早速このカッケェ鎧を着てみっか〜!」
そう言うと、権兵衛は上機嫌で試着室に入っていった。
そして、権兵衛の接客を終えた武器屋の店主は、隼人に話し掛ける。
「それで、君は何をお求めかな?」
「あっ、はい! ……あの、”丈夫な弓”と”数本の矢”を買いたいんですけど……ありますかね?」
「おぉっ! それなら、これ何かどうだい? じゃ~ん”耐久の弓”!」
そう言うと、武器屋の店主は真後ろの壁に掛けている大きめな弓を手に取ると、それを隼人の前に差し出した。
〈へぇ〜! この弓、見た目からして”強そうな雰囲気”を醸し出してるなぁ〜!〉
「えっと、この弓はな? 何度、様々な矢を射っても一切壊れる事は無いと言う”優れ物”なんだなぁ〜! どうだい? 値段は半額の”銀貨五枚分”だけど、買うかい?」
「なるほど! 壊れない弓ですか……! 確かに、中々良いですね〜!」
すると、話に食い付いて来た隼人に対して、武器屋の店主は更に”他の商品”のアピールを続ける。
「おっ、食い付きがイイねお客さんッ! それじゃあ更に、この様々な付与効果の有る”3種類の矢”をそれぞれ”10本ずつ”付けて、更に更に普通の矢を”30本”もおまけして、弓矢合わせて”金貨一枚”ってのはどうだい〜?」
武器屋の店主は、ドサドサっと、何処からともなく沢山の量の矢を持ってきてくれた。
「ほ、本当ですか……!? これは、多分お買い得ですね……! では弓と矢を合わせて金貨一枚で買わせて頂きます!」
そう言って、隼人は武器屋の店主に金貨一枚を手渡すと、隼人から金貨一枚を受け取った武器屋の店主は笑みを浮かべながら、矢の効果が書かれている”説明書”を取り出した。
「おっ、毎度あり〜っ! それじゃあ、君にも、この旅人用の袋もサービスで付けるからなぁ〜。 おっと、因みに、この矢の”付与効果”も説明して置くぞ?」
「矢の付与効果ですか……? は、はいっ! 是非聞かせて下さい……!」
隼人のその返答を聞いた武器屋の店主は、ウキウキした様な口調で、ザックリとした矢の付与効果の説明をしてくれた。
「おうっ! 一度しか言わないから良く聞いておけよっ! この”紫色の矢”は、毒で相手をじわじわ苦しめる奴で、その”赤色の矢”は、炎でボワッと相手を燃やす奴で、最後にこの”黄色の矢”は、相手をビリビリと痺れさす事が出来ると言う付与効果を持ってるぜぇ〜っ! まっ、要するに状況に応じて使用する矢を変更する事をオススメするって事だなぁ〜っ!」
「な、なるほど……毒と炎と痺れですか……? へぇ、どうやらこの付与効果の矢は使えそうだ……!」
隼人は手にした弓矢をキラキラした目で眺めていた。
「ヘヘ、因みに俺の名は『エルマフ』っつーから、ついでに覚えて帰って下さいねお客さんっ!」
「あ、はい! 本当に有り難う御座いましたエルマフさん! あ、俺の名は『隼人』と申します……!」
「ヘヘ……っ! それでは冒険、頑張って下さいねぇ〜、隼人さん!」
「はいっ! 頑張ります!」
と、隼人が改めて決意を固めた所で、着替えを終えた様子の権兵衛が試着室からタイミング良く出て来た。
「おお〜! おい、見てくれよ隼人! どうだ!? 似合ってるか俺!? カッケェか!?」
〈うおっ!? や、やっぱり権兵衛さんは、こういった格好良い感じの服装が似合ってるなぁ〜……!〉
権兵衛は、銀色に輝く鎧を見事な迄に着こなしていた。
その姿を見た隼人は、目を爛々と輝かせる。
「権兵衛さん、とっても似合っていますよ……! 確か、権兵衛さんのスキルは【最強の意志】でしたよね? 今の権兵衛さんのその格好と、そのスキルの名前が上手くマッチしていますよ……!」
「おおっ! ベタ褒めじゃねぇかよ! そうかぁ〜っ! そんなに似合ってるかぁ〜! うっひゃあ〜、早くソアボとムニルと座衛門の奴にも今の俺の姿を見せてぇぜぇ〜!」
すると、その権兵衛の姿を見た武器屋の店主エルマフが、ノリノリで煽てながら次の商品の紹介をする。
「おお〜。 お客さん良く似合ってるぜ! ヒューヒューッ! 男前ですねぇ〜っ! 所でお客さん、さっき盾が欲しいって言ってましたよね? だったらこの、片手で装備出来る”鉄壁の小盾”を買ってみねぇか〜? 値段は半額の”銀貨五枚分”ポッキリ!」
「うお〜っ! 良いじゃねぇか! んでも、今の俺の手持ちは金貨一枚しかねぇから、両替頼むぜおっちゃん!」
「はいよ! 金貨一枚ね〜……ほいっ、お釣りの銀貨五枚だよ。 そしてコレが鉄壁の小盾だ。 はいっ、毎度あり〜!」
鉄壁の小盾を手に入れた権兵衛は、嬉しそうに剣と小盾を天に掲げた。
「うっし……! これで剣と盾と鎧が揃ったぜ! 後は、取り敢えず兜を買うよりかは、汎用性の高い道具を買う方が良いかもなっ! んで、隼人は他に何か買いたいもんは有るのか?」
「ん〜、そうですねぇ……? 俺は、なんか良い感じの服が欲しいですね。 俺も何時までも学校の制服のままでは、この世界観に没入出来ないですからね……」
すると、その二人の会話を聞いていた店主エルマフは、隼人にオススメの服屋を紹介した。
「おっ、隼人さん、服が欲しいのかい? だったら、そこの曲がり角にある”ドア・ゼル”と言う名の服屋に行ってみると良いぜ〜! あそこの服屋は値段が安い上に”シャレオツ”だからなぁ〜! ほらっ、俺が今着ているこの服と帽子も、あそこの服屋で買った奴なんだぜ〜ッ!」
店主エルマフは、自身が身に着けている緑色の帽子と服を隼人達に、自慢気に見せ付けた。
「お! 早速、良い情報を貰ったぜ! じゃあ、言われた通りにその服屋に行ってみっか! 隼人ッ!」
「えぇ、行きましょう……! 権兵衛さん!」
そして、隼人達は少し駆け足で、武器屋の店主から教えて貰った道程を通ってみると、直ぐに”ドア・ゼル”と言う看板が掲げられている服屋を見付けた為、隼人と権兵衛はそのまま店内へと入店した。
――――服屋ドア・ゼル――――【現在時刻、14時40分】
すると、隼人達の入店に気が付いた様子の服屋の店主らしき人物が嬉しそうに駆け寄って来た。
「あ〜ら、初めて来店なさる方達かしらねぇ〜? 初めまして、アタシの名は『ドアゼル』と申します〜。 このお店の”オーナー”よぉ〜。 この世界の各地にアタシの店舗が沢山あるから、これからもどうぞご贔屓にね……♡」
と、名店ドア・ゼルのオーナーであるドアゼルからの、薄気味悪い投げキッスを全身に浴びた隼人と権兵衛は思わず身震いをした……。
「……所謂、オネェって奴かぁ? まぁいい……この俺の隣に居る隼人って奴が、なんか良い感じの服が欲しいみてぇだからよぉ? だから隼人の事を見繕ってやってくれねぇか? 因みに、隼人の予算は金貨一枚分だけどよぉ、アンタの腕が確かなら金貨一枚でも良い感じに全身コーディネートが出来るよなぁ〜?」
権兵衛は、やや威圧気味にドアゼルに問い掛けると、ドアゼルは自信満々に権兵衛からの問い掛けに返答した。
「えぇ、勿論ですとも〜。 それでは、隼人様……どうぞ此方へ」
「は、はい……!」
〈それにしても、全身コーディネートかぁ……〉
〈今迄、一度もオシャレなんてした事がなかったから、ちょっと楽しみだなぁ……!〉
隼人は、内心ワクワクしながらドアゼルの後を付いて行った。
「んで因みに、コーディネートはどんくらい掛かりそう何だぁ?」
「う〜ん……そうね〜。 終わる頃は今から20分後の”15時位”になりそうかしらねぇ〜」
「……おぉ、そうか。 んじゃ、俺は少しの間”暇”になっちまうなぁ〜。 あ〜、これからどうすっかな〜」
と、そんな風に悩んでいる権兵衛の事を見兼ねた様子の隼人が、権兵衛に向かって”とある提案”を行った。
「……あの〜。 じゃあ、権兵衛さんは一旦ムニルさんの家に帰って、ソアボ様から”この世界の詳しい事柄”を聞いてきて下さい。 まぁ、此処らで”別行動”と言う事で……」
「お、そうか! いやぁ〜、気を遣わせちまってすまねぇな隼人……! そんじゃ、一旦俺はムニルの家に戻るわ! 待ってろソアボ〜! 俺の暇潰しに付き合って貰うぜ〜ッ!」
そう言って、権兵衛は駆け足でムニルの家にへと向かった。
残された隼人とドアゼルの二人は、改めて全身コーディネートの話を進める。
「ん〜と……。 それで隼人くんだっけ〜? これから直ぐにコーディネートを始めるけど、準備は良い〜?」
「あ、はい! バッチリですよ!」
かくして、隼人は金貨一枚の予算を使って、自身の服を見繕って貰う事にしたのだった。
【現在位置】
【街チーマ】
【現在の日時】
【4月7日 14時46分 春】
【五十嵐隼人】
【状態】:緊張
【装備】:学校の制服 耐久の弓 武器屋の店主エルマフから無料で貰った旅人用の袋
【道具】:金貨1枚 毒の矢10本 炎の矢10本 痺れの矢10本 普通の矢30本
【スキル】:刹那の狙い撃ち
【思考】
1:果たして、どんな服を持ってくるんだろうなぁ……。
2:全身コーディネートだから帽子とか眼鏡とか色々持ってくるのかな……?
3:まぁ、ここはドアゼルさんの”センス”を信じよう……。
【基本方針】:仲間と一緒に異世界生活を楽しむ。ソアボの秘密を知りたい。
※弓と矢を格安で手に入れる事に成功しました。
【仁科権兵衛】
【状態】:困惑
【装備】:騎士の鎧 斬撃の剣 鉄壁の小盾 武器屋の店主エルマフから無料で貰った旅人用の袋
【道具】:着替えた学校の制服は旅人用の袋に入れています 銀貨5枚
【スキル】:最強の意志
【思考】
1:よくよく考えたら、俺はこの世界の事を全然知らねぇよなぁ!
2:皆を守る為には、この世界の知識を蓄える事が先決だ!
3:ついでに、俺の今のカッケェ姿をムニルとソアボに自慢するぜ!
【基本方針】:隼人と親友になる。皆を守る。魔王を倒して現世に帰る。この世界の知識を深める。
※防具と武器を格安で手に入れる事に成功しました。
【ドアゼル】
【状態】:ルンルン気分
【装備】:ピンク色シルクハット ピンク色のタキシード 双翼の腕章
【道具】:赤色の魔石の指輪
【スキル】常人離れした観察力【効果】:見ただけで相手のスリーサイズ、スキル、持ち物が瞬時に分かる。
【思考】
1:ふふっ、この子には、この濃い青色のコートが似合いそうね〜。
2:ズボンの色は黄色かしらねぇ〜。
3:ベルトは赤色かしら〜。
【基本方針】:世界中の人をオシャレにしたい。昔に勝手に家を出て行った息子のザマがつい最近指名手配にされたので思いっ切り叱りつけたい。
※息子のザマが悪鬼旅団に入団している事を知っています。
【武器屋の店主エルマフ】
【状態】:健康
【装備】:オシャレな緑色の服 オシャレな緑色の帽子 護身用の拳銃 双翼の腕章
【道具】:沢山の旅人に無料で渡す為の袋 銃弾10発分
【スキル】超商売上手【効果】:お客さんに不快な思いをさせずに、どんな商品でも簡単に売る事が出来る。
【思考】
1:お、さっきの大きなお客さんが目の前を走り去ってったな……。
2:何か急用でも出来たのかねぇ〜?
3:『ヘレマネラ』……俺はお前が夢幻旅団に入団した事を知ってるが、何時でもお前が帰ってくるのを待ってるからな……。
【基本方針】:お客さんが気持ち良く買い物が出来る様に振る舞う。夢幻旅団に入団している娘の『怪盗ヘレマネラ』の帰りを待ち続ける。
もし、宜しければこの作品にポイント評価とブックマーク登録をして下さると作者の励みになります…!ご感想もお待ちしております…!




