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青空プロレス1

シルク視点です。

中庭の謁見広場。

そこから見上げる位置にあるバルコニーにソレイユ達がいる。

私はソレイユ達が作ったリング最前列の席に座ってる。身内特権なんだって。


身内かあ。


ソレイユ。

私にシルクって名前をくれた人。

私を外に連れ出してくれた人。


私とソレイユの関係はそれぐらいしかない。

会ってから、まだ一週間位しか経ってないし。

好きか嫌いかだと好き。

優しくておっきくて強くて格好いいから。

後 、色々とおもしろい。


一応私の立場は、ソレイユの……英雄の付き人、従者となってるんだ。英雄召喚システムってのは内緒。そもそもそんなのが居たなんて、この世界のみんなは誰も知らないからね。


でもね、ソレイユは私をその立場で見ていないんだよね。「子供は立場とか気にしなくていい」「俺が保護者になるから任せろ」って。


何でも、私にシルクって名前を着けたから、ソレイユはおとーさんなんだって。……ちょっと表現が違った気もする。でも、多分そんな感じ。可笑しいよね。私の方が二千歳ぐらい年上なのに。


でもね、スッゴク嬉しいんだよ。





今行われているのは新たな英雄の紹介。つまりはソレイユを、みんなに紹介しているところ。


竜人襲撃にカツーがピンチ。それをアクエリアスが命懸けで召喚したソレイユが撃退。これが私達の英雄ソレイユだーー。


何か難しい言葉を使ってたけど、結局のところ意味はこんな感じ。私もあのバルコニーに呼ばれていたけど、断っちゃった。私は付き人扱いにはなってるけど、何にもしてないし。あんな風に紹介されても困るよ。


ソレイユは紹介中、ずっと腕組みをして仁王立ち。これが威厳があるように見える立ち方だって。喋るのが苦手だからって、アクエリアスに全部任せてる。時々「うむ」とか頷いてる。


「英雄様、大きいねえ」

「ああ、あの腕なんて姫様の胴ぐらいあるぞ」

「竜人を怪我一つなしで倒したって」

「凄い派手なんですが」

「何だろうな、あの格好」

「格好もそうですが、何でお顔を隠されているのでしょうか?」


ソレイユみたいに顔を隠している人は普通いない。まあ、ちょっとは居たけどね。昔の英雄さんだと怪盗さんとか仮面のヒーローさんとか。


実はね、ソレイユは私と二人っきりだと、マスクを取ることがあるんだ。マスクの修復とか改善のためだったりするんだけどね。でもね、素顔を見せるのは身内だけなんだって。「マスクは誇り、魂だけど、家族の前まで、家族の前だけは、気を張らなくてもいいんだよ」そう言ってた。


「ソレイユ様。何か一言お願い出来ますか?」


最後にアクエリアスがソレイユにお願いする。流石にずっと「うむ」じゃダメだったみたい。


それにしてもアクエリアス。ずっと誰かに似ているなあと思っていたんだけど、今日見ていて分かった。彼女、加藤瑞希に似てる。2027年前の最初の英雄召喚で来た子。あの頃はまだ異世界召喚だったかな。


よく考えてみたらカツーは彼女の子孫が起こした国だし。ここの王家は血統を重視してて昔は近親婚を繰り返してたし、今でも離れた血筋とは婚姻を結んでいない。だから似てるのが産まれて来てもおかしくないのかも。


加藤瑞希と違うのは髪の毛ぐらい。一度彼女と似てるって認識したら、何で今まで気付かなかっただろってレベル。アクエリアスは赤い髪で腰まで長いけど、加藤瑞希は黒くて短くて跳ねてた。あ、雰囲気全然違うから気づかなくて当然。……だよね?


あ、ソレイユのお話聞かないと。


「俺がアクエリアス姫に召喚されたソレイユだ」


聞こえ来たのは自己紹介と言う爆発音。ううーー、耳が痛い。ソレイユの声はおっきい。アクエリアスは拡声の魔術を使ってたけど、ソレイユは必要無い。なのに使っちゃったからこの有り様だよ。


《消》


私は魔詞を発して拡声の魔術を消す。まだ耳が痛いよ。隣にいたアクエリアスなんか目を回してるぐらいだし。


そう言えば魔詞だけど、私には今みたいに《消》だけで済むのが、リスティナ達魔術師にはいちいち長く発しなきゃダメなんだって。さっきの《消》だと、《私が放つのは打ち消す魔力。狙うは私が指し示す魔力。其は声量の増幅》ぐらい必要かな。もしかするともう少し必要かも。不便だよね。


「みんなスマン。俺の声がでかすぎた。今は大丈夫だよな?」


あ、ソレイユがこっち見た。私が魔術を消したのに気付いたかな。


「みんなは俺を見てこの格好、このマスクに色々と思うこともあるだろう。実際に城のみんなにも聞かれたしな。でも、それ全部で俺だ。そう言うもんだと思ってくれれば嬉しい」


そこまで言うと、ソレイユはバルコニーから飛び降りた。ひょいって。みんな驚いてる。私も驚いてる。ソレイユは平然。結構高いよ、あのバルコニー。


「まあ、そう言われても納得できないだろう。だが、俺は説明とか苦手でな。誰も言葉じゃ納得させれないだろう」


ロープを掴んでひょいっとリングに飛び乗る。


「だから俺は行動で示そうと思う。このリングの上で、俺が何者なのかを。そして知って欲しい。俺とプロレスを」

次回『青空プロレス2』


しばらくシルク視点で青空プロレス続けます。

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