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よくある異世界転生物語~勇者といえど欲には勝てない~(仮)  作者: demz


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4/6

先生

試験官に連れてこられた別室には、すでに一人の女性がいた。


若い。

他の試験官とは違う、柔らかい雰囲気。


「……ふーん。この子がダンね」


そう言いながら、顔を近づけてくる。


近い。


キスされるんじゃないかと思うくらいの距離。


思わず息が止まった。


(いや、近すぎだろ……)


自分でも分かるくらい、耳が熱くなる。


「もう一度検査するけど——この力に心当たりはある?」


何事もなかったかのように、彼女は問いかけてきた。


「両親が火と水を扱うので、どちらかだと思っていました。心当たりは……ありません」


正直に答える。


嘘をつく理由もない。


「そう」


短く頷くと、彼女は先ほどよりも一回り大きな水晶を取り出した。


「じゃあ、これに両手を」


言われるままに手をかざす。


胸の奥に、妙なざわつきが残る。


光が、また揺れた。


さっきと同じ——いや、それ以上に不安定な輝き。


「……やっぱり」


小さく、そう呟く。


その声は、どこか納得しているようにも聞こえた。


「この子は、私が責任を持って教育します」


強面の試験官に向かって、静かに言い切る。


一瞬だけ、部屋の空気が変わった気がした。


けれど次の瞬間には——


「大丈夫よ」


優しく微笑まれる。


その笑顔に、さっきまでの違和感が少しだけ薄れる。


(……なんだ、いい人じゃん)


そう思ってしまった。


部屋を出ると、ユーリとカイトがすぐに駆け寄ってきた。


「大丈夫だった?」


「なんかされてないか?」


二人とも心配そうな顔をしている。


「うん、大丈夫」


正直よく分からなかったが、特に問題はなさそうだった。


「先生がすごくきれいだった」


軽く冗談っぽく言う。


「……心配して損しましたわ」


ユーリが呆れたようにため息をついた。


少し言い過ぎたかもしれない。


「明日のクラス分け、緊張するな」


話題を変える。


「一緒になれるといいね」


カイトが笑う。


ユーリも小さく頷いた。


僕は、二人の顔を見ながら思った。


(……ほんとに、大丈夫なんだよな?)


理由は分からない。


でも、胸の奥に残った違和感だけが——消えなかった。

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