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よくある異世界転生物語~勇者といえど欲には勝てない~(仮)  作者: demz


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入学試験

春。




王都へ向かう道中、ユーリの横顔をぼんやりと眺めていた。




風に揺れる金髪。


まだ幼さは残っているのに、どこか整いすぎている顔立ち。




(将来やばいな、これ)




そんなことを思ってしまう自分に、軽くため息が出る。




中身は30歳。


でも体は10歳。




このズレには、やっぱり慣れない。




「……ねえ、さっきから何見てるの?」




「いや、別に」




ユーリがじっとこちらを見る。




少しだけ距離が近い。




ドキッとする。




(いやいやいや、落ち着け)




なぜか言い訳したくなる自分がいる。




カイトの声がそれをぶち壊した。




「お前ら仲良いなー!」




「うるさい」




助かったような、残念なような。




自分でもよく分からない感情だった。




王都、そして勇者学校。




圧倒的なスケールに、一瞬だけ言葉を失う。




けれど——




(なんか、思ってたのと違うな)




胸の奥に、小さな違和感が残る。




試験は淡々と進んでいく。




カイトは火属性で高評価。


ユーリは光属性で、周囲がざわついた。




そのとき、試験官の一人がユーリの肩に手を置いた。




「素晴らしい才能だ」




必要以上に距離が近い。




ユーリが一瞬だけ身を引いたのを、僕は見逃さなかった。




(……今の、なんだ?)




褒めているはずなのに、どこか不快感が残る。




言葉にできないけど、妙に引っかかる。




そして、僕の番。




水晶に手をかざす。




その瞬間、光が弾けた。




複数の色が混ざり合い、暴れるように広がる。




「……記録不能」




試験官の声が、わずかに揺れた。




さっきまでの“無機質さ”が崩れている。




(ああ、これ——やっちゃったな)




軽い気持ちだったのに、一気に空気が変わる。




周囲の視線が痛い。




そして。




「その子を、別で確認する」




静かな声。




でも逆らえない圧があった。




移動する前、ユーリが小さく袖を引いた。




「……大丈夫?」




少しだけ不安そうな顔。




その距離の近さに、一瞬だけ意識が持っていかれる。




「……たぶん」




自分でも曖昧な返事だった。




カイトは拳を握っている。




「変なことされたら言えよな!」




「お前が言うと余計不安になる」




少しだけ、笑った。




でも内心は——




(これ、絶対“ただの試験”じゃない)




扉の前で、足が止まる。




ほんの一瞬だけ、振り返る。




ユーリと目が合った。




なぜか、胸がざわつく。




——このまま、戻れない気がした。

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