仲間
10歳手前になる頃には、近所に気の合う友達ができていた。
いわゆる幼馴染というやつだ。
ユーリとカイト。
この2人と過ごす時間は、退屈なはずの子供時代を少しだけマシにしてくれていた。
ユーリは金髪で整った顔立ちをしている。
将来は間違いなく美人になるだろう。
……と、思ってしまう自分が少し怖い。
見た目は同じ年頃の子供。
けれど中身は30歳のままだ。
このズレには、未だに慣れない。
カイトは対照的に、太陽みたいなやつだった。
何も考えていないようで、まっすぐで、眩しい。
こういうタイプは前世でも苦手だったはずなのに、なぜかこいつとは気が合う。
気がつけば、3人でいる時間が当たり前になっていた。
村の外には出られない。
だから僕らの“冒険”は、いつも村の中だけだ。
それでも、なぜか楽しかった。
——本当は、こういう時間をバカにしていたはずなのに。
「なあ」
ある日の帰り道、カイトが言った。
「来年の春には、勇者学校だよな」
その言葉に、空気が少しだけ変わる。
ユーリが先に口を開いた。
「私は勇者になりたいわけじゃないわ。でも——聖職者になりたいの」
「勇者パーティに入って、魔王討伐に関わりたいのよ」
カイトは嬉しそうに笑った。
「さすがユーリだな。俺は決めてるぞ。絶対に勇者になる」
「魔族なんかに負けねえ。みんなを守るんだ」
まっすぐすぎる言葉だった。
だからこそ、少しだけ違和感を覚えた。
——“みんな”って、どこまでなんだ?
「お前はどうなんだよ」
カイトの視線が、僕に向く。
「……どうでもいい、かな」
2人が一瞬きょとんとする。
「勇者でも、そうじゃなくてもいい」
「ただ——」
言いかけて、少しだけ迷った。
それでも口にした。
「このまま、3人で笑っていられたら、それでいい」
カイトは呆れたように笑った。
「ほんと変なやつだな、お前」
ユーリは少しだけ優しく微笑んだ。
「でも、嫌いじゃないわ」
——その言葉が、妙に胸に残った。
気がつけば、春が来ていた。
僕たちは、勇者学校に向かう年齢になっていた。




