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幼女聖女 〜ぷにぷにほっぺ聖女の冒険譚〜  作者: ポムの狼
第九章「目覚めたクッカ」

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第82話 コボルト隊突破作戦

 タロの町まで戻ったアーロとパルタは協力者を探すために町役場に顔を出していた。


 コボルトが大森林沿いに集結していることをパルタが探索課の職員に報告すると、探索課の課長に報告すると言い残して探索課の奥へと消え、また大急ぎで戻って来た。


「探索課の課長が、お二人にお話があるそうです。ご案内いたします」


 受付の職員に案内され、二人は探索課のカウンターの奥へと進む。一番奥の壁まで行くと、「課長室」と書かれた札が下げられた部屋があり、二人はそこに通された。


 中に入るとソファと応接テーブルが一組。奥には大きなデスクがあり、そこでは四十代くらいの男性が一人いた。白髪交じりの髪を後ろに撫でつけた大柄な男だった。


「やぁ、パルタ、久しいな。元気だったか」


 課長はパルタの顔を見ると立ち上がり最近の様子を聞いた。どうやら、パルタと課長は知り合いらしい。


「お久しぶりです、ヨクタヤ課長。俺は元気ですが、娘がやっかいなことに巻き込まれてしまって、困ってます」


「あぁ、銀の聖女の話は聞いたよ。俺もできる限り協力しようと準備していたところだ。ひとまず座ってくれ」


 課長に促され、二人は応接用のソファに座る。課長も向かいの席に座った。


「今回のこととは別件なんだが、実は迷宮都市クルホが大量の高知能魔物の襲来で落とされたらしい」


「なに!? それは本当ですか?!」とパルタ。


 課長は深刻そうに顔を歪めながら頷いた。


「あぁ、間違いない。王女殿下の祝賀パーティーで高ランクの勇者と聖女が不在にしていたのも大きい。すぐに攻め落とされてしまったそうだ」


「死傷者は?」


「民間人は無事らしい。奴らは逃げる者までは襲わなかったそうだ。抵抗した勇者や聖女が数人怪我をしたとは報告を受けている。クルホはまた私たちが都市部を攻略する前の状態まで逆戻りだ」


 アーロがパルタと課長の関係が気になりそわそわしていると、パルタが課長との関係を話してくれた。課長も昔は勇者をしていて、クルホの都市部攻略メンバーの一人とのことだった。


「それで、俺たちに話というのは?」とパルタは再び話を本題へと戻す。


「国から魔大陸にいる民間人の退避命令が出た。勇者と聖女はそれを護衛するようにとのことだ。タロからも救援部隊を編成して大森林内のクースィへ送ることの許可が国から降りた。

 それを口実にコボルトの警備を突破する人員を確保できた。パルタは娘を助けに内陸へ向かうんだろ? タロからの救護部隊でクースィまでは応援できそうだ」


「ありがとうございます!」


 パルタは少し涙ぐみながら課長と握手した。


「幸いにも、王女殿下の祝賀パーティーからこちらに戻ってきている高ランクのバディが今タロには多数滞在している。その者たちにはもうすでに声は掛けてある。出発は明日の明朝。準備してくれ」


「分かりました」


 アーロも課長と握手を交わし、協力を得られたことに感謝した。




 * * *



 メツァ大森林前の丘に隠れた部分に救援部隊は集結した。救援部隊のリーダーは、以前クルホのダンジョンボス討伐戦の時もリーダーを務めた大山崩しの勇者ビオルノだ。


「クースィの住民の避難を考えると例のコボルトたちを可能な限り殲滅させたい。奴らの数はたったの三十。こちらは二十人で数では劣るが、約半分の十一人がA級だ。手こずることはないだろう」


 ビオルノは集まった勇者と聖女の顔を見渡した。皆余裕のある表情で頷く。


「クースィの人たちを助けに行くぞ!」


「「「おぉ!!」」」


 ビオルノの合図で一斉に全員が走り出した。

 以前クルホのダンジョンボス討伐戦では補給部隊だったアーロは緊張で顔を強張らせながら走った。



 コボルトたちも丘の上から一斉に走り出てきた人間たちに驚くことなく武器を構えた。ある程度こういったことも想定していたのだろう。


 人間側は魔法使いや弓使いが丘の上に留まり援護、その他は一気にコボルトに切りかかった。横一線で激しい戦いが繰り広げられた。コボルトたちも勇者や聖女に引けを取らない強さではあったが、一匹二匹と少しずつ数を減らしていく。


 このまま押し切れると人間側が確信した――その時。丘の上で援護していた魔法使いから悲鳴が上がった。


 アーロが振り返ると、森の前に陣取っていたはずのコボルトが丘の上の聖女を襲っていたのだ。一匹二匹と丘の上のコボルトが増え、人間側は完全に挟み撃ちされたような陣形となってしまった。


「な、なぜだ!? 潜伏している敵がいないことは確認済みだったはず」


 リーダーのビオルノは予想外の展開にたじろいだ。


 アーロの懐からヘルミが飛び出してきて、ぶるぶると身震いした。


「アーロ! どこかに復活したコボルトが転移するための魔方陣があるはずです! それを探すのです!」


 ヘルミの声を聞いて、アーロが相手をしていたコボルトの前にパルタが割って入る。


「いけ、アーロ! ここは俺が何とかする!」


「はい!」


 パルタのカバーのおかげでアーロはすぐに行動に移ることができた。アーロは後方で襲われている勇者や聖女のところへキヴィを走らせた。キヴィが後方の盾を担えば、態勢を立て直す時間ぐらいは稼げるはずた。


 アーロは息を切らしながら丘を駆け上り、転移の魔方陣を探した。


「アーロ! あっちです! あの茂みの中からスム様の魔力を感じます!」


 ヘルミがアーロの肩から飛び降り、アーロの前を走った。アーロも必死でヘルミを追いかけた。


「見つけた! アーロ、この花を燃やしてください!」


 背の高い草をかき分けた先に白い花が円形に並んで生えている場所があった。白い花は不思議な淡い光を放っている。


 アーロはトゥリチットゥを召喚して、白い花を燃やした。白い花は光を失い、あっけなく黒い塵になって消えた。


 アーロが花の魔方陣を破壊したことで、コボルトの復活はパタリと止まった。少しずつコボルトの数が減り、最後には人間側が勝利をつかみ取った。

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