第68話 クッカ救出作戦
「では、次は銀の聖女救出について話し合いましょう」
そう言ったのは、ヘルミの話を大人しく聞いていたルノ王女だった。
「前世に何があったかは、この際関係ありません。我が国の大事な国民が一人他国に誘拐された。向こうには向こうの言い分があるのかもしれませんが、私はこの国の王女として、それを黙って見過ごすことはできません」
全員が王女の声に頷いた。考えは皆一緒だった。
「ふわふわさん、こちらからあなたを通じて魔国の代表に銀の聖女を帰すように交渉することはできますか?」
「僕はスム将軍と念話という方法で連絡を取ることはできます。しかし、『帰してくれ』と言ったところで『はい、分かりました』と応じることは絶対にないかと思われます。逆に向こうを警戒させてしまうだけですので、連絡を取ることは僕は反対です」
「では、我が国から救出部隊を出すしかないでしょうね。陛下や担当の者たちと早急に検討し、人選します」
「俺が行きます。俺に行かせてください」
真っ先に名乗りを上げたのはアーロだった。
「私も行く」
次に手を挙げたのはヘンリクだったが、パルタがそれを制した。
「ヘンリクは国に残れ。魔大陸の最奥まで行くのですら何年もかかるか分からないんだ。ラシットをこれ以上待たせるな」
「しかし」
「いい。今回は俺が行く。いいよな? エリサ」
「もちろんよ。必ず私たちのクッカを取り戻してきてね。私……待ってるから」
エリサはクッカのこともだが、パルタのことも心配なのか目を潤ませて言葉を詰まらせた。
「分かりました。アーロとパルタさんが二人でバディを組めるように会議では提案します。他のバディも動かせるかどうかはまだ分かりませんが、私なりに全力で掛け合ってみます」
「ありがとうございます」
パルタはルノ王女に礼を言った。
「私からも提案させてください」と今度はイェレだ。
「カウッパ商会から、他国の冒険者にクッカ捜索の依頼を出す許可をいただきたいのです。いいですよね? 会長」
「あぁ、もちろんだ。クッカちゃんはうちの商会の大事な広告塔だし、息子の想い人だ。金ならいくらでも出そう。うちの商会でできることはさせていただきたい。よろしいでしょうか? 王女殿下、ハカラさん」
「うちとしては願ってもないことです。なぁ、エリサ」
「はい、ぜひお願いします」
パルタとエリサは顔を見合わせてから、カウッパ会長に返答した。
「私としても問題ありません。他国の冒険者に依頼を出すことは、我が国の法律には違反しませんから」とルノ王女も賛成する。
「では、私は早速陛下にこのことを報告して参ります。皆さんは一度自宅に戻られて英気を養ってください。会議の結果や出発の詳細については後日改めて連絡させていただきます」
* * *
後日パルタの家に届いた王宮からの書状には次のことが書かれていた。
・アーロとパルタを正式なバディとして登録し、クッカ捜索の任にあたること。
・他のバディに捜索の任務に専念させることはできないが、魔大陸で知り得たクッカの情報を報告したバディには国から報奨金を出ること。
・カウッパ商会からの依頼で同盟国のペイン共和国からも協力が得られることになったこと。
「アーロ、行くぞ。クッカを助けるんだ」
アーロはパルタの声に頷いた。
アーロとパルタのクッカ救出の旅が始まろうとしていた。




