表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼女聖女 〜ぷにぷにほっぺ聖女の冒険譚〜  作者: ポムの狼
第四章「魔大陸上陸」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/85

第31話 夜中の訪問者

 ケト草原に大きなピクニックシートを敷き、クッカとアーロとヘンリクはお昼休憩に入っていた。

 アーロの小石精霊キヴィはその辺に落ちていた小石を集めて食べ、火の精霊トゥリチットゥはクッカが出した火の玉を食べて丸くなる。ヘルミはクッカの前で丸い毛玉になっていた。

 三人は朝からヘンリクが早起きして作ったお弁当を食べている。クッカは先程出会ったテヘラの新人冒険者の話を切り出した。


「先生…… あの子たち、どうしてあんなにボロボロの武器だったのです?」


「うちの国は神託で選ばれた人間しか魔大陸の探索の仕事はできない事になっている。その分支援は手厚い——が、他所の国は違う。希望すれば、誰でも冒険者になれるんだ。生きるか死ぬかは自己責任だ」


「はい……」


「魔大陸での仕事は給料がいい。だから、中には一攫千金を夢見て無謀な挑戦をする奴らもいるってだけだ。元手も無いのに冒険者になるとさっきみたいな事になるのさ」


「国からの援助はないんですか?」


「ない。ただし、入手した魔石、素材、アイテムはその分全て冒険者の物になる。うちの国の制度も一長一短があるし、他国のもそうだ。どちらが良いとか悪いとか、そういう問題じゃないんだ」


「……でも、あの子たち、あのまま冒険者が勤まるとは思えないな…… 弱かったし、明日にでも死んじゃうかも……」


「そうかもしれないな。でも、彼らもそれは十分に分かっている筈だ。クッカが気に病む必要なんかないんだよ」


 ヘンリクはそう言うがクッカには簡単に割り切る事が出来なかった。

 もし、今日出会った冒険者が死んだりしたら、クッカは間違いなく落ち込むだろう。


「とにかく、あまり他国の冒険者に肩入れするんじゃない。いいね」


「はい……」


 明らかに元気がなくなってしまったクッカを励まそうとヘルミがクッカの前でふわふわでポンポンのお腹を出して寝っ転がった。しかし、ヘルミのお腹を撫でたのはアーロだった。ヘルミは牙を出して、口をぴくぴくさせた。



 ※



 クッカとアーロの初日の収穫はまずまずの結果だった。

 三人でタロの街役場の探索課という部署の受付に今日獲得した分の魔石と素材を納品する。

 役所の制服を着たお姉さんが本日の納品した品の鑑定をしてくれた。


「極小魔石73個、小魔石31個、スライムゼリー18kg、ステップウルフの毛皮31枚、ステップウルフの牙と爪。合計で282万イルの納品です。現在のアーロ、クッカ組のランキングは150位丁度となります。今月の魔石ノルマ達成まで、残り196個です」


「こんなに沢山取ったのにまだ150位!?」


 アーロは口をあんぐり開けている。


「アーロ、まだ初日だし他のバディはもっと単価の高い魔物を狩っている。今月はランキングの事は考えなくていい。タロに滞在しているのはより安全に狩りや探索に慣れるのが目的だ」


 ヘンリクはアーロの背中を叩いて励ました。


「分かりました…… 早く慣れるように、明日も頑張ります!」


「いいぞ、その意気だ」

 気持ちを切り替えたアーロを見てヘンリクは優しく微笑んだ。



 * * *



 その日の夜——

 寝る時間になったクッカとアーロはすぐに自室のベッドに潜り込んだ。初めての任務がよっぽど疲れたのかアーロはベッドに入るなり、イビキをかいて寝始めた。

 クッカはというと、やはり今日出会った新人冒険者の事が気になってなかなか寝付けなかった。


「アーロ、イビキうるさすぎ……」


 クッカは頭から布団をかぶり、ヘルミをぎゅっと抱きしめながら、無理に目を閉じた。





 コン


 何時になったのかは分からないが、すっかり夜も更けて、窓から大きな丸い月が見えた。

 部屋の窓に何かが当たる音がして、目を覚ましたクッカはむくりとベッドから起き上がった。


 コン


 また、窓に何かぶつかった。小石だろうか。

 クッカはベッドから出て、窓に近づいた。窓の外を覗いて見ると月明かりに照らされて、昼間に出会った新人冒険者の三人クッカに向かって手を振っていた。


 もしあの人たちがヘンリクに見つかりでもしたら怒られると思い、クッカは音を立てずに家を出た。


「どうしてここが分かったの?」


 クッカは小声で三人に話した。


「ごめんなさい。こっそりあなたたちの事を見張ってたんだ。どうしてもあなたとまた話がしたかったの。もう少し、向こうに行って話をしましょう」


 ヴィオレットがにっこりと笑ってクッカを手招きする。

 クッカは後ろめたい気持ちもあったが、三人が心配だったので大人しく付いて行く事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ