第27話 角部屋は俺の物だ!!
「一階にはリビング、キッチン、バスルーム、三階にはベッドルームが三部屋あります」
「やったぁ! 個室だ! おっ先ぃ!」
「あ! ズルいぞクッカ! じゃんけんで部屋決めしよう!」
ドラの説明の途中でクッカとアーロは二階へと走っていってしまった。
「すみません、子供たちが騒がしくて……」
ヘンリクはドラに頭を下げたが、ドラは全く気にしていない。
「いえいえ、気にしていませんよ。孫を見ているようですよ。羨ましい限りです。
では、キッチンの設備からヘンリクさんにご案内しますね」
* * *
一方その頃——
クッカとアーロは階段に近い方の角部屋をどちらが使うかで揉めていた。
「私、夜中にトイレ行きたくなるタイプの人間だから、階段から近い部屋じゃなきゃだめなの!」
「俺だってトイレの近さには誰にも負けない自信がある」
二人は変な事で競い合っていた。
「俺なんか学園に通ってた時は休み時間毎にトイレに行ってたから『トイレちかお』って呼ばれてたんだぞ」
「かわいそすぎだろ!」
(アーロは学園での話を全然しないから、もしかしてとは思っていたけどアーロって友達いなかったのかな…… なんだか、急に可哀想になってきちゃったよ……)
「ふ……どうやら、私の負けのようだな。
使いたまえ! このトイレに近い方の部屋をな!」
クッカは可哀想なアーロに勝ちを譲った。
クッカとアーロは自分達の部屋に入っていった。
部屋に入るとアーロは自分のベッドにダイブし天井を眺めた。昨年建ったばかりということもあって、家は至る所から木のいい匂いがしたが、天井の板についた節が人間の目のように見えて少し不気味だった。嫌だなと思って眺めているとクッカが部屋に入ってきた。
「アーロ…… やっぱり一人で寝るの怖いから、こっちの部屋にベッド運んできてもいい? 天井の模様が顔みたいで怖いの……」
アーロはガバっと勢いよく起き上がって笑った。
「クッカはまだまだおこちゃまだな。ベッド運ぶの手伝うよ」
クッカとアーロは協力してベッドを運び、角部屋は少し狭い二人の部屋になった。
アーロはエテラマキ家でも兄と姉とは疎遠だったし、学園生活でも友人と呼べるような級友はいなかったので、クッカとの関係は心地良いものだった。
クッカはアーロにとってバディであり、妹であり、唯一の友人なのだ。
「おーーい! ドラさんが帰るから降りて来なさい!」
「「はーーい!」」
一階からヘンリクが呼ぶ声がしたので、二人は揃って返事をした。




