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幼女聖女 〜ぷにぷにほっぺ聖女の冒険譚〜  作者: ポムの狼
第三章「船旅」

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第22話 魔大陸にたどり着けないだと!?

「うぅ…… 気持ち悪いぃ……」


 船旅が5日目を迎えた朝。クッカはアーロの声で目が覚めた。クッカは二段ベッドの上の段からむくりと起き上がって、下の段のベッドを覗いた。


「アーロ、どうしたの? 大丈夫?」


「大丈夫じゃない…… ヘルミがいない……」


 ヘルミならクッカの服の中に潜り込んでいる。何かに怯えたようにブルブルと震えていた。


「ヘルミが何か怖がってるみたい…… どうしたんだろう……」


 クッカは服の上からヘルミを撫でた。それでもヘルミの震えは治まらなかった。


「クッカ、こっちに来て見てごらん」


 ヘンリクは客室についた丸窓を覗きながらクッカを呼んだ。クッカは二段ベッドから飛び降り、ヘンリクと一緒に外を見た。

 窓の外には真っ白な霧が立ち込めていた。霧が深くて海がどうなっているのか全く分からない。


「ヨーラだったら、こんな霧は通らない。何かあったんだろう。クッカ、アーロ。武器を持って甲板に行くぞ」


「了解!」


 クッカはすぐに斧を背中に背負って準備する。アーロはよたよたと起き上がって、覚えたてのキュアで船酔いを治してから準備した。



 * * *



 甲板に出るとヨーラと風曲の二人が何か話をしていた。


「おはよう。何かあったみたいだな」


 ヘンリクが先に来ていた三人に状況を聞いた。


「あぁ、おはようヘンリク。さっきから魔大陸に向けて船を走らせているんだが、どうにもおかしいんだ。プウとクッカが手伝ってくれたから、そろそろ到着してもおかしくない筈なんだけど……

 昨日の夜にこの霧に入ってから、一向に霧の中を抜けられないんだ。このままだと魔大陸にたどり着けない」


「「えぇ!!」」


 魔大陸にたどり着けないと聞いたクッカとアーロは声を揃えて驚いた。

 ヨーラにはこの状況の原因が分からないらしい。


「俺たちも外の様子がおかしいので出てきたんです。どう思います? ヘンリクさん」


 プウもヘンリクにアドバイスを求めた。


「恐らく人魚だろう。魔大陸で一度だけ遭遇したことがある。霧を出して、船を迷わせる魔物だ。食料が尽きて、私たちが弱るのを待っているのだろう。こちらから攻勢に出よう。このまま待っていても向こうの思う壺だ。

 風曲の二人は水上歩行は使えるかい?」


 二人は首を振った。


「じゃあ、私たちで人魚を船に誘き寄せる。二人には船の警備と私たちの援護を頼みたい」


「分かりました」


 ヘンリクはいつになく厳しい表情でクッカとアーロを見た。


「二人とも、初陣だ。心の準備はいいか」


 クッカは背中から斧を抜き、くるくると回しながら構えた。顔はいつも以上に笑顔だった。


「待ってました!」


 クッカは久しぶりに斧を構えて嬉々としている。


「そろそろ体を動かしたいと思ってたんです」


 アーロはズボンで手汗を拭いてから、両手で二本の短剣を抜いた。


 二人が怖気づいていないか心配していたヘンリクだったが、どうやら取越苦労だったようだ。ヘンリクはふっと息を吐いて、いつも笑顔にもどった。


「よし。上出来だ。水上歩行をかけてあげよう」


 ヘンリクは呪文を唱えてから、自分とクッカとアーロに杖の先を軽く当てた。


 クッカは自分の体が薄い膜のようなものに覆われた気がした。


「ついておいで」


 ヘンリクが船から飛び降りたので、クッカとアーロもそれに倣って飛び降りた。

 飛び降りると不思議なことに海の中に沈むことはなかった。アーロは水上を歩く初めての経験に感動すら覚えた。


「気をつけてね!」


 船の上からラインが手を振っている。

 クッカが元気いっぱいに手を振り

「行ってきます!」

 と返した。まるで、遠足にでも行くような雰囲気だ。クッカは海の上をスキップしながら歩いた。




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