第13話 クッカとアーロの仲直り
アーロと喧嘩した後、クッカは泣きつかれてヘンリクの腕の中で寝てしまっていた。そんなクッカをヘンリクは宿まで連れ帰り、ベッドの上に寝かせてくれたようだ。
どれくらい寝ていたのか分からない。クッカとヘンリクが宿泊している宿の部屋の扉をノックする音が聞こえて、クッカは目を覚ました。
起き上がったクッカのほっぺには枕の痕がついていた。
ヘンリクが扉を開けると、宿屋の女将さんが扉の前に立っていた。
「ヘンリクさん、下にラシットって人とアーロっていう子供が二人で来てるわよ。なんでも、クッカちゃんとヘンリクさんに謝りたいんだとか言ってたわ。どうする?」
「……ラシットが来てるんですか……」
ヘンリクは振り返ってクッカを見た。どうするべきか判断に迷っているのだろう。
(ここは、私が大人になってあげよう)
「先生、私、アーロと仲直りしたいな。アーロのこと腹パンしちゃったから、私も謝らないと……」
クッカはベッドからジャンプして飛び降り、ヘンリクの手を握った。
「先生、一緒にアーロに会ってくれます?」
ヘンリクはクッカの手をぎゅっと握り返した。
「あぁ、もちろんだ」
* * *
クッカとヘンリクの二人は宿の一階まで降りた。アーロとラシットは一階の食堂の席に座って二人を待っていた。クッカとヘンリクが降りてきたのを見て、アーロは立ち上がった。
「クッカ…… 降りてきてくれてありがとう…… その、俺…… 君に謝りたくて」
クッカはヘンリクの手を離して、アーロのもとまでパタパタと走った。
「私もごめんなさい。お腹、もう大丈夫? 痛くない?」
(前世では怒って腹パンして、部下のことを殺しちゃったことあるからな…… 新しい体がまだ未熟で良かった…… ん? 部下ってなんだ?)
クッカは頭の中に一瞬だけ、誰かの記憶がちらついた気がしたが、すぐに思い出せなくなってしまった。
アーロは顔を歪めて笑った。
「大丈夫、痛くないよ。クッカ、君に言ったことを謝るよ。ごめんなさい。俺とバディを組んでください!」
アーロがクッカに深々と頭を下げた。クッカの目の前にアーロの頭があったので、クッカはアーロの頭を撫でた。
「いいよ。仲直り。一緒にお仕事頑張ろうね」
クッカはアーロの顔を覗き込んだ。
アーロは安心したのか、涙を流していた。
「うん…… ありがとう……」
クッカはアーロの手をとって、自分のほっぺに当てた。
「私のほっぺ触ると、皆笑顔になるんだよ。アーロも元気だして」
「うん……」
アーロは開いている方の腕の袖でゴシゴシと涙を拭いた。そして、両手でクッカのほっぺを包んだ。
「ほんとだ…… なんだか元気になってきたかも」
(そうだろう、そうだろう。今生の私のほっぺは天下一だからね)
クッカは満面の笑みをアーロに向けた。
「君の事は、俺が守る。約束する」
アーロは決意を新たにそう告げた。
「うん! 私もアーロの事を守るよ! アーロをいじめるやつがいたらボコボコにするよ!」
クッカはかわいい顔で物騒な事を言った。




