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無能と追放された〈戦後処理官〉、英雄たちの失敗を全部押し付けられていただけでした 〜戦争は勝ったのに滅びる国で、俺は“後始末”を任された〜  作者: 風牙シオン


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第62話 連鎖崩壊

 暴動は、一都市では収まらなかった。


 ベルク。

 リューデン。

 カイゼン旧加盟地域。


 三都市同時。


「……同時発生です」


 エレナの声が、わずかに震える。


「発端は?」

「公開データの再解釈を巡る衝突」


 スクリーンには、各地の映像が映る。


 燃える建物。

 逃げ惑う人々。

 叫び声。


「連鎖しています」


 クラウスが低く言う。


「誰かが煽っている」


「違います」


 アレンは、静かに否定する。


「構造です」


 沈黙。


「情報が分断を可視化し、

 対立を増幅している」


 カタリーナが呟く。


「……止められるの?」


 アレンは、答えない。


 答えられない。


 同時刻、アウステル。


 ヴェルナーは報告を受けていた。


「機構関連の暴動、拡大中」


「そうか」


 彼は短く頷く。


「我が国は?」


「安定しています。

 治安維持措置、継続中」


「よろしい」


 彼は窓の外を見る。


 整然とした街。


 混乱はない。


「……違いは明確だ」


 その夜。


 ベルク本部。


 機構は、緊急対応会議を開いていた。


「情報公開の一時停止を提案します」


 エリオットが言う。


「拡散を止めるべきです」


「それは逆効果よ」


 カタリーナが即座に否定する。


「隠蔽と受け取られる」


「ならこのまま燃やし続けるのか!」


 エリオットの声が強くなる。


「選択は二つです。

 制御するか、崩壊するか」


 アレンは、黙っていた。


 全員の視線が向く。


「……情報の整理を行います」


 ゆっくりと口を開く。


「解釈ガイドラインを追加」


「間に合いません」


 エリオットが即断する。


「現場はもう議論の段階ではない」


 報告が入る。


「ベルク南区、警備線突破」


 空気が凍る。


「負傷者増加。

 医療施設が逼迫」


 皮肉なことに、医療再編の影響がここでも出ていた。


 搬送遅延。


 処置待機。


 混乱の中で、さらに遅れる。


 アレンは、机を見つめたまま言う。


「……私の判断が引き金です」


 誰も否定しない。


 それが、答えだった。


 エリオットが静かに言う。


「あなたは、設計者であるべきでした」


 その言葉は、静かだが深く刺さる。


「だが今は、現場を見ている」


 アレンは、ゆっくりと顔を上げる。


「……それが間違いでした」


 沈黙。


 カタリーナが小さく息を吐く。


「違う」


 彼女は首を振る。


「見たことは間違いじゃない」


 短い間。


「だが、“どう使うか”を誤った」


 その言葉が、静かに落ちる。


 夜は深い。


 だが街は眠らない。


 炎と怒号が続く。


 戦後処理官は知っている。


 制度は壊れる時、音を立てない。


 だが――


 壊れた後の世界は、

 大きな音で崩れ続ける。


 機構は、今その境界に立っていた。


(第62話 了)

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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