007 やーらーかーしーたー
ある意味ここまでがこの物語のプロローグ
前話のあとがきで書いた通り、リュリュシャちゃんの秘密がちょっと明かされます。
あかん、マジでやらかした気がする。
すげぇ積極的だったリュリュシャからの誘惑を何とか断ち切って、リュリュシャとは神社の入り口で別れた。
ないとは思ったが、あの様子だと万が一のことを考えなきゃならんので尾行に注意しながら家に帰って来た。
昼食用にと帰宅途中に買った弁当と飲み物を冷蔵庫にぶち込み、ふらふらとベッドにダイブする。
「あーやべー、あれ絶対にやらかしたやつだよー」
マジで、これどうしたらいいよイフちゃん…。
あんなとこでリュリュシャと出会うのは予想外過ぎたけど、リュリュシャのあの態度に関してはよくよく考えたら予測しておくべきだった。
物語の始まりは学園入学後が基本になるからって油断しすぎでしょ俺は。
本当に、今回の件だけは冗談抜きに完璧にやらかした。
少なくても、リュリュシャだけは俺より先に主人公と出会わせておく必要があったのかも知れんのにだ。
それは何故なのかって?イフちゃんも知りたい??
実は、リュリュシャは攻略ヒロインの中で1番フラグが立ちやすいのよ。
なんせ、主人公と出会っただけでフラグが立ってしまうチョロインなのだから。
他に2人ほどゲーム開始時には既にフラグが立ってるヒロインもいるが……あの2人はチョロインではない特殊な例なので除外する。
ん、何で出会っただけでフラグが立つかだって?
いやね、リュリュシャって特殊な魔力に惹かれちゃう体質の持ち主なのよ。
この世界の魔力はよくあるマナとオドなんだけどさ、ゲームでは魔力って魂から生み出されてるって設定になってた。
ガイア性理論をぶち込んでたのかは知らないけど、大気中だろうが水中だろうが、この星の何処にでも大体存在してるマナは地球の魂から生み出されてて、オドは生き物の魂から生み出されてるらしい。
ただ、マナとオドを厳密に区別してんのは結構な専門家くらいで、基本的に一般人はマナとオドを区別せずそれら二つを合わせて魔力って呼んでる。
で、ゲームから現実になっちゃったこの世界でも、ゲームの設定を受け継いで魔力は魂から生み出されてることになってた。
ちょっと話がズレたから戻すけど……リュリュシャは特殊な魔力に惹かれるって話したやん?
んで、さらに魔力って魂から生み出されるって言ったやん??
んじゃさ、転生者っていう別の世界からやって来たヤツの魂ってさ、普通の魔力になると思う???
「なるわけないんだよなー」
はい、いぐざくとりーでございます。
リュリュシャは転生者である主人公の特殊な魂から生み出された魔力に惹かれてしまうので、出会っただけでフラグが立ってしまうってわけです。
Q.では、主人公と同じ転生者であろう俺とリュリュシャが出会いました。どうなりましたか?
A.何故か主人公と出会った場合よりリュリュシャがヤバくなりました。草生える。
いや、もしかしたら草生やしてる場合じゃないかも知れないなぁ。
「………明日からの学園生活でリュリュシャが主人公に惹かれなかったら、最悪の場合俺が喰われる」
しかも、今日のリュリュシャの反応からするに……それほど時間がない。
「途中でちょいちょい瞳の色が変わりかけてたし、あれ本来ならリュリュシャルート後半の演出だぞ」
これからの学園生活を大幅に変更する必要があるなこれ。
俺と会ったあのわずかな時間であそこまでリュリュシャが堕ちかけたってなると……戦闘を回避するのは無理か。
嫌だなー、リュリュシャってめちゃくちゃ戦いにくいんだよなぁ。
なんせ、リュリュシャはチョロインのくせにラスボスを1人で完封勝利出来ちゃうっていうチート級の能力持ちで、ヒロインの中でも戦闘能力はトップクラスだし。
学園入学時の成長しきってない今でさえ、いざ戦いになったら冗談抜きでヤバい。
「…………最悪のケースをどこまでヤバく想定すべきか」
やっといて損はないから、最悪の最悪まで想定しとくか?
予測を外すと行きつく先はバッドじゃなくてデッドエンドに一直線だし。
それなら、最初から何もかもがヤバイって状況を想定して全力で抗う方が最終的には楽になるでしょ。
「とりあえず、入学後はソロでもいいから学園の初級ダンジョンにさっさと潜ろう」
モンスターだろうが何だろうが、何かを攻撃して傷付けるってことに慣れないといけない。
殴り合いすら珍しい、平和な時代の元日本生まれの元日本育ちには厳しそうだけどな。
「あとは、神蝕遺物の能力を把握して…………」
使える手札は出来るだけ増やしていく方針でいかないとなぁ。
俺が使う武器も決めないといかんし、魔法の練習もしなきゃいかんし。
家に咲刀くんのっぽい武器が何種類か保管してあったから、この身体は武器を持ったことがないってのは無さそうだけど、練習は必須でしょうし。
いきなり忙しくなるなぁ、本当に嫌だ。
そういや、リュリュシャってたしかゲームだと槍使ってたけど、この世界でもそうなのかな?
槍の扱いが上手(意味深)って聞くとテンションが……こんな状況じゃなきゃ上がってたかもな。
はぁ、もう何で誰かを傷付けることを真剣に考えなきゃいけないんだろうなぁ。
しかも相手がリュリュシャっていう最高の巨乳美少女だっていうのに。
しっかり考えないと自分が死ぬからってのはわかってはいるんだけど、どうにもなぁ。
今日俺に向けてくれた笑顔が偽りだということは知っているんだけどさ。
それでも、自分が死なない為にあの笑顔を向けてくれた女の子相手に全力で抗って傷を付けてかなきゃならんってのは………本当にままならんなぁ。
無理だと思うけど、主人公どうにかしてくれ。
本当に、切実にどうにかしてくれ。
………………………………………………俺はもっと平和に生きたいよ、イフちゃん。
「おはようございます、イフちゃん」
あーだーこーだと考えて、そのまま寝落ちしたらしい。
「……………午前6時42分。すっごい寝たのね」
時計を見たらびっくりな時刻が表示されていた。
昨日、家に帰って来たのが昼過ぎだったから……どう考えても12時間以上寝てませんかね?
まぁ、リュリュシャと会って疲れてたってことにしよう。
「入学式は9時から受付けだっけ」
家から学園までは徒歩15分ほどだから……余裕を持って8時30分くらいに出ればいいか。
とりあえず、シャワー浴びて眠気を飛ばしてご飯でも食べよう。
昨日買った弁当が冷蔵庫に残ってるから、朝食はそれでいいや。
はぁ……よく寝たから思考はすっきりとはしてるけど、やっぱ気分は重いわ。
それでも、やるしかないんだよなぁ。
「仕方ない、か」
そう、仕方ないんだ。
だから、俺がこの世界で生きていく為にやれることをやろう。
………………決意表明完了っと。
ベッドから起き上がりカーテンを開ける。
カーテンを開けた窓からは、転生してきた日と同じようにすっきりと晴れた空が見えた。
あれからまだ1週間しか経っていないのに、色々ありすぎだと思った。
転生したときと比べて、俺の心は少し重いし不安なことは増える一方だ。
それでもこの雲一つない空は、物語が始まるのには相応しい空だと感じた。
次回、ようやく学園の入学式(予定)。
文章中で少し触れていますが、攻略ヒロインの中でラスボスを単独討伐出来るのはリュリュシャとあと1人だけです。
リュリュシャはそのチート級の能力とラスボスに相性有利が取れるので、もう1人は単純に自身の武力でごり押せます。
主人公?3周目くらいなら1人でもラスボスに勝てます。2周目だと育成中の運が絡むので微妙。
作者のやる気が絶好調になりますので
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