005 神頼みは基本
強くてニューゲームでも初手右のカプセルってやったことないや
「まさか本当にあるとは……」
いやぁ、念の為に見に来てみたんだけどびっくりですわよイフちゃん!
ん?何があったのかって??
「周回特典であるここに来た形跡がないってことは、主人公は1周目ってことなのかな?」
うん、そう周回特典なんだ。
たしか前にも言ったけど、α水をプレイしていくのに1番影響が出る周回要素は主人公が前世の記憶をいつ思い出すのかってやつなんだ。
主人公は1周目であっても『Hero and Heroine ONLINE』の世界について熟知して転生して来ている存在ではある。
しかし、それはあくまで事前に攻略や育成の知識を持った上での『ニューゲーム』であり、2周目以降の『強くてニューゲーム』ではないのだ。
じゃあ、実際問題何がそこまで変わるのかって?
2周目以降、主人公は幼少期に前世の記憶を思い出す。
幼少期に記憶を取り戻したことで、ヒロイン達との関係性も有利に出来るし、幼少期から学園入学までの長い期間で自身を強化出来る。
この強化ってのは、修行して自分の能力を高めるだけじゃなくて……本来なら学園に入学してから取りに行くはずのアイテムを先に取りに行くことが出来るのだ。
別に学園に入学してから取りに行けるアイテムなら、入学してから行けばいいって?それは違うのですよイフちゃん!
「ツクヨミの神蝕遺物か」
複雑な紋様が刻まれた鈍く輝く銀色の指輪にしか見えない厨二感ダダ漏れ名称の素敵アイテムさん!
もちろんその厨二ネームに負けず効果もすごいのですよ!!
どのくらいすごいのかって?これが、あればプロローグ中にお姫様を追わないでソロで異星寄生体を輝き滅ぼせるようになるくらいすごい。
もっと具体的に言うなら『Hero and Heroine ONLINE』世界のラスボスより強いエンドコンテンツ的なヤツを相手にするなら必須レベルなアイテムなのです。
「しっかし、アマテラスやスサノオではなくツクヨミとは……一体何がどういう理由で選ばれたのやら」
まぁ、ツクヨミも十分過ぎるくらいチートだから問題ないかな。
「でも、本当にありがとうございます。今度、掃除道具も持って来て祠を綺麗にしてお酒でもお供えしますね」
丁寧に感謝を込めて一礼し、祠から立ち去る。
とりあえず、装備品ですし忘れないうちに着けちゃいましょう。
サイズ的に左手の中指とかかな?ゴツくないしファッションリングにも見えるでしょ。
………あれ?酒を供えるって言っちゃったけど、俺って年齢不詳だし酒って買えるのかなぁ??
さて、イフちゃんをかなり置いてけぼりにしてるので中途半端にせず最初から説明するね。
まず、ここは学園からそこそこ近い場所にある神社である。
この神社はストーリー中で初詣に使われたり、浴衣姿のヒロインとお祭りデートをするなど何かとゲーム中で主人公はお世話になる。
そう、浴衣姿のヒロインに大変お世話(意味深)になる神社である。
そんな神社なんだけど、実はこの神社には目立たない小さな祠がある。
マジで目立たないので、ゲーム1周目だと気付かないことすらある。
ヒロインの1人が正月にここの神社で巫女のバイトをするんだけど、初詣に来た主人公がそのヒロインと会話したときに「神主さんが言ってたけど、この神社には本殿以外にも小さな祠があるらしいよ」ってセリフを聞かないとマジで存在すら認知出来ないくらい目立たない。
通常の参道から外れた奥の奥にある祠なんぞ誰が気付くか。
で、その話を聞いた主人公は後日その祠を探すことになり……頑張って発見し参拝する。
参拝した際に祠の神様からランダムで魔導遺物っていうアイテムをいただけるという……すげぇ身も蓋もない言い方をするとアイテムガチャイベントを起こせる。
貰える魔導遺物も攻略を進めるのに便利なアイテムが多いので、やっといて損はない程度のイベントだったりする。
んで、そんなガチャイベントなんだけど……2周目以降は重要度が一気に変わる。
どういう設定でそうなってるのかはわからないけど、周回特典として学園入学前にも参拝出来るようになり、参拝すると便利なアイテムからぶっ壊れアイテムが貰えるように変化する。
学園入学前にこの祠を発見し参拝するとランダムで3柱の神様のうちの1柱から神蝕遺物という超絶すごいアイテムが貰えてしまう。
神蝕遺物が何なのかは説明が面倒だからまた今度なんだけど、とにかく超絶すごいアイテムなんだと思ってもらえればいい。
ちなみに、3柱の神様はアマテラス、ツクヨミ、スサノオという日本人でも日神人でもほぼ知らない人はいない神様である。
「で、俺が今回貰えたのはツクヨミの神蝕遺物という訳でしたーっと」
イフちゃんへの説明をしながら道なき道を進み、本来の参道へと戻って来る。
さて、これからどうしようかな。
ここ数日で周回要素についても確認して来たが、学園入学前に確認出来る周回特典はここで最後だし、明日は学園の入学式なので遠出もしたくない。
せっかく来たんだから、本殿にも参拝してから昼ご飯食べに行くくらいか。
石畳で舗装された参道は両側が桜並木となっていて、満開の桜が咲き誇っているので今の季節に散歩するには大変よい感じだ。
参道を散歩している人もそこそこいるみたいやなぁ、桜綺麗だし気持ちはわかる。
つかさ、祠から参道に戻って来たとこ見られてないよね?完全に不審者だったやん。
………お巡りさん呼ばれなければ大丈夫か。
さて、桜並木を抜けて本殿に到着っと。
境内結構広いなぁ、さて手と口を清めなければ。
「……の」
そいや、神社で手とか口を清める龍とかから水出てる建物ってあるやん?あの建物って何て名前なんやろね。
「……の………ません」
おっ、あれかなー。
結構デカい桜の木の横にそれっぽい建物があるわ。
「あのっ!」
んぁ?さっきから声は聞こえてたけど、もしかして俺に話しかけたのか??
女の人っぽい声だったけど、とりあえず声のするに振り返ってみ…………はぃぃぃぃ!?
「……よかった、聞こえていないのかと思いましたわ。少し、お尋ねしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
あー、うん。
思わず、彼女に見惚れてしまった。
春によく合う桜色のコートは前を開けていて、白色のセーターにチェックのスカートと彼女の素性を考えれば驚くほどシンプルなコーディネートだ。
お忍びのつもりなのか特徴的な長くて綺麗な銀の髪を隠すために被った帽子と、眼鏡の奥から覗く夜明けを思わせる深い青色をした瞳が俺を見ている。
「…………もしかして、俺に話しかけてました?」
あかんあかん、思わず呆然としてしまった。
「はい。神社という場所には初めて来るのですが、参拝の作法に少々不安がありまして……よければ教えていただけたらと」
あーあーあーあーうん。
「…………お、俺でよければ大丈夫ですよ」
何とか、何とか意識を持ってかれないように返事をする。
いーやーさー、画面越しには何度も何度もお世話(意味深)になったけどさー。
実際に現実で見ると破壊力がヤバくないですかねぇ…。
めっちゃ可愛い、あかんぐらい可愛い。
こんな女の子が本当に存在していていいの?ってくらい可愛い。
語彙力なぃなるぅぅぅ可愛いぃぃぃしゅごぃかぁいぃのぉぉぉ。
ごいりょくなぃなぁた……………………しゅき。
あと、セーターがっつり押し上げてる自己主張しかしてない胸部装甲is何なん?
彼女の身分とかを考えたら普段から姿を見られることには慣れてはいるだろうけど、それでも失礼だと思うから一生懸命に顔を見て返事したけどさぁー。
顔が可愛すぎて直視するのが辛過ぎるからって目線を外したら外したで、呼吸するだけでも揺れてるソレに目線が吸い寄せられるの。
もはや視覚に対する暴力ではないですかねー。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いしますわね」
いやー微笑みながら返事しないでー、その笑顔は凶悪過ぎますわよ!?
それ以前に!それで!!その可愛さで!!!本当に変装してる気なんですかね!?
貴女様は御自身の容姿の愛らしさをご理解していらっしゃるのかしら?そんな帽子や眼鏡如きでは全く隠せませんし、むしろ更に磨きがかかっていますわよ!?
変装が変装になってないのですわ!!原作になかった眼鏡差分とか魂を取られるレベルで可愛いんですのよぉ!!??
…………ちょっとテンパり過ぎて思考がもうよくわからん感じになってきてる。
ていうかーさー、なんでこんなとこにいるんですかねーリュリュシャさん??
学園エロゲ転生において!入学前にヒロインと出会うのは基本!!
作者のやる気が絶好調になりますので
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