012 おうちかえる
前略、イフちゃんお元気ですか?
早いもので、桜花魔導学園に入学して1週間が経ちました。
前世と合わせて2度目の学生生活ということで、友人などが出来るかなど不安はありましたが何とかやれています。
そうそう、入学式の時に友人になったハヤトですが、婚約者の方とも和解?したらしく私にも紹介してくれました。
進堂センカさんというお名前で、見た目は小柄で可愛いらしい……なんというかリスとかウサギとかを連想する感じの女の子でした。
まぁ、実際に言葉を交わしてみると見た目に反して意外と芯が強い印象を受けましたが。
あと………ハヤト様しゅきしゅきオーラが凄いです。
それ以外は割と普通で、よくある良家のお嬢様だから箱入りで世間を知らないとかもなく、とてもいい娘です。
そうそう、ちょっと探りを入れてみた感じだとゲームの原作通り主人公くんのクラスにヒロインやら友人枠やらが固まっていました。
遠目から見ただけですが、ヒロイン達は顔面偏差値高い過ぎでした。
あれからリュリュシャとの関わりもないので、ひとまずは安心しています。
これから、ゲーム内でもあった色々なイベントが起きていくと思いますが何とかクリアしていきたいと思います。
うん………思うんだけどさぁ。
「もうやだ、おうちかえるぅぅぅぅ」
「うるさいぞ咲刀!叫んでないで手伝え!!」
「無茶言うなハヤト!俺はお前ら夫婦と違って一般人なんだよ!!」
「夫婦じゃねえ!まだ婚約してるだけだ!!」
「『まだ』ですって!あんだけぶつくさ言ってたのに結局婚約については嫌がってないじゃん!センちゃんもハヤトにデレデレだし!!イケメンは滅びろー末永く爆発しろー!!!」
「あ、あのハヤト様も鳴宮様も落ち着いて」
「センちゃん助けて―お宅の旦那が嫁が可愛いってマウントとってくるよー」
「センカを巻き込むな!いい加減手伝え!!」
はい、現実逃避はやめて大混乱な現場からお送りするよイフちゃん。
混乱させてるのはお前だって?いやだなー、俺は面倒だから真面目にやりたくないだけです。
あと、こんな状況では愚痴ってないとやってられない。
俺達の前方にはゲーム最初期に出て来る雑魚モンスター達がわらわらと群れてて、戦場の有明でのシャッターサークル並みに最後尾は見えない。
それを前から順に武器やら魔法やらで対応してるけど、もういい加減疲れてきたんだけど最後尾札持った奴は何処よ?
というか、俺に文句言いながらもハヤトさっきからばっさばっさと余裕そうに魔物を倒してるし、センちゃんもハヤトのフォローしてるんだから……俺がそっちまで手伝う必要ってあんまりないと思うんだけど?
連携の練習とかまだしてないから変に手伝うと逆に足を引っ張りそうってのもあるし……あと、俺の戦闘スタイルってアホ程集団戦に向いてないのよね。
「自衛くらいはやってるんだしさー。そいっ!」
グギャーって叫びながらこん棒構えて飛びかかってきたゴブリンを避けて、すれ違いざまに首にナイフをぶっ刺す。生き物にナイフを突き立てる感触って何か嫌だなー。
この感触には慣れたくないんだけど、これからの事を考えたら慣れないとダメだよねー。
やだやだ、まぁ……仕方ないからハヤト達の負担を減らす為にも今回は咲刀くんモードで対応しましょう。
この身体の元々の持ち主で組織の構成員である咲刀くんは戦うことにも慣れているっぽくて、俺があれこれ考えなくても身体が覚えてるって感じで対応してくれる。
もう1人のボクっ!って身体の支配権を明け渡すってほど酷くはないけど、何となく頭の中に意識を日常用から戦闘用に切り替えるスイッチがあって、スイッチオンで戦闘用の思考に切り替わる感じ。
これを咲刀くんモードってテキトーに呼んでるんだけど、今回もちょっとお任せしよう。
んじゃ、ちょっと咲刀くんモードに切り替えてっと……。
「やるか」
ゴブリンからナイフを抜いて後続の魔物の方に蹴り飛ばしてちょっと時間稼ぎ、魔力を練り上げる。
「ライトニング」
稼いだ僅かな時間で雷の魔法を構築して魔物たちに放つ。
魔法の当たった魔物たちはそのまま倒れ、数秒も経つと溶けるように消えていく。
ダンジョンで生まれた魔物は魔力によって身体が構成されているので、死ぬと実態を維持出来なくなるだっけ?何回見ても不思議な光景だわ。
「アクセル。シャープエッジ」
速度を上げる身体強化系の魔法を自分に使用、あとナイフに切れ味を向上させる魔法をかけて魔物の群れに突っ込む。
ナイフで切れそうな魔物には首や心臓などを狙い、ナイフの通らない硬そうな魔物は雷の魔法で対応しつつ魔物群れの中を走り抜けていく。
ここにいる魔物たちは対処が難しくなくて、初心者でも楽に相手出来るのばっかだから出来る芸当なんだけどね。
あと、殺せば消えるから魔物の生死を確認をしなくていいのが楽だし、死体とか血で足を取られる心配がないのもいい。
「はい、じゃまー」
通行の邪魔になってる魔物に蹴りを入れ、他の魔物たちにシュート。
「ちょーえきさいてぃんぐー」
雷の魔法をドーン。大分数も減ったな?
やれやれと咲刀くんモードを解除する。
「手伝ったぞーハヤトー」
「………………そんだけ出来るなら最初からやれよ」
すまんな、咲刀くんモードは便利なんだけど何かあんまり使いたくないんだ。
なんというか……俺の力じゃない気がするし、心と身体のズレみたいなのがあるように感じちゃうのよね。
まぁ、それはそれとして。
「しっかし!何で魔物の氾濫とか起こってんだよ!しかも初心者ダンジョンから!!」
うん、これ魔物の氾濫なんだ。
魔物の氾濫とは何ぞやって?まぁ、ゲームとかラノベとかでよくあるやつと同じなんだけど、大雑把に説明すると魔物の数が増え過ぎてヤバいってやつ。
もっと細かく説明しろって?もぉーイフちゃんは知りたがりさんだなぁー。
「魔物の数も落ち着いたみたいだし、ちょっと休憩する?」
「魔物の氾濫もまだ続きそうだし、休めるときに休んどくべきか……センカもそれでいいか?」
「はい!ハヤト様!!」
ハヤトに話しかけられただけなのに、センちゃん嬉しそうやなーリア充は滅びろー。
さて、んじゃちょっと休憩出来るみたいなんで魔物の氾濫について説明するねイフちゃん。
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