68.鷲爪の騎士たちと
聞き飛ばせ、と唸り声がきこえたなら、聞き飛ばしてもかまいません。
戦争の大義名分は、時とともに色褪せてゆく。
しるしたる、それは遺恨か教訓か。"統世の代"から百余年を経て、"際涯なる凍れの山岳砦"は、陰鬱な過去のまま聳えていた。
その東西部を架け渡す"老兵の橋"や、補給路を隔てた深い雪の日々――まつわる逸話の数々を、この"三角大町"ではまだかろうじて聞ける。かつては軍事の、いまや交通の要衝として栄える、"凍れの砦"も山麓の町であった。
道は三方に分かたれている。
北北西の路は、砦に、ひいてはジガヴェスタ領へ。
南西の路を選べば、いずれダンコヨーテ領を見ゆる。
シュワルコフ領都とは離れるばかり、真東の路は、来た道だ。
満ちた月が欠け三つめの昼に、"商隊"の黒馬車は転がりこんだ。
大広場でゼンは降車して、見上げたむこうに砦をみとめた。明瞭にそれは浮かび上がっていた。
大層なところに、けっこうな建造物である。時が時だから、はしゃぎ甲斐もないが。
目当ては一等連絡所である。
振り向いたところ、面する要地だ。威風があった。砦もさながら巨大であった。郵便施設、冒険者組合、食事処、夜には酒場を兼ねるのだそう。
門と見まがう大扉は開け放たれている。
直通する大広間に客入りはまばら。ずらり各種の受付台が遠い。奥の炊事場はがやがやしている。壁面一方に、びっしりと諸掲示物。もう一方は郵便施設への通用口と、ちょっとした連絡用の小窓。角ばって長い大机と、背もたれのない丸椅子が、空間のだいぶを占拠して、収容人数を物語る。これらを高い梁天井から、秤の領章、統括紋章、髭のシュワルコフ公の大肖像画が見下ろしている。
先行くヴィクトルが"盾の首飾り"をさらしていたから、受付まで歩かされずに済んだ。立ち番の衛兵のひとりが、首をひっぱられるよう駆けつけるのである。
「これは統括騎士殿!」
まばらな人目を、ひとところに集めた。そばかすのある青年だった。
「お目にかかれて光栄であります!御用があらせられれば、本官になんなりとお命じください!」
「所属と名は?」
「は!鷲爪西端騎士団見習騎士位、コーネルスと申します!」
「雑事を厭わんかね、見習騎士コーネルス」
「無論であります!」
おもしろいことに、彼らは王国語で会話する。当代の"騎士"には不可欠な素養だ。
「動員制には詳しいか」
「くまなく!」
「この町の最高責任者は?」
「はっ!選挙制の実施以来、市政権限の多くは町首長に委任されております」
「緊急出動と招集令に関しては?」
「いずれも騎士団長との合議を必要としますが、越境を要さぬ限りシュワルコフ公の承認は不要です」
「ならば町長および騎士長の両名に、至急面談の手配を」
肩書きをひけらかす時だった。
「私はダンコヨーテ公特任統括騎士、ヴィクトル・サンドバーンである」
(騎士サンドバーン……!?)立ち番はふたりいて、出遅れた方が目をみはった。元の持ち場で辛抱強く起立している。
「緊急事態でありますか!」元気のいいコーネルスだ。
「危急の案件だとも。それとこれらを軍用連絡口に」したためものを、ヴィクトルは手渡した。
「万事お任せください!速やかに手配致します!」
気合の入った騎士の礼だった。しばらく若い戦士の脚なりに、しかる方々へ急ぐのが見えた。
かたわれの衛兵に、あとは任された。目くばせされて名乗りをあげる。
「鷲爪西端騎士団見習騎士位、キャメラクであります」
「新前の教育が行き届いているな」
「は……」
えれぇ薹が立ってみえら――うしろでサルヴァトレスがにししと笑うと、キャメラクは怪訝な様子であった。ぞろぞろと控えていて、"商隊"は謎の一団である。
「冒険者と仕事の経験は?見習騎士キャメラク」
「は。不躾な態度をまずお詫びいたします」慇懃な見習いだ。「先のコーネルス同様、本官は剣気も飛ばぬ新前であります。外部戦力との共闘経験もございません。ですが招集令すなわち一大事、携わる何人も軽んじられてはならないことは、よく聞き及んでおります」
居住まいにせよ落ち着いているが、ふたりの新前は同い年なのだと後で聞ける。
「……して、何からご用意いたしましょうか」
「ひとまず一角借り受けたい。それと食事の手配を」
「はっ!」
ほとんど施設の人間らしい。キャメラクが腕を振ると、こまごまとした清掃やらなんやらに、人々が集っては捌けるのである。
「忘れていかんな、医者も呼べるか」
騎士ともなれば呼びつけるものなのだ。厩舎で一仕事をおえたダルタニエンが、合流したところであった。
「手当てを受けろ、ダルタニエン。ゼン、お前もだ」
「そんなぁ、へいきだよぉ~」「ええ、平気です」
「膿むと差し支える。ついでで構わん」
大机のひとつを陣地として、"商隊"は居心地をあらためてゆく。
「上げ膳据え膳でえれえこった」サルヴァトレスは大胆に腰かけた。じろじろと遠慮しない。「でけぇ箱だが腕はどうでぇ」
「奥に興味が?」
「あたぼーよ!こちとらすくねぇ楽しみさ」
「……後で話を通してやる」
「おーっ、わかるじゃねぇの!」
来るべき人なり物なり、待つべきだけの時だった。しばしば陥る虚無である。ハウプトマンがぬかりなく、知っておくべきことに言及した。
「見習騎士ってぇと、どんなもんだ?」階級制度についてである。
職員に混じって、せっせと机を拭いたキャメラクは、次の指図は今か今かと、後ろでやすめをとっていた。
「仕事の体はしかつめらしい兵卒だが、騎士っていや、士官様だろう」
「首を傾げてもやむを得ん。だが腑に落とすなら歴史ものだぞ」
「そいつぁ良い!」エウロピアではどうだかわからない、しかし"商隊"では、"商隊長"がいちばんえらい。「ここまであんまり不勉強だ。お前さんが悪い気しないなら、ご教授ねがいたいもんだね」
「……公用語ではな」長話を渋るのではないらしい。
「同時通訳ですか?ええ、試してみましょう」こともなげにイトーは言う。
「……眠くなったら、まぁ聞き飛ばせ」唸り声であった。
――察して訊ねたのやもしれんが、我が国の軍階級制度とは目下、整備途上にある。アメイジアのそれをすんなり模倣といかんのは、もとの混沌ざまの責だ。
……ふん。どこまで遡ればスジが立つかとひねったが、やはりもっとも原初たる貴族制度についてから、言及は避けられまい。
前提として、力が有るものでなくば、長というのは担えなかった。
小地方の豪族の長だ。
武に秀でていること。魔を退くだけの力。一族を守り抜くだけの力。不可欠だった。
ひとりの英雄とその親族が、集団の基本要素であった。
一族運営も規模がふくらむと、血統に由緒する"領主貴族"として分散する。配下に私兵をたくわえる。
だが士師の子が士師とは限らん。
"士師"――土地の言葉で、"英雄"に相当する語です。イトーは補足した。
息子であれ、甥であれ、おじであれ、威のため剣は取れども、現実は必ずしも追いつかない。
配下の私兵に、ここで目が向く。
勢力が増せばおのずと多様で、かならず大きく芽吹く種がある。
血で地位をつなぐ統手たちは、守る力を持たぬがために、代行者として彼らを抜擢した。
エウロピアでいう、"騎士"位のおこりだ。
仕事はさせる。地位は譲らぬ。けれど叛逆はたまらない。封ずるための方便が、いかにも高貴な騎士称号……と、俺は解釈している。持て囃し、対価を重ねて飼い殺すことで、忠義らしいものを醸成し、私兵長として重んじた。
"貴族"すなわち英雄を指す時代が、このとき終わった。
血脈だよりの非力な貴族は、"血統貴族"と呼ばれるようになる。昔ながらなら"武人貴族"だが、原義を思えばおかしな名付けだな。
なぜ貴いのか?
心命を賭して戦う日に、生まれて死ぬまで備えるからだ。
さて、"武人貴族"とはいえ、"騎士"をほしがる者はいた。
戦力運用上の利便性。称えることでの、反逆の予防……計算違いもはなはだしい。
"騎士"の肩書きとは、"貴族"よりずっと聞き映えたのだ。
非血統主義であり、徹底的に実力を基とする。矢面に立ち、穂先となりながら、死地から生還してしまう。民の信望は厚くなる。
幼子が夢に思い浮かべるのは、貴族ではなく騎士だった。領主の子飼いになるのをきらい、あくまで"騎士"その人に弟子入りしたがる若人たちがいた。
"騎士徒弟制"の成り立ちだ。
広域にこれが及ぶと、"騎士団"の創設が、貴族の名のもと行われた。
わかるか?やはり御したい腹積もりだな。
何たら騎士とは、このときなった。
すなわち。
騎士長、大騎士、筆頭騎士、正騎士、準騎士、従騎士、見習騎士ないし新前騎士……まったくくだらん。
「なぜです?」ゼンは熱心に聞いていた。
しきりが、てんでばらばらだったからだ。
自然的な波及だろう、"騎士団"の乱立は時を同じくした。けれども、たとえ似した階級名にせよ、共通言語になりえなかった。
階級複雑化の主因である。
たとえば筆頭騎士なる役職がある。
これは騎士団Aでは、団内随一の実力者を言う。
しかしとなりの騎士団Bでは、正騎士未満で一番の意味だ。
そのまたとなりの騎士団Cでは、そんな役職はないという。
これのおかげで当代も、名乗りあいには、くだらん気遣いがいるのだな。騎士は単なる騎士でよかろうものを。
「でしたら、見習騎士というのも?」イトーが口をはさんだ。
「俺の出領にはなかった。しかし郷に入らば従うまで」
「恐縮であります」
キャメラクも耳をそばだてていたようだが、配膳にそなえて去った。長話は続く。
騎士団にせよ徒弟制にせよ、同じくあらたな騎士を生んだ。
貴族が思いのままに任ずる"拝命騎士"とは異なった、"人民騎士"だ。
民の人気を後ろ盾とするたたき上げで、貴族はしぶしぶ騎士位をさずけた。さずけずいれば、民は勝手に"騎士"をつくってしまう。
"人民騎士"の台頭で……いつかの危惧はいよいよ現実となる。
謀反だ。
ちょうど、血よりも富の"成り上がり貴族"が、はびこるような時代であった。
先祖返りの思想が濃かった――民を守り抜く武力とは、総手その人に宿らねばならない。
非道理で古臭い言い訳だ。薄汚い欲望の偽装だ。
個々人の武勇で、全人民を守ることなど不可能である。当代大国のありようにも、それは明らかだ。
民を守るべき。と、任ぜられた騎士が、貴族と対立し、流す血はついに民の血だった。
威信にこだわる貴族、まつりあげられた騎士、まつりあげた民……みな欲をかいたのだ。
「あるいは飢えから逃れたのでは」イトーが訊いた。
「神に庇護されたこのエウロピアでか?」
「凶作というのは、一度もない?」
一品かぎりだが、あたたかで豊かな料理が、"商隊"の前には並べられていた。
「飢えはしたろう。戦国の時代となり、耕すものは減ってゆく……しかし因果はいまに定かでない」
騎士団の謀反が頻発したのは、"血統貴族"と"成り上がり貴族"の領地下であった。
戦局は、専業私兵団に対して、騎士と弟子それと数の素人集団。信じたいもののある、後者の方が優勢だった。
はじめは、各地方の小競り合いであったはずだ。それが全国的に肥大した訳には謎が多いが、"武人貴族"の介入が契機ではないかと言われている。
貴族は貴族を助けたがった。血縁に義理、まがりなりにも肩書きを同じくするけちな誇り、といったところか。
"反騎士派貴族"のもと、忠義の"貴族派騎士"らは苦悩したろう。どこをむけども背馳するのだ。斬る敵はたとえ他領のものであれ、「人民のための騎士」であり、「守られるべき人民」であった。
こうなると事態は混迷しだす。より糸をほどくのは不可能に近い。
武人、血統、騎士に庶民、それぞれ思惑は必ずしも二項対立ではないからな。
いまにも残る文筆がある。
"やられた恨みをはらすため?もはや何のための戦なのか、私にはわからないでいる"。
単純だった時代を、思い返さざるを得ない。騎士とは一私兵であり、よその一族との陣取り合戦に備える切っ先であった。
目論むものがいたのだろうか。手ぐすねを引いていたとすれば、そやつらだ。
どさくさに紛れ、信念不在の領地争奪戦がはじまっていた。
これには若かりし"四賢公"も、黙っているわけにはゆかなかった。
四つの地方に点々としながらも、公らは示し合わせたように、みな一様な方針をとってきた。
のぞむ配下騎士に独立を許してやり、みずからの領地を分譲。訳のわからぬ戦火には、巻き込まれぬよう尽くす。
公らには公らの戦いがあった。火の粉を払うのに、近しくあった「かつての主従」は、かえって結束を固めていた。
戦力の温存と、情勢の俯瞰がなせていたのだ。
ここぞの時に、紛争の仲裁にかかりはじめる。騎士も民も公の味方だった。そして黒幕に正しく鉄槌をくだせたのだろうな。言うまでもない結末が、いまの四大家名である。
額縁の中から絵は見えぬ。常識の難しい時代だった。
四賢公らでさえ、終盤には衝突した。坂を転げた車輪は、簡単には止まらない。またがるのは乱れた人心ときた。
情報通信の未普及、独断と認識齟齬による"嘆きの戦火"……あの"凍れの砦"はひとつその象徴だな。ここが、もっとも争いの長引く土地であった。
事がおさまれば、四賢公も"統世の代"へ、そして連合公国へ……。
……何の話だ?階級制度か。
のちの四賢公のあざやかな改革手腕に、追いつかなかったのが階級制度だ。追いつこうとしなかった、というのが正しいか。
騎士階級名の調整を、渋り散らした者らが者らだ。ときの歴戦の猛者たちが、かつての主に戴いた大切な称号を簡単には放棄できぬ。と、もれなくだだをこねるのだった。
大公らは、戦後の貴重な時を割いてまで、再授与式なぞやってられない。ひとりやりだせばまたもうひとり、かといって代理では角が立つ。
実力の再査定をはじめ、さまざまな案が講じられた。試してみると、やっかむ輩がまた絶えない。どこぞの何某が吾輩と同じとは云々。際限なしだ。
さんざ手を焼いたすえ、この裁定についても示し合わせたよう、四賢公は口をそろえた。
当面保留と。
騎士団の長を"騎士長"とする他は、規定をおのおのに委ねたのである。
ふん、位の早見表を、土産物屋にでも並べるべきだな。アメイジア製の定規をしけば、いびつさで卒倒ものだろう。
およそになるが、騎士位はおよそ尉官から佐官と思っていい。騎士長および、未満でも貴族位を兼ねるなら将官――英雄として期待される。
引継ぎの問題には、今でもふと直面する。
現場における最上位者の死である。
次官へ引継ぐのに、複数団の共同戦線であったりするとな。もはや四賢公のような明確な上位者が、不都合を擦りあわせてくれる時代ではない。
さていまでも「保留」は続くのか?改革自体ははじまっているのだが……。
統合新生騎士位叙任計画だ。これとて一度、白紙に戻されている。
構わんかね、ときの話をもう少ししても?
戦乱の影は尾を引けども、人々は前へ進まねばならない。とどこおりなく、"統世の代"も次代へ遷移する頃である。
衝撃的な邂逅があった。
弧大陸も東の果ての、さらにその向こう。かつてみない超大国から、くだんの使者はやってきた。
「アメイジア……」ゼンはつぶやいた。おそろしい国の名前だった。
弧大陸も西部、エウロピアの豊かな大地に、我ら連合公国は栄えている。
外域探索は方々、戦乱のため長く閉ざされていた。どのみち。
西と南の遠洋は、海獣と帝国海軍におさえられている。
岫から竜を産み落とす北山脈は、踏破ままならぬ大障害だ。
そして古い調査は言い伝う。この大地の東端に見ゆるは、波が砕けては散る懸崖だけである。
第一のアメイジア人は、なにもかも構わず、はるばる東の空をやってきた。駆っていたのは、飛竜であった。
「当時の特務か」軍人らしく、ハウプトマンはいった。
飛竜が最たる脅威の時代だ。統手らの心胆をさぞ寒からしめたという。
くしくも四公が居合わせる場であった。大規模な兵を集い、ドラッドネルト心臓部に集結し、今期竜征伐へさぁ繰り出さん……あるいは見越していたのだろう。
領都の密な対空砲火を、無傷で潜り抜けたその飛竜が、騎竜であるとは誰も想像だにしなかった。
"覚悟を決めた四公が、優雅な着地を出迎えると、騎手は涼しい顔で礼を尽くした。ごきげんよう、素敵なご縁に感謝いたします。百の白刃とその倍の杖で、彼を照準するわけが、皆目見当つかぬほど、美麗な我らの言葉であった"……実話であるから傑作だ。
使者は身ひとつで、アメイジアがなんたるかを示した。知恵と力の決定的な格差を、エウロピアにしらしめた。
その来訪目的が「国交樹立と将来的な共闘のとりつけ」であるのを、女王の直筆は隠さなかったが、すわ正式にとはいたらない。王国人には多く語るまでないな。本格的な我らの交流はまだ近年のこと。
百年を閲しての空白、というわけではない。率直に言わば、アメイジアのもたらすものが、甘言を擬した災いでないか、十全な検討に我らは時を要したのだ。
それも信用が勝っていた。内々増える使者の助言に、大公らは真摯にむきあってきた。統一公国語の試みに代替して、知識層への王国語教育を積極的に実施した成果が、当代には不自由なく反映されている。
新生騎士位の再々検討の優先順位たるや、民の暮らしより後であった。再叙任がようやく徐々になされている。
むしろ幕引きをまだはかれんのが、文民の階級である。
民主化。つまり領主制の行き先だ。俺は政には明るくないが、現状のような軍指揮系統に及ぶ不明化には、沈黙を保てん。
つまり軍動員の責を、もっとも負うべきは誰か?
もと庶民の文民首長、古き形のままの貴族、貴族まがいの強権騎士――小地方では未だ、四大公に決定権が委ねられる場合さえある。連絡所まで馬で数日、それから鳩の往復なぞ話にならん。
数年してみれば、指揮の所在がうつることもある。改革すなわち、痛みに耐える時なのだろうが……全土でこれだ、目も当てられん。ゆく先々での第一確認事項だ。
"統括騎士"の独自裁量権の大きさには、こうした不備を補う意図もある。事態に及んで、軍団をすぐさま動かせないのなら、何者かが相応な時を稼がねばならん。
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さらりととんでもないことを、唸り声である。いまさら不思議におもう商隊でもなかった。
「此度はせめて助かった。末端にまで意識が及んでいる」
眼下の煮込み皿を、騎士はようやくつつきだした。三十分の長話を経て、町の最高責任者はまだ現れない。
「するといかがです?見習騎士位とは、実際のところ」通訳者イトーも口が乾いただろう。水を一口。
「士官候補生あたりが妥当だろう」
「なるほ……だっと!」
思ったぬくもりがそこになく、イトーは芋を滑らせた。一瞥してみるヴィクトルは、何食わぬしかめつらで二口目。冷や飯食らいに慣れている。
「お取り替えしましょうか?あたたかいものと」また控えていた、キャメラクである。
「やや、これでおいしく頂けますよ!まして未来の騎士位を顎で使うなぞ」
「いえ、大騎士の客人のおもてなしです。見習騎士位にこそふさわしい仕事だ」
「大騎士?」
楊枝をくわえつつ、ハウプトマンはおもしろがった。
「そうか、お前さんたら大騎士位か」
アメイジアにて元下士官の男であった。横目でキャメラクを気にしてみせる。
「よもやこんな口の利き方じゃいけないね」
「は、仮にわたくしではとても」
「肝も冷えるな。首が飛んじまう」
「比喩なく」
「形式だぞ、左様な肩書きは」唸り声である。「一兵たりとも率いていない。まして異邦の旅路で只の剣士……あるいはもっと押し出せば、乗り賃を融通したか?」
「や!ビタ一まけなかったろう!」「ふ……」「わはは」
もう一方でも会話がある。
「なるほど儲けだ」サルヴァトレスである。
「なにがです?」ゼンがかまった。
「旦那がえれぇお役なワケよ。制度がガタぴし言う中で、大公様直々のご指名ってなな」
ポットフーには満足らしい。その意外な真面目さをジニーが茶化すと、サルヴァトレスはうまくからかい返したが、笑いのさざなみはすぐ引いた。
ゼンも確かにおもしろくって、笑い顔だけ作ったけれど、たぶん心はこもらなかった。真面目腐ってきける歴史の方が、神妙な面でいられてよかった。
みんなすぐさま寂しい顔だ。取り戻せる日がくるのだろうか?
できることならやっているから、いつも通りでいるべきだった。ゼンは空にした木皿をのける。味っけのない料理であった。
「エウロピアの騎士はいそがしいです」さも興味ありげに、話題を提供しようとする。「人と人とで戦いながら、魔物に竜に……悪心に?」
「然り、かつての"士師"らのすさまじさを物語るな。先々代をみた老兵が、当代のひ弱さを嘆くのにも頷ける」
「でも、ヴィクトルなら?ぐんたいなんだぁ」次の戦いには万全だろう、ダルタニエンは手当てを受け終わっている。
「……務めは果たすとも」
「統括騎士……」
まだ及ばぬ域だと、ゼンは感じた。いつかやってやろうとは思っている。だが今日明日ではとても実現ならない。よく身に染みている。
――フランがいない。祝福がない。そんな僕には、"鎧"がない。
とにかく仲間が必要であると、"統括騎士"が繰り返すのだった。今度の戦いは、きっと大きくなる。
「おそいね、騎士長……」
つぶやきなので、ゼンはさなかの言葉であったが。
「よほど当たりか、よほどの外れかだ」意思が通じた、唸り声である。
「どゆことです?」
「よほど平時、団長職は踏ん反りかえっておれば良い。せいぜい稽古場で腕組みだ。それがこれだけかかるとなれば、となりの騎士団本部にも、修練場にもおらんとみえる」
つっぷす腕の中で、ふんふんとゼンは首をかしげた。
「当たりであるなら、手づから巡邏か仕事か、生真面目なことだ」
給仕じみたキャメラクが、ぴくりとした。ちょうど皿をさげにかかっている。
「見ていろ。外れであれば、酒精やふかしの香でわかる……人目をのがれて札か女か」
「しっ、失礼ながら申し上げます!」
手元の皿をほっぽりだして、キャメラクは大声であった。かたくなに騎士の礼をとっている。
「騎士の何たるかさえ弁えないこの新前の、身の程知らずをお許しください!」薹が立った面構えを真っ赤にして。「聞き捨てなりませぬ。栄えある統括騎士殿といえど!ダコック騎士長は、立派なお方であられます!本日も壁外案件にて――!」
「まぁてまて!」
大声であれば、サルヴァトレスも負けてない。
「こりゃ新前ってな、見かけにゃよらめぇ!どいつもこいつも威勢がよ……ほれ旦那」
「許せ、見習騎士キャメラク。我々はよく理解した。この町の騎士団長が、我々が望むべくした人物だということを」
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"統括騎士"とは第一に、とてもおそろしいものなのだ。
四大領地のそれぞれで、十にも満たぬ超精鋭。民であれ並みの騎士であれ、羨望とともに畏怖するのである。
うわさのせいだ。
"統括騎士"は、"殺しの免許"を持っている。
気にいらぬ者の首を、抜き打ち即断、御咎めなしだ。
なにせ"統括騎士"である。その気に障る方が悪かろう。
まことしやかで、まことなのだ。
大公譲りの超法規的権限が、彼らにはある。
歩く司法だ。
音速を破る足並みと、万物を断つ"剣気"を備えた、裁判所であり、断頭台だ。
連合公国が成って以来、その権限が行使されて、不当だったためしはない。摘むべき芽を的確に区別できねば、"統括騎士"になぞなれないのである。
それはそれとて、やはりおそろしいものであった。目にせぬ実物よりも、尾びれ背びれの噂である。
何を思うかその人に、小癪な口をきいてみよ、どこをはねられたっておかしくない。さる見習い騎士が、どんな思いで声を大にしたか、ということだ。
処罰する気なぞ毛頭ない。と詰め寄る――ようにみえる――にせよ、「顔がこわいのですよ」ゼンは正直に言ってやる。
「生まれつきだぞ……」叱られた狼のように、問題の大騎士は眉をひそめるのであった。
早とちりだ、失態だと、わびるキャメラクが泣きべそなもので、使いを言いつけてやった。
「あるだけの地図をここに」
手持無沙汰にも限度があるのだ。礼儀を思って手つかずでいたが、一歩踏み出てやってやる。
「……これだから、身内以外と喋るのは好かん」
キャメラクがすっかりいなくなってから、ヴィクトルは悲しむのだった。なにかと誤解されがちな、唸り声である。
思いなおしたかキャメラクは、帰還するなり、大騎士をほめそやすのだった。
「いたく勉強になりました。統括騎士殿ほど深い教養を、本官は持ち合わせておらず……」歴史の長話のことだ。
「教養といったか?」なんのあれしき常識だ、と、ヴィクトルはぎろりに込めたのだろうが。「……より励まれよ、見習騎士キャメラク。これからの時代、知は剣以上に物を言う」
「はっ!」
やりとりの間にも、見習い騎士ははたらいていた。
騎士団本部にありったけの地図が広げられて、大机はすっかり埋め尽くされている。
大小、新旧、素材に縮尺、どれも異なるそれらだから、ここ三角大町を網羅するのにも一苦労だろう。
「……どれから見ます?」
「第一に、湖の記載が明確なものを選り分ける」
待望していた仕事であった。ゼンは革靴を脱ぎ散らし、丸椅子のうえで作業にかかる。
これはこっちに、あれはあっちに――貴重な地図も中にはあるらしい。
選別作業にあたって取り囲むなか、キャメラクは小声で問うのであった。隣にはハウプトマンがいた。
「どなたかのお子さんですか」
がさごそ紙のやかましいことだ。本気の親探しであれば、もっと声だって張ろうもの。たったひとりの少年を、商隊長は瞥見すると。
「父親代わりであらば居たがな。訳あって別行動だ」
「……そうですか」キャメラクには悼むような節がある。その調子のまま。「大事なお客様ですから、差し出がましいことは申しません。ただ場所柄、気にかけていただいた方が」
「場所柄?」
「夜には冒険者が集います。酒も回れば荒事が」
「荒事!わははっ」
おかしな口を利いたのだろうか?若き騎士志望者は、面を食らってかたまった。別隣のサルヴァトレスが引き継いだ。
「人ァしるしによらねぇぜ」あやしく笑うのである。「あのチビありゃよ、おたくの国のどえれぇ騎士様も、一目おくだけの剣豪だ」
「は……あの少年が?」
「三月前ならいざ知らず、俺が束でももう敵うめぇ」
いかにもやり手な風体の、サルヴァトレスが言ってのけるから、キャメラクは「まさか!」を口ごもる。何度か両隣をうかがってみても、しばしにやにやするだけだ。
「さぁて鎧も着こなしたんなら、何人分の手前だろーな」よもや白銀のそれを、誰なら思い浮かべよう。「……いまやさほどのチビでもねぇか」
謎の多い"商隊"である。もしやからかわれたのかとキャメラクは、手をいそしむのに戻ろうとする。それも人手が人手であるから、早くも終わりの見える作業だ。つづりのおかしな地図を、一枚よけるだけだった。
「見習騎士キャメラク?鳩はもう全て飛んだだろうか」唸り声である。
「はっ、ただいま確認して参ります」
"商隊"がやってきてから、裏手の鳩舎はさぞ騒々しいことだろう。公開手配の再周知、検問の設置要請、それから盗難の警告が要った。
「事前の認識に漏れはなさそうだ」ヴィクトルがまず手に取るのは、とくに借馬屋の記載がさだかな一枚である。「敷紙をこちらに?」
これで尻尾をつかめるなら万々歳。けれど敵にも知恵がある。易々と姿を晒しはしまい。
「地脚で駆ければ目につくし、馬を用いねば範囲は狭まる……」
安い地図でも金貨何枚の代物だから、うえに薄紙を敷き、しるしをつけてゆく。
「追いつけないほど、遠くへは?」ゼンは作業場に前のめりだ。
「すると必然、複数の馬が不可欠だ。点として得た情報は、かならず連なり線となる」
線にはもちろん向きがあり、我らが行くべき方を示す。
「……だが俺が思うに、敵は隠密を保つだろう」ヴィクトルは地図を見比べている。「根拠は先だっての湖だ」
「"清涼なる湖畔の町"は、ぐうぜんでなかった……」それはもう"穴"があくほどに、ゼンは戦略資料を読みかえした。小難しい文章だったけれど、王国軍の考えなら飲みこめている。
以降、突如とした大穴の出現、それも湖による隠ぺいに警戒されたし。
「だけどもこれだけ多いとなるとさ……」
ジニーが指でなぜてみせるよう、シュワルコフ領を跋扈する山脈の合間に、湖もまた、山ほどだ。
「まだ絞れる。まず最低限の大きさを、"清涼なる湖畔の町"のそれに倣うとする」
人里離れた湖も除外する。近隣には、それなりの町があるべきだ。
「人間様がエサってか」サルヴァトレスはおもしろくなさそうだ。
「うん。《心身ともに彼らの主食だ》……」ゼンの口をついたのは、さなかの言葉だった。
「いまなんと?」イトーは親切に訳そうとしてくれる。
「あ。いいんです、別に……」知らなくたって敵は倒せる。
ハウプトマンが腕をまくった。
「縮尺が難儀だな。そいつを借りても?」
移動距離の概算値なら、すでに下書きがある。間違いのない精密な文具を、いまも用いている。
「僥倖だ。シュワルコフ領外では条件に当てはまらない」ヴィクトルがはやかった。
「残るは北か南か、か」ハウプトマンも読むのが早い。端とはじでは、かなり距離がある。「二択とはいえ、外せばコトだぞ」
「イトー?ひとつ頼みを」ヴィクトルは向き直った。
「予測円ですね」
「左様。足りない推定値は騎士団に提供させる」
「さほど正確ですか、地図の方は」
以後これを参照しろ、とヴィクトルが持ち出したのは、先だってキャメラクがよけてしまった、地名のつづりにあやまりのある地図だ。イトーもそれを理解している。
「ふ、これでも疑うか?」
ヴィクトルが指示するのを、みなでみた。端をこするとあら不思議、文字が浮かび上がるでないか。
『王国測量技会監修』
結局あの国だよりになるのだ。
「検算に、用紙を一束いただきましょう」
イトーは眼鏡を押し上げた。
いわゆる"騎士団"であらば、参謀役とは不遇な立場だ。騎士長補佐、補給官、軍配師、呼ばれは例によって様々だが、死地へ赴く騎士長を代理するのに、相当な知恵者でなくてはならない。
腕前の方はかならずしもで、戦士強権の時代には、なおさら難しい立場であった。騎士長がやられ 騎士団が敗北を喫せば、参謀役が責を問われる。
"商隊"ではいかに?地図を睨みつくす、みなが騎士であり参謀だった。生まれた土地をそれぞれとして、額に汗するのに、わけへだてない。
「肝は等高線……」ハウプトマンは筆を耳にかけた。「行軍に、のぼりくだりの不明がな」
「みんなつよそうな子だったよぉ」ちらと見ただけで、この町の馬の適性が、ダルタニエンにはわかるのだ。
「ふむ。我らによく転ぶのだとみなして……この辺りでしょうか?」
「新月を刻限とするに、候補が……さらに三つ減る」ヴィクトルはしるしを描きくわえた。
「時間をください、もっと詰められます」資料を待たずに、イトーはもっとかかるつもりだ。
ちょうど使いに出していたキャメラクが顔をだす。
「現況を確認してまいりました、万事滞りなく!」
「いいところに、見習騎士キャメラク。次に言う資料をこちらに?」
「はっ、控えます……あ」
地図がなびくのを嫌って、閉じられていた大扉だった。ごとん、と開くのが初耳である。吹き込む風で、熱気は多少ましになる。
待ち人、ようやくまみえたり。
「失敬!長らくお待たせ致しました」
面長に、どこか腹痛もちな表情の只人だ。手ぬぐいで額をひたひた拭いつつ、足早さには誠意がみえる。もうそばだ。
「鷲爪西端騎士団騎士団長位、ダコック・アッカン・シュワルコッヘと申します」
「ダンコヨーテ公特任統括騎士、ヴィクトル・ヴォルフ・サンドバーンである」さすがのヴィクトルも背筋をのばした。「アッカン・シュワルコッヘと申されたか……?」
「どうぞお気になさらずに!薄い血です」
剣を帯びるから剣士と知れるが、"シュワルコフ"なら槍の名家だ。
「ええ、"シュワルコッヘ"と変名を。槍も預からぬ側流も側流ですよ。部下にはダコックと呼ばせています、よろしければ皆様方もそのように」
「では騎士ダコック」「騎士サンドバーン」
ぎこちない笑顔に含意はない。誰かさんがそうであるように、生来そういう顔つきなのだ。
人はしるしによらぬもの。肩書きからしてその人物は、ここいらで一番の実力者、ということになる。交わす握手に漏れ出た闘気で、ハッと気がつける者もいようか。
「すまないが、すでに貴旗下の手を借りている」
「こき使ってやってください。此度の滞在中に何名かつけましょう」
「ぜっ、是非私が!」キャメラクはずっとうわずり調子だ。
「……心遣いのみ受け取ろう。ただでさえ貴殿を部外に呼び付けている」
「何を、こことて我が家です。"七十七歩食堂"と、騎士団では愛称しております。戦に備えるのに、むしろふさわしい」
ダコックは面々を見渡した。要件はただしく伝わっている。
「焦眉の急だとか?」
「左様。招集令を急がれたいが……」
「二度手間になります、詳細については町長隣席のこれからに。先方へはコーネルスを使いにやりました」配慮に富んだ男であった。「この間を借りて、お連れ様がたにもそれぞれご挨拶を……」
伝え聞く、おぼろな状況を真に受けて、彼は最適手を取り終えた後だ。地方騎士長のくせ、武張りもない。いくら統括騎士様のご威光とはいえ、ふつう、我が部下が小間使いではいい気もしない。
名前と政治のあれこれからも、ダコックの人となりはわかる。
当代シュワルコフ大公といえば、ゼムルウェス・"アッカン"・シュワルコフ。
ダコックは"アッカン"・シュワルコッヘ。
"アッカン"とは、初代シュワルコフ公からして名分家筋にあたり、両者偶然の一致でない。
ダコックの言う側流とは、おおいに大公の近縁なのだ。
その名を変じる不届きな真似は、金輪際、一切血筋に頼るまいという、意志表明の文化にのっとっている。つまりダコックは貴族位を放棄して、一戦士として死ぬことを選んでいた。
「《"水満つる杯に一滴の、葡萄の果汁を垂らしたそれを、葡萄の酒と呼びたいのだれば、我が名もたいそう貴きかろう"》」
ダコックが教えてくれるのに、イトーも通訳を手間どった。ひとつシュワルコフ語の諺であった。
「これぞ私の盾ですね。変名すなわち保身とも言えましょう。大伯父の勧めでもあります」恐れ多くも大伯父すなわち、当代シュワルコフ大公だ。
「民主化が進まねば、貴殿の厳君は西部の長だったのでは?」
「左様です。土地をとられて、だいぶ老け込みましたよ」ダコックはくつくつと笑うのである。「ああいえ!恨み節ではございません。なるべくようになったのです」おももちをとりなおすと。「不自由のない幼少を過ごさせてもらいました。人々に返せるものを返さねばと、この剣に念じているものです」
「……実務についてを訊ねても?」
「もちろん、忌憚なく」
「ではそのように。貴旗下、鷲爪西端騎士団の実戦経験とは如何ほどか」
ヴィクトルが問うのは、"悪心"にむけた心意気である。ダコックは少し考えた。
「……恵まれた時代ですね。若い衆は、どのようなものかを伝え聞くのみです。
正騎士位だれば、最低数度は。私は十五かそこいらです。とはいえ、誇れるような戦果はこれと……後処理に、あとはどれもモグラの穴ほど。
あの空を見たのは一度きりです。
すっかり新前でした。震えにふるえて、大伯父の尻にしがみついていた、その一度きり」
「なるほど、委細承知した。実直に述べていただき感謝する」
「啖呵をきって好転するなら、百や二百はくだらんのですが!統括騎士殿としても、これが望みかと」
ダコックはそばの見習いをみつめた。
「なにより前途有望な部下どもに、示しがつかんではなりませぬ。善く続いてくれるのを信じたい」
「……そうあってくれるだろうとも」
ヴィクトルはみなまで言わなかった。期する戦いの対価についてだ。ダコックもまた、わかったうえで言っている。
"冒険者招集令"は翌朝を待たず、夕鐘とともに布告となった。
戦国時代に、傭兵招集令など呼ばれたそれは、なにを隠そう、戦の狼煙である。




