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堅実勇者  作者: 髭付きだるま
第2章 行商人見習い
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第17話 貨幣

「では次に貨幣について説明していこう」


行商人とは何かという基本中の基本の話が終わった。

そして次は基本の講義である。



「さて2人共、実際に扱ったことのある硬貨は何があるかね?」


この質問にケンは銅貨、銀貨、金貨と答え、ハナは更に白金貨と答えた。


ちなみに銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚と100枚毎に貨幣が変わる仕組みだ。



「そうだな、普段暮らしていると金貨以上の硬貨は中々使う機会は無いだろう。ちなみにこの硬貨だが何時何処で制定されたのか知っているかね?」


「硬貨が制定された時期ですか?・・・そうですよね、確かに誰かが何処かでこう決めたから今でも皆が使っているんですよね」


「考えたことも無かったわね。そういえばお師匠様、この硬貨って確か世界共通なんでしたよね」


ギイはその通りだと頷く。全世界で使用される貨幣は万国共通であり、この国で手に入れた金は他の国に持って行っても使う事が出来る。何故ならば貨幣はギルドにある魔道具を通じて世界各地で発行されているからだ。なおギルドは銀行の役割も担っており、この国で預けたお金は、他国でも引き出しが可能である。



「これは一般的には知られていない話だがな、何でも千年前の初代勇者様が関係しているらしいという噂だ。」


「「ええっ!本当ですか!?」」



それはこの世界の誰もが知る伝説。


今よりおよそ1000年前、世界は未曽有の危機に瀕していた。

当時この世界は高度な魔法文明に支えられ、多くの国々が存在する豊かな世界であった。


たまに国家同士でのイザコザが発生する時もあったが概ね平和であり、世界中の人々はその人生を謳歌していたという。


しかしその平和は突如崩れることとなった。どこからともなく現れた魔王達の手によって世界中にモンスターと呼ばれる魔物が出現。対人戦闘のみに特化していた当時の国々の防衛体制は瞬く間に崩壊し、多くの国が滅亡、人類は絶滅の瀬戸際まで追い詰められた。


そこに神より遣わされた勇者が降臨しその偉大なる力で持って魔王達を次々に打ち滅ぼし世界は救われる事となる。そして勇者は人知れず消えていったが、魔王は滅ぼしても魔王達が生み出したモンスター達は生き残り、1000年経った今でも世界は幾度もモンスターの脅威に晒されていた。


以来この世界ではモンスターの活性化が起きると初代勇者にならい各地で「我こそは勇者の後を継ぐ者!」と多くの勇気ある者達が立ち上がり世界を守ってきたという。




そんな話であったが、新米達はまさか初代勇者が貨幣制度に関係しているなんて思いもしていなかったのである。


正確に言うと、当時世界中の貨幣価値はバラバラで各国毎に独自の貨幣を発行していたという。しかし当時は多くの国が滅び、また残った人々が再び集結して国を立ち上げるということが頻繁に起きていたらしく、とてもではないが独自の貨幣制度を維持することは出来なかったそうだ。



そこで初代勇者様が発起人となり世界共通の貨幣制度を作り上げたらしい。ちなみに勇者様の故郷では一定額以上は硬貨ではなく紙であったそうだが、この世界では魔道具を用いて硬貨を際限なく作り出せるため全て硬貨となったとのことである。



ちなみにこの硬貨だが元は何とモンスターから出る魔石らしい。魔石を魔道具の台に置くと、魔石は魔道具に吸収され、代わりに金銭に変換される。そして必要な分だけ引き出せるし、使わない分は預けることも可能だ。


なお人力で作ろうとしてもどうやっても偽造は出来ないのだそうだ。何故なら魔道具本体の内部でどのような理屈が働いているのか今持って分からないからだ。各ギルドに設置してある魔道具はもちろんの事、中央の国に存在するという魔道具の本体も最早現代の人間では解析が不可能らしい。


「千年前の動乱で多くの知識や技術が喪失したり、散ってしまったりしたらしくてな。今では昔の道具を何とか動かして使っている有様だそうだ。分かっているのは機能と名前くらいでな、この世界の経済の根幹をなす魔道具は「ATM」と言う。覚えておくようにな」


ちなみにこのATMだが、古い貨幣を新しい貨幣に変換することも可能だ。だからこの世界には所謂「古銭」という物は存在しない。手数料等も発生しないため、貨幣が古くなったら次々と新しい貨幣に交換してしまうからである。



「あれ?でも僕の村ではATMなんて無かったですよ?」


「当たり前だろ、村の中でそんな大金使う機会なんて無いだろう。たまに来る行商人から買うぐらいだから預ける必要なんかねーんだよ。」


「でも村の中だってお金の流れがあるでしょう?」


「それもうまく回るようになってんだよ。すげー大雑把に言うと、農民が金を使って雑貨屋から物を買う、雑貨屋は仕入れるために商人から物を買う、商人は農作物を手に入れるために農民から物を買うとかな」


「ちなみに君の村を含めて、全ての村には納税の義務があり、年に数回は町で農作物や家畜の売買が行われている。その都度収入から税金が引かれて、残った代金は村毎の口座に振り込まれているはずだよ。そしてその収益で村に必要な農機具や薬、お土産等を買って村に戻っているのさ」


なるほど、知らないだけでそんな風にお金は回っていたのかとケンは感心した。


「まぁ正直それほど気にすることはない。要するに世界中で同一の貨幣が使われていて、その貨幣を稼ぐ方法は星の数ほどもあり、我々はその中で行商という手段を選んでいるという事を分かっていれば良い」


では次は具体的に「行商人として何を売るのか」を教えるとしよう。

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