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堅実勇者  作者: 髭付きだるま
第2章 行商人見習い
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第18話 商品

何を売るか


これは商人と名の付く全ての人物の共通の悩みである。


今売れているものが、5年後10年後も売れるとは限らない。

今売れていないものが突然売れ出すこともある。

流行に乗れば儲かるが、引き際を謝れば大損をする。

当たり前の物しか売っていないと、大きな儲けは出せない。



何を売るのか。世界中の商人が今この時も考え続けている命題である。




「まずハナに聞こうか、これから村を回って行商をすると仮定して、お前が行商人として売りたい物を挙げてみなさい」


分かりましたと答えてハナは幾つかの名前を挙げていった。


・食品

・服

・薬

・花

・貴金属

・食器(陶器製もしくは銀製)

・武器

・防具

・お酒等の嗜好品

・美術品

・楽器

・家具

・馬


「こんなところでしょうか?特に貴金属は小さいけれど高価なものが多いですから積極的に扱っていきたいと思っています」


ハナは実際に自分が売っている場面を想像しているのだろう。満足げな顔をしている。

そしてケンは何故師匠が「王女である」ハナから質問をしたのかを理解したのだった。



「では次にケン、同じく売りたいものを挙げてみなさい」


ケンは次のように答えた。


・塩

・調味料

・農具&工具

・調理器具

・釘

・生活雑貨

・日持ちする食料

・本

・薬

・布


「これくらいです。というか僕の村に来た行商人さん達が実際に扱っていた物なのですけど」


「嘘でしょ?」


ケンの言葉にハナは驚きの声を上げる、今ケンが挙げたものはワザワザ行商人から買う必要があるとは思えない物ばかりだった。だってそれは町の商店に頼めば持ってきてくれる物で・・・と考えて過ちに気づいた。


「気づいたようだな。ハナが挙げたものは「この国の王族や裕福な貴族」が欲しがる物で、ケンが挙げた物は「村人や農民」が欲しがる物という事だ」


「いや、でもお師匠様、村にだって私が挙げた物を買いたい人が居るはずです」


「確かに居るだろう。買えるだけの現金を持っているのならばな」



ハナは「あっ」と声を上げた。確かについ先程村にはそれほどの蓄えはないと教わったばかりではないか。よく考えてみれば村人が貴金属や美術品を買うという想像がまるで着かない。


「ううう・・・申し訳ありません」


「気にしなくても良い。例え貧しかったとはいえ昨日まで王族だったのだ。そう簡単に庶民の感覚を得られなくても無理はあるまい」


自分が未だに王族の感覚が抜けていないことに気づいてハナは己の不明を恥じた。しかしギイは気にした風もなく解説を続けていく。


「さてヘイ、お前が村へ行商に行くとした場合はどのような物を持って行く?」


待ってましたとばかりにヘイは商品を挙げていく。


・塩&調味料(多め)

・農具&工具(一通り)

・調理器具(一式)

・釘(数セット)

・生活雑貨(一通り)

・日持ちする食料

・本(一般に流通している物数冊)

・薬(家庭用医薬品一式)

・布(色と種類を複数、季節によって変える)

・帽子やスカーフ等の場所を取らず重さもない衣服

・貴金属(安物でなくかと言って高くもない物を数点)

・食器(木製の物を数点)

・武器(ナイフ・剣・槍を一本ずつ)

・防具(盾と兜のみ)

・酒(訪れる予定の村の数×2本)

・珍しい土産物




「基本的には重くない物、壊れにくい物、日持ちする物で売れ残っても次回の行商に持って行ける物を持って行きます。場所によっては水とか金属も持って行きますね。美術品や家具なんかは頼まれたら手配します。」


実際ヘイはとある村の村長に「部屋に飾る異国の風景が書かれた絵がほしい」という注文を受け、商会の倉庫に眠っていた他国の風景画を売ったことがある。


さらに「嫁入り道具で立派なタンスを送ってやりたい」と頼まれて、提示金額内に収まる家具を届けた事もあった。


しかし5年も行商人として生きてきたが、美術品や家具を売ることが出来たのはその2回だけであった。


ちなみにどんな村でも酒好きな奴は居るために持っていけば必ず売れるが、馬車が横転した時などに一番被害が大きいのもこれなので、余り量は扱わない。


また貴金属は基本売れないが、何らかの事情で有り金をなくした際の保険として持っている。武器と防具も基本は自分の予備として持っている。要するにこれらは売り物というよりも自分用である。



「あのアニキ、水や金属って誰が買うんですか?」


「場所によってはって言ったろ?水場まで距離がある所に住んでいる物好きや、村の中に鍛冶場がある所もあるからな。そういう場所に行く時のみの特別な荷物さ」


「ちなみにこれは「馬車を使った」行商の場合だ。行商人の基本は徒歩だ。だから持って行ける物は実際はかなり制限されると思え」



ギイは新米2人の目に納得の光が灯るのを見ていた。まぁ実際に行商に出なければ本当のところは分からないだろうが、最初に変なものを仕入れてしまうと不良在庫としていつまでも残るのだ。まずは「確実に売れるもの」から売らしていった方が良い。


ここでケンが手を上げた。


「師匠、でもアイテムボックスを使えばもっと運べませんか?」



確かにアイテムボックスに品物を入れることは可能だ。しかしそれを使って行商をするのは不可能である。何故なら神から授かりしアイテムボックスには幾つかの制限が掛かっているからだ。



「では次はアイテムボックスについて話していこうか」

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