58 伝える前に相手を確認するべき-2
それから間もなくして、教室に予鈴が響いた。
「……本当に二人とも休みか ?」
「中寺、まあ、そう気を落とすなよ。今日も腕相撲付き合ってやるから」
「あ、えっと……じゃあ、私、席に行くわね」
「はい。如奈ちゃん、またあとで」
それに合わせて、如奈も中寺達から分かれる。
自身の席に着くと、如奈はようやく鞄を下ろし一息ついた。
「……」
予鈴が鳴っても、睦人が教室に来ることはない。
如奈自身が何かを聞いているわけではないが、睦人も、そして桐生も今日は休みであろうとほぼ確信である予感を抱いた。
「……」
――睦人は大丈夫かな。
一人になったとたん、如奈の胸中に不安が浮かぶ。
――轢かれた方は無事 ?
――桐生君が来ないのは ? 昨日のことが関係しているの ?
考えても明確な答えは出ない。
出ないからこそ思考は悪い方向へと転び、深みに嵌っていく。
――何でこんなことに ?
――昨日、回り道して帰ろうなんて言わなければ。ううん、私が早く本題に入っていれば。それ以前に、一昨日に泣きださなければ……。
「……私のせいだ」
辿り着いた結論は、自分のせいである、というものだった。
「私が、あんなことしなければ……」
睦人がいたら、それは違う、と否定していただろう。
しかし、この場に睦人はおらず、昨日のことを知るものは外にいない。
如奈が一人考え込むうちに、いつの間にか本鈴がなっており担任が教室に入ってきた。
「みなさん、おはようございます」
にこやかに挨拶すると、そのままホームルームを始める。
「では出席をとりますね。桐生君と宮古君は欠席の連絡をいただきましたが……」
中寺や如奈の予想通りに、二人の欠席が告げられる。
それでも特に滞ることなくホームルームは進み、担任から細々とした連絡事項が告げられる。
如奈はあまり身を入れられていなかったが、その終わりに自身が呼ばれて我に返った。
「ああそれと、篠崎さん、少し訊きたいことがあるので昼休みに生徒指導室に来てください。昼食後で結構ですからね。それでは、ホームルームは終わります」
「……はい」
生徒指導室、という言葉に一瞬教室がざわめくが、如奈は昨日の事故のことかと見当をつけていた。




