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おもしろき あの世で異端者  作者: 大地 チイダ
第2章 黒い現実
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茉莉視点。

 大聖堂。主に儀式を行う場であり、洗礼を行う場でもある。

 入学式というのも一種の儀式だ。別に他の誰かを生贄にするということが儀式ではない。新しい未来を踏み出す際の、新しい人生のスタートという意味で、だ。

 この学校に入学して来た人たちをこの学校の生徒とし、この学校に染まった教育を受け、社会へ向かっていく。

 そんな新入生がすでに3人、大神官及び校長の前に立っていた。私たちは校長(私は大神官のことを校長と呼ぶ。しかしほとんどの一般生徒たちは敬意と恐れを込めて、眼前では『大神官』と呼ぶ)の後ろに9人横に一列に並んでいる。校長に近い順に階級順だ。会長、会長補佐。副会長、副会長補佐・・・、の様に。

 

 見たところ男子は2人で女子が1人・・・か。あの落ち着きがなさそうに「うわぁ・・・!」と声を出しながらキョロキョロしまくっている少年と、まっすぐに正面を向きながら、時折となりの女の子と話したりしている少年。姿勢が良かったのは私にとって好印象だ。剣術では背筋をピシッ!っとしていることが、あらゆる剣術へ応用が転換できるのだ。そこまで姿勢が良くなくとも悪くないが、やはりバランスに大きな差が出てくる。だから私は今この時でも背筋はビシッ!っとさせている。美容にも良いらしいからな。


 私たち『真蓮風華』が出てきたことで少しは場が整ってきた。「すげー・・・。あの人たちが噂の『真蓮風華』か・・・。ぐふふふ・・・・。皆可愛いなあ。うわっ。特にあのちっちゃい人の両隣!でけえ・・・ヒッ・・・!!」

 (今明らかに私を睨んでいたな!?高3にもなって身長150cmもあるかわからん私を見たな?はははっ。後でちょっと話し合おうぞ・・・)

 「あれ?今なんか怖い感じの邪念が・・・・。あ、あの人の視線は伝わってくるんだけど!?来るんだけど!?」

 「もう・・・。ヨシトモ君ってある意味とっても勇気のある人なんだね」

 「わかってるさユキナちゃん。今俺のせいで厳粛なムードをぶち壊したりしたり、せめて心の中で叫んでおけよとも言われるだろう。でもっ!まさか『鬼』のような能力を持つと噂される彼女達が、一体どんな人かと思ったらさ。実はとっても可愛い・・・」

 「うるさい・・・・・。少しはだまっていろ・・・・・・」

 これは私ではない。誰だと思う?

 「はっ・・、はいっ!!」ヨシトモという男子はそこで直立不動の構えを取りだした。ほう・・・。以外にいい背筋だ。

 正解は2年の大谷明日香だ。この学校の陸上部は礼儀を大事にする部でも野球部や柔道部といった部活に引けをとらないほど、礼儀には厳格な元で部活をしている。まあ、主に『常識的に考えてふざけた私語をするべきではない時』に限るがな。そして彼女が硬い性格でもある為だ。さっきの彼の発言は私も気分を悪くしたが。

 

 それに比べてあの男子・・・。自分には関係がないとでも言うように冷静な態度で居続けている。完全に隣と壁を作っているわけでもなさそうだが。

 

 さて、あと予定なら二人来るはずだ。そのうちの1人の『蒼井彩都』には昨日会った。美丈夫というのはああいう顔つきなのかと言わせてしまう程のイケメンだったと、会長は後に言っていた。『ただ、もう少し愛想よくしてくれたらねえ』、とか『なんか値踏みされているような視線だった』、というように、いい意見ばかりではなかった。

 

 私から見て、彼の第一印象はすぐに浮かんできた。


 『恐ろしい、抜け目無い、冷たい』と言うように次々と浮かんできたが、最終的に『何を考えているのか分からない』と、私は彼を少し警戒しながら笑顔で最後までいた。


 たしかあのメガネ・・・、遠野先生が、自称メイドのレイナさんと一緒に蒼井君と迎えに行ったんだったな。

 

 『異例』の『召喚』で、二人を別世界から連れてきた・・・。


 その連れてくる途中で、空間内で予想外のトラブルに巻き込まれたのか、彼は1日遅くこの世界に到着したそうだ。分かったのは約1時間前。彼がいなかった場合は入学式は彼抜きで行ったのだろうか。そんな問題ではないだろう。勝手に召喚しておいて、しかも相手側の失敗により1人見知らぬ場へ召喚されたままだとしたら、大変危険である。

 彼がこの学校内に居たという事は、当に奇跡だろう。

 しかしどこに居たのかまでは、なぜか教えてくれなかった。『知らなくてもいい事だ』と、軽く払われて。この『真蓮風華』の権限をもってしても、だ。 


 そして5分位経って、左奥の第二階段の扉が開いた。あそこは確か中庭の北東に位置する階段のはず。52段の階段数の。


 先に遠野先生が上がってきて、こちらに大きく手を振ってくる。私は特殊な訓練を受けてきたため、視力が一般人よりもいい。だから彼の大真面目な顔に加えて、


 「おおーい!!!連れてきましたよおおおおお!!!!」


 と絶叫に近いレベルで叫んでいたので私は少し吹いてしまった。


 「おおっ!ようやく来られましたか・・・」校長はニンマリと笑って、約50メートルほど離れている彼らを右手で大きく振り返した。

 一人は分かる。先日生徒会を訪れた、蒼井彩都。こちらに向かってきながら、一人の少年としゃべっている。そしてその少年の隣に、レイナさんが並んでいる。

  

 遠野先生が早足で、ほかの三人を置いて行ってしまった。

 でも、蒼井君とレイナさんと、あの少年の三人はなんだか楽しそうに覗える。レイナさんが二人を先導させ、不安な表情のまま少年は蒼井君に支えられながら歩く。蒼井君の言っていた友達が彼か・・・。昨日の『恐ろしい、抜け目ない、冷たい』一面を私達に見せた彼ではなく、単に友達とじゃれあっている、どこにでもいる少年なのだろう。


 「おおっ!こっちからも綺麗なお姉さんが出現!」

 「ヨシトモ君、静かにした方がいいよ?」

 「ごめんなさい・・・」

 「まあ、綺麗な人なんだから。しょうがないよ」

 「へえ・・・。ハクト君もそう思うんだね」

 「単に黙ってただけさ」


 こちらの3人も、うまくやれているようだな。




 ここまでは、良かった。



 そして、現れる。『運命の水晶玉』が。



 蒼井君の属性『銀』も、現在ではあまり知られていない属性ではある。が、私は知っている。昔、神高家の書庫で発見した歴史書で、『浄化』の色であり、あらゆる毒を無効又は消滅させる効果が特徴的だ。それが『癌』にまで効くのかは、本に書かれていなかった。


 もう一つ・・・。銀は実は治癒タイプの属性ではなく、全く問題なく前線で戦える属性なのだ。はるか昔、『銀』という国が興り、その当主が今の蒼井君と同じ力だったかどうかは分からぬが、癒しの力と、『波動』を用いて戦乱の世の中を戦い抜いたが、天下統一はならず、敵国だった『凛』に最終的に吸収される形で支配されたという。


 2代目当主であった彼の力は強く、父亡きあと、弟をはじめ家臣たちとわずか2年で大陸の10分の1を獲得することに成功した。だが、天下は彼らの国中心で回りだすはずもなく、北側に最大の国土を誇った『凛国』、西へ国境線をまたげば、『瑛』という、かつてともに『凛』と戦ったことのある者達が起こした国、南には自称『聖人族』と名乗る『そう』があり、4つの国があった中、最後まで残ったのは『凛』と『銀』だけであったが、優秀な指導者もすでになく、暴君が支配し、国も荒れていた『銀』を責めに行くことは、そんなに苦な事ではなかった。


 やはりもっとも勢いのあった時は、『銀』の力を使用し、すぐれた才能を持っていた『銀颯哉ぎんそうや』の時だった。しかし、それ以来銀の力を持つ者はぴたりと居なくなってしまったのだ。ここで出会えることになるとは・・・。



 校長は前半の『治癒』のところだけしか説明しなかったが、おそらく知っているだろう。


 そして、何事もなかったかのように、


 大神官・・・が最後に優しい口調で彼に言った言葉。


 『さあ、次は君だ!』


 私はやる気がなさそうに差し出した彼の右手をだらしないと思った。



 同時に、彼がどんな属性であるか。『唯一・・』の異世界人である、高菜修希君に、ほとんどの人は期待していた。


 そして、水晶の色はすぐに彼の属性を表示した。

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