真蓮風華
この説の舞台は、タイトルにあるように、視点がかわる。
真蓮風華・・・、魔術連盟風紀課の略であり、かっこよく漢字を用いた愛称である。
大事なのは『魔術連盟』というワード。魔術を使う者は、ほぼこの連盟か、他の団体及び・・・、連合に加盟しなくてはいけない。
魔術を用いて悪いことを企んだり、力を持つ者が集まって『組織』を成立させ、一個人のみの利益になるような行動を取らせることを避けるため・・・。
まあ過去全てが各団体の管理下の元で上手く収まったわけではもちろんない。
政治に多少の知識がある者が、他の人よりも強い魔力を持つ者を集めて、自ら群雄となり、日本でいう戦国時代の各戦国大名のような存在となって各地を治めたり、元々その地域を統治していた豪族が、一時力の弱まったことのある魔術連盟に果敢に挑んでいった時期が過去何度もあった。
その度起こる戦乱・飢餓・経済混乱。そして最も強い・・・、『運』の強かった勢力が連盟のトップに立つことが許される。あるいは一時、権威の弱まった元のトップの君主を保護して自分の勢力の正当性を周りの群雄に示したりすることもある。
で、現在のトップはというと、今から約170年前に『政府』という団体が成立して、民主主義が成立したため、各地方から選挙で選ばれた代表者が政治をする。
その時から今日まで、国家を動かすほどの内戦が起きたことはなく、完全に中央に力を集めさせ、憲法・法律も確立させた。
平和主義なこの現在だが、戦争はなくとも犯罪は起きている。
警察がいるし、その下部組織みたいなもの・・・といえば少し違うだろうか。
魔術を教える学校には、『風紀』と称した魔術連盟の監視組織が置かれる。
健全な生徒育成・将来の社会貢献といった、せっかく魔術が使えるんだからそれをぜひに世の中のために使って欲しい、という意識改革をさせるため・・・という洗脳をするわけでもない。
単に、学校内で強い奴等のなかで選抜されたメンバーで結成され、風紀を乱した生徒を指導したり粛清したり。
また、万が一大きな力を持つ他勢力に攻め込まれたときの防衛も担うのだ。
私、神高茉莉は生徒会の副会長補助を勤めている。なにしろメンバーが9人いるので、正規役員の会長・副会長・書記(2名)・会計といった最低5人で生徒会は務まるわけだが、では残る4人は何をするか。確かにサボる奴もいた。確かにやる気のない人もいました!しかし、先日なんとか残りの生徒を説得して、各役職の補助をすることになった。
仕事内容は、いたって普通。学校祭等の企画・運営に委員会の統率、問題が起きたときの処理等・・・。問題なんてたまに暴力事や窃盗のようなこともあったが、大体1週間ほどで片付いてしまう。窃盗なんて、魔力の痕跡を探せばすぐに見つかる。中には痕跡が出ないようにする高度な『怪盗』がいて、それについては普通に捜査するしかなく、過去の記憶を窃盗現場から見たりして解決していく。今のところ検挙率100%である。
で、今日・・・だ。なんと新入生が来るというではないか。しかも時期はずれ。
さらに真里谷沙莉の後輩も来るではないか。
「あと2時間だね・・・」
会計補助の田中美紗理が言う。背の低い元気な少女だ。
「ああ。あの大神官様も言ってた・・・。『楽しみ』だって」と私は言う。
「早く魔物が出現するゲートを抑えなくてはね。・・・ところで沙莉?君の後輩も来るとは。幼馴染なんだって?」
人紹介・・・。この人は副会長、・・・つまり私の上司にあたるのか?小聖汐菜さん。私と同じSランクの彼女。とても強い人で、何回か行われた魔術大会では3年連続1位になっている。でも人いじりがとっても好きな彼女だ。身体的特徴については全員おいおい説明されるだろうが、この人は、すれ違うと男や一部の女子は絶対に振り返ってしまうに違いない肉付き。美貌。今言っておくが、この真蓮風華には9人中5人がこんなスタイルが良く成績優秀と来た。全くすごいとしか言えない。
「うん・・・、昔のままだったら、素直で正義感の強い男の子なんですけどね・・・。もう4年たってますから・・・・」
この黒髪ポニーテールが真里谷沙莉。会計担当だ。会計担当といっても、全校生徒での自己紹介の時には『この学校をみなさんが快適に過ごせるよう、メンバーと共に進んで参ります!!』なんて言ってたな。胸でかいなあ。身長も170cm位あるし。
「ねえ!写真あるの?」
「美紗理は知りたがりね。いたって普通の男の子を思い浮かべてくれればそれで十分だから」
「え~!?それなら想像しちゃうよ!ふむむむ・・・、あ、メガネかけてる?」
「かけてなかったと思うけど・・・。今はどうだろう」
「こらこら二人とも。早く『球技大会』の企画書に目を通して、意見書は書いたのか?」
と、私が言うと、「あ、ごめんなさいっ」、「なんだよお。ちょっと話してただけじゃないかよお・・・」と返ってくる。誰が何を言ったかわかるかな?もちろん美紗理と沙莉のどちらかで。
あと2週間ちょっとで、夏の球技大会が開かれる。団体競技は主に部活ごとに出場するので、新入生たちには、是非部活に入って出場してほしい。時期が時期だけに焦らせてしまうだろうが・・・。この大会は、魔力の使用は禁止なので、思いっきり自分の実力を出せる機会だ。
私自身は、剣術部に所属している。『補佐』なので、正式に生徒会の仕事を任されているわけでもないので、部活にも専念できる(小聖には悪いが・・・)。
まあ、部活をやっている人と、やってない人で言えば、やってない人の方が若干多い。理由は学業にある。この学校は勉強より、魔術重視ではあるが、赤点の39点以下を撮り続けてしまえば、あらゆる課外活動は禁止されてしまう。たかが39点だと笑う人もいるだろう。
いるでしょう!?
でも、私だって理数系は・・・、なんとか平均点に近い点を取ってきてるんだからな!?
これで私を含めて4人説明したか。あと5人だが・・・。まあ同じ部屋にいるのだがな。
会長は渡瀬桃華さん。いろんな意味ですごい人だ。家庭的で特技が料理でプロ級に旨いのはいいのだが、ソーシャルゲーム界では裏の女王と呼ばれているそうだ。
書記は真里谷と大谷明日香という少女。大谷は2年で、生徒会本職ながらも陸上部と掛け持ちしている文武両道の鏡な人だ。
その補助には、浅井鷹野と南郷愛来の1年コンビが担当する。
後は会長補佐の、これまた裏の支配者(私、茉莉視点)の菜都涼がいる。ただ分かるのが、『黒』を異常なほど憎んでいること。桃華さんの親友であること。戦略家的ポジションにいること。本当に日常生活で桃華さん及び会長を補佐していること。
「もう1時間前ね。そろそろ大神殿に向かおう!」
会長が号令をかける。別に会長がそう言うまで行くのを渋ってたわけでもなく、球技大会の企画の見直しに時間をかけていたためだ。もちろん皆向かう準備はとっくにできている。
「いくわよ」菜都が静かに言う。低い、真っ直ぐな声で。
「は、はいい!!菜都さんっ。私たちは準備OKですよ!?」
「OK・・・ですう」
浅井と南郷が圧をかけられた状態で答える。浅井はバンッ!と読んでいた書類を右手で机の上に置きながら。
「ふふふ・・・。まあそんなに焦らないで。むしろ喜ばしいことじゃない。仲間が増えるのよ?それに間違っていたり、解らなかったことがあれば、この生徒会の私たちでさ、助けてあげればいいだけじゃん!」
聞いていて『ああ、至極最もかな・・・』ということを会長は言う。伊達にソシャゲー(ソーシャルゲーム)のギルマスを掛け持ちしてるだけある。私としては素直で向上心に貪欲・・・、とまでは言わないがとにかく努力家が好きだ。
「あれ?沙莉先輩なんか嬉しそう・・・。やっぱりその『ヨシトモ君』のこと、気になってるんじゃないですか?」
「そ・・・。そんなこ・・・そんあこと、ないったら!」
「なんか微妙に咬んでるぞ。まあ、この続きは新入生歓迎会で・・・ね?」
「こらっ。新入生歓迎会はそんなことを話す場ではないぞ?」
「もーう。茉莉先輩は相変わらず固いんだから・・・。でも実はしっかり聞いているんですよね。バレバレですっ」
「あんだけ大きな声で騒ぐんだ。嫌でも耳にはいるのじゃ・・・!」
全く!1年生って、こんなに好奇心旺盛なのか?
この時は、まさかこのあと、たった1時間もしないうちに・・・。あんあことが起きるとは誰が予想しただろうか。




