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おもしろき あの世で異端者  作者: 大地 チイダ
第2章 黒い現実
14/22

勝手

俺は今までこいつと『地球』で過ごしてきたけど、面白い人生だったと思う。

 いや、違うな。俺らで俺らの人生を『おもしろく』するんだって。

 そう笑いあったんだ。

 たとえ、理不尽な結果が現れようとも。悪くもないのに謝らなくちゃいけない時も。

 最後には俺らにとって・・・、おもしろくするんだって!!


 その水晶玉は、彩都のフォースの属性を表していた。銀色。

 「どうやら彩都様も、『異型』のようですね・・・」

 どこか誇らしげに言うレイナさん。俺としては、どうかおもしろい能力であってほしいと思う。レイナさんの表情からして、そんなに悪い能力ではないように思える。

 大神官の後ろにいる9人も、次々に大神官に質問攻めな状態だ。

 あの落ち着き払った表情からして、何か分かっているのだろうが。

 でも、どうしてレイナさんに誰も聞きにいかないんだろう。ただ大神官のほうが近かったからなのか?

 肝心の彩都はというと、笑いながら観念したような顔つきで俺の肩に手を回してきた。「何・・・だよっ」

 「いや・・・、なんかおもしろくなってきそうだなって」

 「でたよお前の口癖『おもしろい』って・・・。否定はしねえけどな」

 「何、勇者になってこの国を救えって言われたら『めんどくせえ』けどな」

 「わからんぞ?もしかしたら何百年前のある特別な勇者が持ってた能力かもしれんぞ?」

 「よせっ。俺に勇者だなんて似合わんしやりたくもねえ」

 「お二人共・・・。そういう話は後で腐る程発言できますから。大神官殿のお話をまず聞いてください」

 ・・・まただ。2人で喋ってて、最後にはレイナさんが止めに入る。てか怒られたな。

 当然・・・と言えばそうかもしれない。でも横にいる3人と、大神官と9人衆(俺が勝手に命名)、だけでなく警備兵の人にまでこっちをみている。

 「うるさい・・・だまれ」

 9人衆の中の女の子の声だ。俺、この世界に来て始めて女の子から怒られた・・・。後で挨拶しておこう。

 「次うるさかったら命はない」

 ・・・・やっぱりやめとこうかな。

 

 「銀とは浄化の色であり・・・、覇の色でもある。まず浄化の点だが、昔、飲み物の毒の判別に『銀のスプーン』が使われていたのは有名だろう。魔除けというより、正しく毒を消しているためだ。ただすぐには完全には消せない。だから銀が少し毒に対して変色していくのだ。しかし、お前の銀は体に入ったあらゆる毒を浄化するだろう。ましてはオゾン、放射線だって耐え抜ける。まあ戦闘の時は自ら護れよという話なのだがな」

 あらゆる毒を無効化するだって!?それはとんでもない反則じゃないか。

 放射能まで耐え抜けるのか。ていうか放射能という物質がこの世界に存在しているのかということに疑問をもった。しかし原子爆弾や原発のことを少し学んでいる俺としては、抵抗ありすぎる。

 「ほえ~。少なくとも毒殺される人生は無しってか!安心して食べ物を口にできるなあ」

 「まあ、人生の終わりが刺客や暗殺者に盛られた毒だったら凹むよな。俺の人生なんだったんだろうって」

 「ほら、次お前だぞ」

 

 そして、いよいよ俺の番だ。幽霊のお岩さんがよくやる腕のポーズのように、だらんと手首を力なくおり曲がらせて爪の先端をちょこんと触れる。

 ヨシトモから「もうちょっとビシっとやろうぜ・・・」とつぶやかれたが無視。

 俺はじっと水晶を見続けていたわけだが、こういう属性判断はみんなの注目の的になってしまう。前のお二人が当に『異質』な力を持ってるためだ。

 (俺に何を期待してんだが・・・)

 そして、出てきた色はすぐに何かわかった。

 「色がでてきたな・・・黒か?」これは彩都だ。

 「何・・?黒・・・だと?」

 「黒・・・」

 「黒はだめっ!」

 「黒はいかんな」

 「黒は邪悪・・・」

 「黒は異端・・・」

 「黒は最悪・・・」

 

 おいおい、そんなに俺を攻めるな。9人集のツッコミが早くて、俺はますます腕の力がなくなってしまう。

 その水晶にでた色は確かに黒だった。まるで綺麗な水のなかに黒い絵の具がついている筆をそっと入れて、筆から色が水に溶け出しているかのような、そんな感じ。まだ他の人のような、水晶一面にパッと色が出ているわけでもないし、なんだか消えそうだ。

 「消える・・・」レイナさんは言った。

 その後、黒い色は消え、ハクトのような無色・・・つまり元の水晶へと戻った。

 俺にとって一番大事なのは、自分がなんの力を持っているのか。

 しかし、みんなにとって大事なのは、俺の出した「黒」だったことだけ。

 

 「おい!俺の属性はなんだ?俺もハクトと同じ『無属性』でいいのかよ!?」

 「しゃべるな『異端者』。これからお前の処遇を判断する。しかし黒の素質を持ったものは、そこに災いをもたらすと『古の歴史書』に書かれている。子供であろうが容赦はせん」

 これ、だれが喋ったと思う?・・・数十秒前まで、気のいいじいさんだと思っていた大神官様だぞ?

 もっと驚いたのは、ほかに誰も反論してくれないことだった。

 「俺の質問に答えろ!!」

 「いつ発言を許したか、『ヴァイスト』!」

 「ぐあっ!!」

 なんだっ!体のどこが痛いというわけでもないけど・・・とにかく苦しい!!

 腕が動かないし首も満足に動かせない・・・、というか動かしたら痛い!!

 いや、まずいぞこれ・・・。息が苦しいのか!?

 「何をしたんだよっ!」彩都・・・・。お前・・・。

 「そんなの貴様に教えるわけがないだろう。おいっ!こいつを閉じ込めておけ!

 「に、逃げるぞ修希!!」

 彩都が俺の首元を触れると、だんだんと呼吸が楽になっていった。これも『銀』の力なのか・・・。今みたいな呪いにも効くのか。

 ふと、ヨシトモとユキナさんとハクトの3人が見えた。

 きっと、俺のような人間、いや生物は『危険』なんだって教えられてきたのだろう。そう、きっと今は何もしないのが正解だと思う。

 そして、黙ったままのレイナさんのことが気になった。

 「・・・・・・・・」

 

 そして、びっくりした光景があった。

 大神官は9人集に対してこういったのだ。

 

 「さあ!私の最強兵器よ、あのガキを捉えなさい!抵抗するなら殺しても構わん!」

 

 

 

 

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