印象は大事
そして、二十分かけて、どこにも寄り道をせずに大神殿へと到着した。
なんか大きな門をくぐって、門番や見張りの人が厳しくその通行する人をチェックするのだという厳格なものではなかった。暇なので数えていたが計52段の階段を上ったら、なんか広い場所に出てしまったのだ。
先ほど俺は『暇』だと言った。しかしそれは自分の心をごまかしているに過ぎない。どうやら俺は自分がピンチだと思い込んでしまうほど集中力が研ぎ澄まされていくようで、まるで亡霊の戯言のように1段ずつ声に出して歩いていたと彩都にからかわれた。
変わらず、アーテルさんは俺の方を振り返ることもなく階段を上りきると、いかにも大神官様っぽさそうな男の老人に向かって大きく手を振ったのだ。
「おーい!連れてきましたよおおお!!」
と、すごく真剣な表情で叫んでいた。
彩都は言う。
「何するんだろうな?地面は全て紫がかった大理石だぜ?しかも天井は空いている。雨降ったらどうすんだろ?」
「お前って意外に好奇心旺盛だな。俺はこれからどうなるんだろうと不安にならないのか?」
「はあ?おそらくさっきレイナさんが言ってたように、俺らの残された青春時間をこの学園に捧げることになりそうだぜ・・・。やっとこれから自由に動いていけると思ってたけど」
「俺にはお前は常に自由に動いてたようにみえたぜ・・・。はあ、ここには気を紛らわすための草むしりをする雑草がない」
「お二人とも・・・。すでにあなたがたは前に進むしかないようですが・・・。アーテルなんか今度はこちらに向かって真剣な顔で何か叫んできそうです。行きましょう」
アーテルさんはもうここにはいなかった。ただ、先程まで見守ってくれていたかのようにいてくれたレイナさんに、俺らは覚悟を決めるしかなかった。(と言っても、彩都はなんで緊張してないんだ?)
「よくきたね。蒼井彩都君、そして高菜修希君。私がこの学校の校長であり、第20代目の大神官を勤めている『ファブラ・アークオス』だ。ちょいと老けてる活かしたプリーストとは、私のことだ」
この大神官って、そう呼ばれているのか・・・。
俺は至極真剣な顔つきになる。すこし相手を睨みつけるくらい『カッ!』っと目つきを鋭くさせながら。ファブラの後ろで並んで待機している9人の人のうち、背の低いやつが『はあ!?あいつ喧嘩売ってんのか』っていうことを喋っていたような気がしたが空耳だと思いたい。
ここで大神官の前に立っていたのは俺と彩都だけではなかった。
ツインテールの青い髪の少女に、俺よりも数センチ背の高い好青年、赤い髪の、整髪料でツンツン髪に仕立て上げている少年が居て、俺の隣にレイナさん(なぜ?)がいる、というわけだ。
「よーし!まずは自分の属性を知るんだったよな?なにかな~?炎がいいなあ」
「私も炎か、風がいいな。まあなんだってしても頑張るだけ」
「まあ、そうだよなユキナちゃん。名前どおりだったら氷かな?」
「そうかもね・・・。今日って私たち以外にも入学生いたんだね・・・」
「そういえばそうだ。そこの黒いパーカーの人!となりの人誰?結構美人さんだよな!?どうやって知り合ったんだよ?」
「ちょっとヨシトモくんっ。出会ったばかりなのにその質問は失礼だよっ」
「そ、そうだな・・・。今すごい目でみられた・・・」
「ヨシトモ・・・。ふう・・・、とにかく始めてもらおうか」
「気にすることはないのですよ、修希殿。さ、始めましょう」
・・・この人には嫌われたくないな、と俺は大神官の目を見ながら思った。
さあ、もうどうにでもなれ。




