呼ばれた意味
「この学園は100年以上の歴史をもつ学校ですが、同時に裏の顔も持っていました。それが魔物・・・『ヴィル』とよばれるエネルギーを糧にした、人の敵に対抗するために研究所が置かれていました。研究所こそ東塔にありますが、心臓部はまさに先ほどいた場所・・・。どのあたりかはお教えできません」
「たぶん、あの噴水の真下・・・とか?」
「!?」
「気のせいだけど、そんなに驚くなよ」
「全く、高菜修希という人は・・・。話を戻しましょう。人には色々なエネルギーが存在しています。炎の『イーグニス』、水の『アクエリア』、氷の『アイス』、雷の『サンダー』、風の『アネモス』、土の『アース』、光は『イルミナル』、または『ルーチェ』といった6つの基本属性があり、人それぞれ個性がありますが、それを表現するためには一定の能力値が必要です。いずれの能力も、訓練すれば十分に魔物に対抗できるのです。ここはそんな『世界の平和』のためにという建前の下、貴重な青春時代をこの機関で過ごしてもらい、魔物討伐のために働ける人を育成する、そんな場所です。お分かりいただけましたか?ざっと」
話の後半部分から、彼女の口調は早口だった。
まるで、呆れているかのように。
アーテルさんは、なにかつぶやくと、ガラスの割れたような音が響いた。
よく見ると、俺たちがいるスペース、約畳2畳分をピンクの膜が覆っていた。それが野球のボールが窓ガラスに当たって割れていくように、砕けてなくなっていく。
俺は率直に言った。
「アーテルさん、いまのって魔法?」
「そうですよ。この魔法の効果はなんとなく予想できるだろうけど、音消しの魔法を使わせてもらいました。この勢いだと、なにかこの学園にとって都合の悪いことを言われそうだったので」
「実際言ってたの?」
「僕はあまり腹が立たなかったんですけどね。『皮肉』を言うのも、あまりよろしいことではありませんね。・・・大丈夫ですよ修希さん。これからなにか気になることがあれば、遠慮なく彼女に聞くといいですよ」
一体この人は何歳くらいなのだろう?ピンク色の髪が少し幼さを際立てているが、ツンと張った、研がれたナイフのような目つき、冷静さを損なわない態度・・・。
体型も・・・出るところはきちんと立派に出ている。胸も、お尻も。でもそんなに無駄な肉はついていない。
・・・回りくどいこと言うのはよそう。
つまりとても美人(美少女?)なのだ、レイナさんを見た俺の第一印象は。
「こらこら修希。実はむっつりスケベてか?」
彩都が久しぶりに俺を向こうの世界のように、けなす。
「みて、ないさ。ただ、綺麗だなって・・・」
「へえ、お前って実は年上好み?まあ、綺麗だよなレイナさん。でも、あの態度は常に変わらないんだ。無表情・無愛想で、クールなんだよ。俺はさ、逆に年下が・・・」
「わかってるさ。妹大好きなロリコンシスコン兄貴」
「それ言いにくない!?いや、略されて広まっても嫌だけどさ」
「言わねえよ、みっともねえ」
「だな」
詳しいことは、後ほどきけるらしい。今度こそ寄り道しないで大神官にあわなければならないとアーテルさんに諭された。
「そういえば修希?お前はどこに出来てるんだ?」
彩都がやたらさっきから俺の腕をみようとしてくる。
「何がだよ?てか何を見たいんだ?」と、俺は腕をまくり、なにもない肌色の素肌を彩都に見せる。なんの違和感もない。




