表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おもしろき あの世で異端者  作者: 大地 チイダ
現実
10/22

始まり。

 今、俺は階段を上っている。ということは、さっきまでいた場所は地下だったということになる。まあ、さっきまで歩いていて窓が全然なかったことに違和感を抱いたが、予想通りだったと言えた。

 歩いていて、よく白衣を着た研究員のような人たちとよくすれ違った。

 スーツを着た人も居たし、黒い征服を着た人も居た。

 みんな身分証明を左胸につけていて、特に胸が大きいかわいい女の人に対してはちゃんとしっかり見た。横にいるレイナさんになんか突っ込まれるかなって思ったけど、冷ややかな目線を送られるだけで終わった。このやり取りが3回程あってしまったため、今なんとなく彼女に質問をぶつけにくい。

 

 実はいろいろ話を聞きたかったけど。


 フロア1という看板が見えたところで俺らはやっと階段から解放された。

 壁はまるで何かの生き物の口のようだった。牙まで再現されている。

 「ねえレイナさん?ここの壁はなんでライオン?・・・いや居ないかな?ともかくなんでこんな壁なの?」

 思い切って質問してみた。顔を少し赤らめて、彼女の顔を見る。

 対して、彼女はそっけなく言う。

 「それはこの通路が、『アカツキ』の通路だからです。アカツキというのは、見てお分かりの通り、このような顔をしたこの国の守り神なのです」

 どうやら、ライオンによく似た生物のようだ・・・。

 「へえ・・・。守り神なんているんだね・・・。もしかして今向かってる神殿って、その『アカツキ』を祀ってるのかな?」

 「そうですかね・・・。まあ、この世界にはたくさんの神が居られ、絶対神を信仰している人々が昔と比べたら、かなり減ってきました・・・」

 ずっと無表情のように見えたレイナさんだったけど、今の言い方は明らかに彼女自身、悲しんでいるのだなって分かってくる。たまらず、俺はこんなことを言う。

 「ねえ、俺・・・元の世界では一応、『キリスト教』っていう、当に絶対神を信じてきたんだ。でもさ、今となっては『不良クリスチャン』さ」

 「?」

 あ、他国・・・、いや異世界の神様の話をされてもわかんないよな。普通。

 

 大神殿は、そこからエレベーターに載っていった。しかし、2階ですぐに止まり、俺らはろうかに出る。 

 「はははっ、修希どの。じつは神殿へは外からでも楽にいけるのですよ」

 これはあのメガネの男だ。

 「修希、紹介するよ。あそこ、みえるか?」

 久しぶりに彩都の声を聞いたような気がする。彼はガラスの貼っていない、覗き穴のうようなやつの、そこから見える景色はここからでも絶景なのだろうと思える。

 俺は言われたとおり二階から、この建物がどういうところにあるか見渡す。

 陸上競技でつかうグラウンドはともかく、サッカーゴールがあるので、この世界でもサッカーのような球技はあるのだろうと思った。そしてこの建物を覆うように塀が佇んでいる。

 いまでも何人かの人が、・・・同じ服装をしているな。どっちかいうと、制服みたいだ。ブレザーなんて、普段あまり着ないだろう。俺はさっきこの世界のおひさまとご挨拶したばっかりだけど。

 逆側を覗いてみれば、この通路がやがて左に向かっていき、また左に曲がっていき、そしてまた左へ。俺らが降りたエレベーターのところへ出るのだろう。

 中庭は、野球場が2つくらい入ってしまうのではないかという広さで、真ん中に芝生、その芝生の脇を、北海道でよく見かける『シラカバ』のような白い幹の木が何本も生えている。

 ただ白樺だと春に花粉症が悩みの種だが、ちょうど葉っぱのしたにベンチがそれぞれ置かれている。

 

 ここで、レイナさんか彩都のどちらかに次の質問をすべきかすごく迷った。些細なことのように思えるが、彩都はどうやらこの世界になんやら関わりがあるようだ。けれど、俺は今レイナさんというこの国・・・この世界の人々の中で初めて仲良くなれそうな人がいる。

 ここでさらに仲良くなっておきたい。

 

 結局、俺の首はレイナさんの方へ向かっていた。

 「ねえレイナさん。ここって何?学校かなにか?」

 レイナさんはクールに、感情をあまり込めず言う。

 「そのとおりですね・・・。しかもこの学校は・・・」

 「『ある特別な子』しか入れない、だよね。レイナさん?」

 アーテルさんが代わりに答えた。俺としては別に誰が答えても良かったんだけど・・・。

 「・・・・・。あなたと彩都様も、もちろんこの『施設』に選ばれたから、ここにいるわけです」

 「それって異世界で平和に暮らしていた少年を、『特別だから』という理由でいきなり家族や友達、恋人いないけどから引き離しても笑って許されるくらい『特別』ってことなの?」

 家族って離れて初めてありがたみがあるのだと、今感じた。

 これからいろんな場所でこんな話を聞くだろう。『あなたは私の家族なんだから』とか『たったひとりの家族、兄弟なのだから』というのを。


 俺はそのたったひとりもいないのだけれど。


 俺の問いに対し、答えようとしたのはアーテルさんだった。

 「聞いて欲しい。実はこの世界・・・・」

 「待ってください」

 「レイナさん?」「レイナ?」

 なんで彩都の声がアーテルさんと綺麗に重なったのかはわからないけど、まあそれより俺は真実を知りたい。でもなんであのままアーテルさんに喋らせなかったんだろう?(しかも呼び捨て!?)

 「レイナさん?」これは俺だ。

 「私に言わせてください、彩都様。修希殿。この世界は14年前から現れた魔物によって、滅びてしまうかもしれないのです」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ