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第8話 終焉の魔女は力を〇〇に使う





「副ギルマス、ちょっと良いですか?」


 数日後、冒険者ギルドで働いているとミーナが話しかけてきた。


「どうかしたか?」


「実は……今日から新人の職員が来るらしいんですよ」


「へっ? し、新人!? 今はいつも新人を採用する時期じゃないだろ……」


「はい。でも、ギルドマスターが独断で決めたようで……」


「マジか……」


 事前に一言くらい言ってほしいものだ。

 いや、もしかして最近、俺たちが忙しくしているのを見兼ねての配慮なのか?


「……まあ、決まってしまったことは仕方がないなぁ……」


「ですね」


「ところで、その新人はもう来たのか?」


「いえ、まだです。けど、もうそろそろ来ると思いますが――」


 その時、ドアがノックされた。


 丁度来たようだ。


「どうぞ、入っていいぞ」


 すると、現れたのはロングヘアーの銀髪のとても美人な女性だった。

 年齢は16、17歳くらいだろうか?


 彼女は俺を見るなり、優しく微笑み――


「失礼します、今日からここで働くことになったリ……じゃなくて、シアです」


「ああ、今、丁度君の話をしていたんだ。俺は副ギルドマスターのアスタ。よろしく、シアさん」


「はい、よろしくお願いします」


 シアさんはルビーのような透き通った赤い瞳でじっと俺を見つめる。

 そういえば、リアと同じ赤い目なんだな。


 もしも、リアが大人になったらこんな姿なのだろう……。


「副ギルドマスター? どうかしましたか?」


「あ、ああいや! なんでもないよ。ええっと……ギルドマスターから仕事の内容については知っているかな?」


「はい! 大抵の仕事ならこなせます」


「おお、頼もしいね。じゃあ……まずは依頼書の確認を頼もうかな。まずは緊急のものから頼むよ」


「わかりました、ちなみに私は……どこに座ったら良いですか?」


「そうだね……」


 俺は空いている席を探すと……偶然にも俺の隣しか空いていなかった。


「じゃあ、とりあえず俺の隣で。まあ、そっちの方が色々と教える時に楽だし」


「了解しました!」


 俺は隣の席にシアを座らせ、俺のところに積んであった依頼書の一部を置く。


「す、凄い数ですね……」


「まあね、一日で少なくても1500枚は来るからなぁ。これを全員で手分けして確認して、最終的に俺とギルドマスターがハンコを押すって流れだ」


「……なるほど……ここまで仕事が多いなら納得です」


「納得?」


「ああいえ、こちらの話です。それよりも早速、お仕事始めますね」


「おう、頼んだぞ」


 シアさんに依頼書の確認を任せ始めて10分後――


「――全ての確認ができました」


 シアは100枚もあった依頼書の確認を全て終えていた。


「は、早くないか!?」


「そうでしょうか? 普通にやったのですが……」


「ちょ、ちょっと確認するね……」


 俺はシアさんの手元の依頼書から、無作為に一枚を手に取る。


 すると、的確に問題点に印がつけられており、細かいところまで見られていた。


「……す、凄いな……」


 これは……逸材かもしれない。


 これほどの実力があるのならば、ギルドなんかで働くより国や貴族の元の文官として働いた方が良いんじゃないか……?


「ふふっ、凄いですか?」


「ああ……本当に凄いよ」


 すると、シアさんは何か物欲しそうに俺を見つめてくる。


「えっと……シアさん?」


 俺が不思議に思っていると、彼女は頭を少し下げ、俺に向けてきた。

 これは……撫でて欲しいってことか?


 俺は思わず、シアさんの頭を撫でた。


「んっ……」


 シアさんは心地良さそうな表情を浮かべる。


 ……いや、なんだよ、この状況。

 俺は慌ててシアさんの頭から手を離す。


「シアさん? どうしたんですか?」


「……だって頑張ったのですから少しくらいご褒美があってもいいと思いませんか?」


「え、いや……それは……そうなのか?」


「というわけで、定期的に頭を撫でて貰っても良いですか……?」


 シアさんは上目遣いで甘えるように言った。

 少し変わった……というか、変態的な要求。


 しかし、不思議と嫌な気はしなかった。

 まるでリアに甘えられているときのような感覚がして――

 

「ええっと……うん」


 何故か、頷いてしまった。


 俺はいつの間にかにシアさんの頭に手を伸ばし、優しく撫でていた。


「ふふっ……ありがとうございます」


「え……あ、うん」


 シアさんは満足したのか、業務に戻っていく。


 俺は一体、何を……?


 その後も何度か頭を撫でることを要求されたが、何故か拒否できなかった。

 なんで……?


「ま、まあいいか……」


 不思議な点はあったが、シアさんの仕事は異常なほどに速かった。


 シアさんは任された仕事をテキパキとこなしていき――


「――ま、まさかの定時に帰れそうなんだけど……!?」


 定時に帰れるなんて、何年ぶりだろうか。


 俺は感動していた。


「シアさん……本当にありがとう……」


「いえいえ、私は私にできることをしただけですよ」


 シアさんは謙虚な返事をすると小さく笑った。


 人格も素晴らしいし、仕事も早くて的確。

 女神みたいな人だ。


「よし、じゃあ後の仕事は俺たちでもすぐに終わるから、シアさんは先に帰っていてもいいよ」


「ありがとうございます、では、お先に失礼しますね」


 そうして、シアさんは先に帰っていった。


 本当に凄い新人だったな……。

 一体、何者なのだろうか。


 もしかして、実は貴族の出身で高度な教育を受けていたり……?

 それか、俺が知らないだけでゲーム内で登場する優秀なキャラだったり……?


「――いや、まさか、そんなわけないか」

 

 さて、俺も最後の仕事を終わらせて早く帰ろっと……。


 ――しかし、その『まさか』がよもや本当だったとは思わなかった。

 


 

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