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婚約は破棄されましたが、私は静かに身を引いただけです  作者: リリア・ノワール
第3部 余白が形を持つ前に

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第27話 外側の再定義

夜は、少しだけ軽かった。


風がある。


葉が揺れる。


音が戻っている。


私は庭に立つ。


椅子は円形。

中心は空席。


だが、


もう分かる。


ここは、


埋める場所ではない。


触れる場所だ。


「……変わりましたね」


イリアが言う。


振り返る。


彼女は、もう迷っていない。


完全ではない。


だが、


揺れ方が違う。


「ええ」


私は答える。


「少しだけ」


彼女は中心を見る。


そして、


言う。


「昨日、見ていました」


私は何も言わない。


彼女は続ける。


「あなたは、決めました」


「ですが」


一拍。


「そこに留まりませんでした」


私は頷く。


「はい」


それが、


重要だ。


「私は」


彼女は言う。


「そこに立つことが、外側だと思っていました」


私は彼女を見る。


彼女は続ける。


「でも、違いました」


その声は、


はっきりしている。


「立つ場所ではなく」


「動き方でした」


私は少しだけ目を細める。


「そうかもしれません」


断定しない。


まだ、


途中だから。


昼、小さな会合が開かれる。


いつもの形式。


円形。

空席。


だが、


今日は違う。


誰も、中心を見ていない。


全員が、


動きを見ている。


議論が始まる。


速い。


だが、


止まる。


一人が言う。


「この案で」


別の声。


「確認を」


さらに別の声。


「進めながら修正を」


流れが、


変わっている。


一つではない。


止めない。


だが、


消さない。


私はそれを見る。


何も言わない。


必要ない。


イリアが動く。


一歩、内側へ。


だが、


中心には立たない。


そのまま、


言う。


「進めます」


そして、


続ける。


「ただし、残りを同時に確認します」


二つを同時に動かす。


止めない。


だが、


置いていかない。


会合が進む。


速さは落ちない。


だが、


浅くもならない。


終わる。


誰も疲れていない。


誰も迷っていない。


だが、


軽くもない。


外に出る。


イリアが言う。


「これが」


少しだけ考える。


「今の形ですか」


私は空席を見る。


そして、


答える。


「今のところは」


それ以上は言わない。


確定しない。


それが、


大事だ。


夕方、


レオンが現れる。


いつも通り。


迷いのない足音。


だが、


視線が違う。


彼は庭を見る。


そして、


言う。


「変わりましたね」


私は頷く。


「ええ」


彼は続ける。


「速さは落ちていない」


「はい」


「深さも残っている」


「はい」


沈黙。


短い。


だが、


意味がある。


「……不安定です」


彼は言う。


正しい。


私は答える。


「はい」


否定しない。


「ですが」


言葉を続ける。


「崩れてはいません」


彼は私を見る。


評価ではない。


否定でもない。


ただ、


見ている。


「次は」


彼が言う。


その声は低い。


「もっと速くなります」


私は頷く。


「はい」


「そのとき」


一拍。


「二つは選べません」


沈黙。


風が止まる。


庭が、


再び静かになる。


私は空席を見る。


そこには何もない。


だが、


次に立つ場所は、


もう曖昧ではない。


選ばなければならない。


一つだけ。


そのとき、


私は何を選ぶのか。


夜風が戻る。


葉が揺れる。


音がある。


だが、


その奥で、


次の衝突が、


確かに近づいている。


逃げ場はない。


もう、


どちらかを選ぶしかない。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


「外側とは何か」が、少しずつ形になってきました。

ですが、次はその形が通用しない場面に入ります。


ここからが本当の勝負です。


続きが気になる方は、ぜひブックマークと評価をいただけると励みになります。

次話もお楽しみに。

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