28 Q.重装歩兵にされた魔獣化ヒロインが選んだ次なるジョブは? A.道化。
壊れた次元の大地…見ようとすれば目に見える。器用な食べ方しない限り無害。そこにあるだけなので安全。
名付けの儀…神聖王国(王朝中期)に行われていた貴族の慣習。満6才の子どもが対象。カイザル王が即位して真っ先に廃止した。問答無用で反対派ごと抹消。当時の人々はザワついたが「カイザル王」のむちゃくちゃっぷりからすると序ノ口だったのですぐ忘れ去られた。それどころじゃなくなったともいう。
ゆめの子…6才未満の子どもを指す。神聖王国(王朝中期)特有の表現。アウローラの時代にも概念が形骸化しつつ価値観として名残りがある。
医師と軍人のしょっぱい顔をみた男性体は、あっはっはと軽快に笑いながら腕を組んだ。
カイザルの指導により「ほどよく胸筋が増えたぜラッキー」と筋肉談義の中でぶっちゃけられていたが、それが薄着のせいでよく分かる。
彼の正体は女子と知るレルムは、見たくないし知りたくないのに目に入る今の状況に、しょっぱい通り越してショボショボ顔になった。
アナンは言った。
「そうだよー。バカンスモードは僕の仕業。この6日間に色々あってね、結果こうなった。大丈夫、おかしいけど、おかしくなってないよ。
さて、顔色見る限り、異界に緊急性はないんだよね? ない? うし。
じゃあ今から荷造りね。ふたりの準備が終わったら出発するよ。バカンスウェーイ」
「ウェーイじゃない唐突すぎる!
しまった。6日も目が離れたせいで、また変なことしだした!
せめてアウローラの居場所を教えてくれ! …違った! 違ってないけどそれだけじゃなくて、どこに行くかくらいは教えてくれって言いたかったわけだが! ダメだ! アウローラが足りなすぎて頭が回らない…っ!」
アナンは「だろうねぇ」と訳知り顔をした。レルムの横に移動し、肩を寄せる。腕組みの後ろ側で、レルムを突っつきはじめた。指先で、ツツン。ツツン。ツツン。ツン、と。
「情報通のアナンくんが持ち物について説明するよぉ。よぉく聞くんだぞぉ」
そして、甘い美声を場に響かせた。
「必要なのは遊び道具だ。こっからしばらくは、何もかも忘れて遊びまくるからね。
まずはキャッキャと鬼ごっこしてぇ。キレイな泉で水遊びしてぇ。
あ、ふたりにも水着あるよ。選べるよ。アナンくんに抜かりはない。えちちーな水着で水テッポー両手持ち、意味深な感じに狙い撃ちしちゃったりなんかしたりしてぇ。
ちなみに僕マラカス持ってくよぉ。ふたりも使いたい楽器あったら持っておいでよぉ。一緒に盛り上げればいいじゃない。
そんで夕方は一緒にゲームしよぉ。ボール遊びどうよ? ちょーツエー選手を揃えてさぁ、あの伝説の試合を再現しようぜぇ。
そんで夜になったら枕投げしてぇ、負けたチームはぁ、お約束だからねぇ、定番の罰ゲームだよねぇ。
ビスコッティ・ゲーム…的な?
ちょっとえちちな裏話を披露…的な? そんでぇ」
アナンは饒舌だった。
レルムはじっと彼を見下ろした。突かれる手首に意識を集中する。
「…ってぇわけでぇ。予定としてはぁ、そんな感じっすかねぇ。
どうよ。このアナンくんの完璧な息抜き計画。良いっしょ。そろそろエエやろ。じゃっ、ふたりとも準備、準備」
レルムはバリスティックゴーグルを装備しながら答えた。
「…おれはもう行けるよ。最近は背嚢に遊ぶ物も入れてるんだ。
閣下も準備いりませんよね。常に持ち歩いてましたよね、あの楽器」
ギョッとしたアレインがレルムを凝視した。
「が、楽器…っ? う、うむ…移動は可能だ。可能だが、どうも…よく分からない。
アンナ嬢、どうだろうか。まずはみなで共にみそ」
「行くぜ合体!」
アナンは両手を広げて飛びかかった。
上半身に抱きつかれたアレインは驚いて肩を揺らす。慌てて長い両腕で包むように小柄な青年の身体を支えた。
アナンは「あっはー!」と叫んで魔法を使った。
現れたのは、てっぺんに玉房がついた円錐の魔道具。目を白黒させるアレインの頭に被せて、アナンはアゴ下にリボンで留めた。
とたん、機械人種特有の360度パノラマ視界に、赤字の文章が表示される。
『既に交戦中。目を合わせるな』
ハッと硬直するアレインをうつむかせながら、アナンは「とぅっ!」と飛び降りた。
アレインはそのままお辞儀の体勢を維持した。誰とも目が合わないように。
その間にレルムは装備を整え、背嚢を背負いなおしていた。
アナンは陽気な笑顔でくるっとターンを決めた。
「腹立つことぁ忘れろ! いったんリセット! だってここは理想郷だぞぉ」
その姿は、さながら演劇で語り部を務める道化のごとく。美貌をあえて滑稽に歪めて三枚目を演じる役者のように、おちゃらけた表情と踊りを見せつける。
いつもとはまた質が違う華やかな言動で、場の支配者は真骨頂たる甘言を繰り出した。
「僕らは女神! 好きに生きる! だったら優先すべきは分かるだろ?
そう! 女神生を楽しむことだ!
こうして見た目を変えれば気分一新! 魅力的な見た目に切り替えればヤなこと全てリセット完了!
らしくないからってなんなのさ! 好きにすればヨロシイの!
そう思うでしょお? ね。享楽王カイザルさま?」
レルムはゴーグル越しに談話スペースを見た。
アレインも己の両眼に妨害魔法を展開しながらソファを見る。
視線を集めたモザイクは、珍しく姿勢が違っていた。
モザイク前までは、おなじみのふんぞり返ったオラオラ座りだった。
しかし今は猫背で前のめり、急かすように膝を揺らしている。
アンナの問いかけに、モザイクの頭部分が大きく頷いた。
モザイクの中にある2つの緑玉は…輝いていた。
「そう思う。それがいいっ」
無防備な目つき。
気が抜けた発声。
((違う))
総毛立ったレルムとアレインは、一気に警戒を高めた。
アナンだけは変わらず陽気だ。普段以上に陽気だ。あっけらかんとした口調でモザイクに「だよねぇー! さっすがぁ、分かってるぅ!」と大げさな称賛を向ける。
「じゃあ、出発だ! いっくよぅっ!」
アナンはカーゴパンツから魔道具を取り出した。
◆
アウローラの虹眼は魔核をイメージで把握できる。
色を変え続ける己の虹眼を指し、アウローラは言った。
「魔核に異物が見えました。爆発物の数字も。ハリィちゃんの多幸感に連動しており、作動タイミングや威力に影響を及ぼす仕様でした。
…分離の呪文で異物を取り除いた時、千里眼が発動しました」
アウローラの特殊魔法「千里眼」は、物に関わる者の過去を客観的に疑似体験させる。
アウローラは告げた。
「黒幕はソーマ。呪物モドキを吸収し、不死性をもった新種の存在へ変質していました。
私の「画面」は、今のところ私が知る存在しか把握できません。変質したソーマを認知できず、森への侵入を許してしまいました。
それについて、まずはおわび申し上げます」
アウローラが謝罪のために立ち上がったが、すぐさまソファに舞い戻った。流水ですくいとられたのだ。
びっくり眼の姪をアレインがヨシヨシ撫でる。リンは再びアウローラの腕にひっついた。
カイザルは言った。
「謝罪は不要。レディの時代の作法は美しいが時間の無駄にも思えるな。
想定外はオレの獲物だと言っただろう。どんな内容だろうが隠さず報告すれば全て許す。
それで?」
「では、時系列で。
秋のあの日に身体から溶け出した後、ソーマは森の外で次元の破片に張り付いていたようです。
新世界成立後に呪物モドキから寄生を受け、自我が蘇りました。その後、欲求のままに壊れた次元の大地を「食らって」います。
毒の作用によって、ええと…奔放です。非常に危険です。
ソーマは、はじまりの女神の石板を奪取し、虹髪を支配下に置き、またしても我々で遊ぶことを企んでいます」
◆
レルムがひとり異界で原油の対処に奔走していた頃、他の女神たちは館の迎賓室に避難していた。
匠は、らせん階段をいったんもぎとりなんやかんやした上でダイナミックにつけ直した。さらにまんべんなくえげつない魔法を施した。
一見して何も変化のない4階は、かつての王族居住塔と同じ性能をもった難攻不落の要塞へ生まれ変わった。
警備の匠が室内に戻ると、広い天蓋ベッドの中で、まだ餓鬼どもがワチャワチャしていた。
ソファにどかっとふんぞり返り、騒がしい天蓋の中を眺める。
ベッド脇に立つアウローラが苦戦する姿に、カイザルはふっと微笑んだ。
「まだ寝ないか。懲りない餓鬼は活きが良いな?」
「う、はい…今「画面」で調整していますが、脳が興奮していて感情を消しても一瞬で復活するんです。きりがなくて」
暴れていたのはアンナひとりだった。
ヴィルヘルミナが独特のゆっくり口調で懸命になだめるが、魔獣は聞いちゃいない。
高熱を出しているというのに、鼻血まみれになっているというのに、視線でカイザルに抗議してくる。
教え子があまりに微笑ましかったので、カイザルはニカッ!と笑いかけた。
もちろん、さらに怒らせた。カイザルに煽っている意識はない。
地の揺れがおさまった直後、カイザルは凪鎧を解除するなり、スペルモル以外の全員を湯の船ですくいとった。
「事が済むまでそこで良い子してろ」
そう命じ、船ごと迎賓室のベッドへ放り込んだのだ。
この処置は妥当である、そうレディ全員の理性は判断したのだが、アンナの感情は納得しなかった。
「武闘家に憧れてた理想の殿方を重装歩兵に鍛えておきながら、都合良く非戦闘員扱いしやがるかナメんなジジィ」
戦闘不能女子はフラフラのくせにブチギレた。
ちなみに戦闘員女児は元気なので、断固拒否は成功した。
ベッドに放り込まれた次の瞬間にはアウローラの腕をわし掴んで飛びだした。
カイザルは眉根を寄せたが「…好きにしろ」とすぐ折れた。
彼は弟妹に甘い。湯たんぽちゃんには特に弱い。(今度こそオレが守りきればいい話だ)と腹をくくった。
アンナの興奮が増したのはカイザルのせいだが、体調不良は本人の意志の結果。
地鳴りは振動を伴った。いち早く崩壊の危機を察知したアンナは特殊魔法「強化」を全力発動した。足りずに禁じ手を繰り出し、盛大な鼻血を吹いた。
目の当たりにしたヒュプシュは青ざめ悲鳴をあげたが、アンナはガッツリ妊娠中の愛妻を抱きこみ、決して腕を振らせなかった。
魔法を使った後は食欲が落ちると薄々気づいていたからだ。
単なるつわりの可能性もあると知ってはいたが、アンナはヒュプシュに甘いし弱いし尽くし系パワータイプなので「こっちに守らせろ」欲が我慢できない。
そも我慢する気がないカッコつけ女子は、舘をひとりで防衛した結果、またしても魔力枯渇に陥ったのだ。
ソファにふんぞり返る魔王さまは、猫なで声でアンナを諭しはじめた。
「よくやった、アンナ。本拠地を守りきったことは褒めてやる。
だがな? 訓練以外での枯渇は御法度だとオレは命じたな?
守るべき妻の前で血まみれな姿さらしておきながら、まだ遊んでいたいなんてワガママだぞ?
そういや。お前も一応レディだったな? よし、後で褒美をやろう。化粧品広告でもめくって時間を潰せばいい」
((言い方))
なだめ役の淑女は天を仰いだ。揃って視線で咎めてみたが、カイザル様ァは気づいちゃくれない。
挑発と受け取ったアンナはフガーッと呻いた。鼻血が止まらず物理的に声が出せないのだ。
愛妻が袖を掴んで離さないから、かろうじてベッド内に留まっているだけで、頭に血がのぼった魔獣は猪突猛進。
ヒュプシュは泣きだした。震える声で懇願した。
「無理だよー。アンナ寝てよー。身体おかしくしちゃうよー。お願いだよー。休んでよー…」
女性の滝の涙を目の当たりにしたカイザルは、反射的に腰を浮かしかけた。だが、すぐさまソファに身を押し付けた。
自分には逃げる理由がないことに気づいたからだ。
微かな違和感と冷静な思考の狭間で、彼の脳裏にアウローラの真名が浮かぶ。
神域投影に所属していても、彼の格は死者としてのそれ。ゆえに、かろうじて心当たりに気づけたのだ。
ゾクッと背筋が凍る。
(これは…消滅させたのは物品だけじゃねぇな? さては概念ごとイッたか。なら二度と思い出せないだろう。
問題ない。この視界の変化は…良い傾向だ。恐らくな)
カイザルは吹っ切るように高笑いした。
「元気でなによりだ。そんなに遊びたいならまずはとっとと寝ろ。痛み止めに魔力回復効果も造血効果もねぇぞ? …聞こえてねぇな。
暴れっぷりはまるで一つ下の弟だな? アイツも気が済むまでわめいて暴れて止まらなかった。
よく見りゃ表情も似てるか? 血汚れを気にしないところはそっくりだな。まったく困った奴らだな?」
カイザルは高笑いで懐かしみ、そこここの血染みを魔法で消し去った。
リンはそんな実兄をじ…と見つめた。
(真実がそうだったのなら。わたくしの知るヴァルキル兄上は…あの言動は、本当に演技だったのね)
ベッドの枕元で祈祷していたほうのヴィルヘルミナがカッと光った。「治癒」の発動だ。
アンナだけでなく、カイザルもピカッとなった。
「!?」
目撃した全員が仰天した。
己まで治癒されたと察したカイザルの表情が瞬間ギラリと険しくなるも、露わにした激怒はすぐさま隠された。
わざとでないことが明らかだったからだ。
注視に気付いたカイザルは知らんぷりした。
ベッドの中にいるほうのヴィルヘルミナを見やり、流し目で促した。
ハッと我に返ったヴィルヘルミナは、指示通りにアンナの体温を測った。ピンク色に安堵を滲ませながら、ゆっくりと頷く。
「…解熱…です」
アウローラも「画面」を閉じながら告げた。
「呼吸器の損傷も回復しました。健康です」
カイザルは「なにより」と愛想笑いした。
とはいえ魔力の回復には睡眠が必要となる。
しかし、今のアンナは魔獣なので忘れている。鼻血が止まったと気付いたとたん、元気よく喚きだした。
ベッドを飛び出そうとしてフラつく愛妻に、とうとうヒュプシュが怒った。
「アンナだめ! めっ! とっととねんね! して! 早くー!」
万能の魔法使いの癇癪は強烈だった。
強制睡眠魔法を食らったアンナはベチャッと崩れ落ちた。
ヴィルヘルミナはシクシク泣くヒュプシュに寄り添う。
もうひとりのヴィルヘルミナは、眠るアンナを引っ張って転がしベッドの中へ戻した。
心配するアウローラへ(こちらは任せて)と目配せをすると、己もベッドにのぼって天蓋の蚊帳を閉める。
レディの寝顔は人目に晒さないものなので。
魔獣化するけど、アンナはこれでも一応レディなので。
アウローラは叔父のエスコートでソファに促され、リンの隣に座った。
姪を挟むようにアレインも座った。
対面するソファのド真ん中に、オラオラ座りのカイザル。その隣で、珍しく姿勢を真似ていないスペルモルが思考に没頭している。
アレインは沈痛な面持ちで切り出した。
「アンナ嬢の自己犠牲精神は危ういように思う。
彼女の戦線離脱を提案したい」
カイザルは同感だとばかりに頷き、スペルモルは顔をあげた。
「あえて限界を無視するとこ、ヒュプシュより危なっかしいよな。そのうち不調を隠しかねない。マジ怖い。本当ヤメて欲しい」
少年の切実な視線は、実兄に注がれていた。
あてこすられたと察したカイザルは癖で高笑いしかけたが、アレインがおもむろに白手袋を装備して素振りを始めたため、口をつぐんだ。察した。
カイザルは己の懐を見下ろし、眠るハリィを眺めながら重低音を響かせた。
「有能でも無謀では厄介だな? いいだろう。今後は舘にしまっておく」
他人事なカイザルはさらりと監禁宣言した。
「いや、それはさすがに」と皆で説得して何とか分かって?もらえたものの、カイザルはアンナを保護対象と見做したようだった。
自分棚上げオレ様カイザル様は宣った。
「そうか。好きにすればいい。ただし調教師を…いないな、この世界。ならレディ・ヒュプシュ…、…。
まぁ。いいだろう。散歩くらい、オレが連れていってやる。
朝夕2回で足りるか? 縄張りの距離は? 気に入りの玩具はボールか縄玉かどっちだ?」
「カイザル殿、アンナ嬢はレディである。軍用犬ではない」
「そうだな。飼い主の忠告をド無視しやがる教え子では軍用犬は務まらんからな。
麻酔銃でようやく鎮まるなら野生動物だな。毛並みはいいが毛皮がとれん。だから調教して愛玩一択だと言っている。
魔力装甲を極めたら、褒美に森をドッグランと見做してやってもいい」
リンは実兄を観察していた。転移前の出来事に思いを馳せていた。
実兄の娘息子たちが公に姿を見せなかった本当の理由を、今になって察したからだ。
余興好きの父王は、酒宴のたびに息子に命じていた。
しかし、カイザル王子は様々な建前を駆使して絶対に妻子を舘へ連れてこなかった。
(見栄っ張りな父王が気分を害しながらもソレを許していたのは、かつて名づけの儀を強行して紛らわしい事故があったから、と聞いたことがあるわ。
近衛騎馬隊は、まだ6才未満だった第一子と臨月の王子妃を舘へ連行したのだと…あえて兄上の留守を狙った、と。
第一王子邸が要塞化したのは、だからなのだと)
転移前のリンは、弟とともに生き延びたいとそれだけで頭がいっぱいだった。
噂話を俯瞰して思考する余裕はなかった。…賢く優しい弟と違って。
(この気持ちのやり場が分からない。モヤモヤする。
わたくしは…スペルモルを守っているつもりで、こんな重荷をひとりで背負わせていたのね)
たまらなくなったリンはアウローラの腕にひっついた。すぐに柔らかい手がリンの髪を撫でて優しく抱き寄せてくれる。
当たり前に与えられる安寧。
偽りの飢餓が癒える。
甘えるリンをあやしながら、アウローラは本題を切り出した。
上品な声が冷静に語るのはかつての敵、ソーマが再び顕現したという事実。
「ソーマは、身体に別の魔核が宿っていることを知っています。カイザルさまが皆と打ち解けていることも。
今のソーマは…ええと…、吸収で…ええと…呪物モドキの能力が使えます。
魔核に寄生する形で、身体へ還ろうとしています。
カイザルさまになり代わり、今後はカイザルさまとして暮らす腹積もりのようです」
迎賓室の天蓋ベッド…結局アレインも使ってない。治療開始時点は、カイザルが帽子形態アレインを被って寝ていたが、魔王は懐入れたらチョロ男なので、夜間の身体接触は早々に不要となった。アレインは平らで硬い場所が寝やすいらしく、15センチ人型になってマントルピースで寝てる。
ヴァルキル…双子にとって次兄。カイザルの異母弟。見下し系の毒舌敬語インテリ美少女顔した第二王子から、毒舌敬語のビジネススマイルくせ者系迫力美女顔の宰相に進化。
仕える王がカイザルなので、わりとずっと苦労人。ストレス限界になると魔獣化して大剣を装備。ストレス源のもとへ突撃し、「弟が遊びにきてくれたぁ」と喜ぶストレス源とワッチャワチャしてスッキリしてた。王と宰相だけど、3回に1回は兄嫁から「広いとこでやれっつったでしょ」と並んで説教食らってた。
パノプティコン…王族居住塔。生前のカイザルさん家。第一王子邸を内包し、外側にぐるりと居住区と防護壁が建つ二重構造の巨大な塔。
出入口は内側の塔(元・第一王子邸)にしかなく、その最上階まで到達しないと外側の居住区へ行けないダンジョンのような構造。
内側の塔は腕利きの護衛団つめあわせギフト。最上階はラスボスとしてカイザルが住んでる。
外側の居住塔に住む妻子は出入り自由。天空庭園あり。階層ごとにシェルターも完備。
未来では鉄格子が足されて平民用の牢として再利用されている。




