紅茶と涙
会議が終わって、ダイヤがクロム様に契約の話をしたあと、ルービタニアという国の研究員募集のチラシを渡された。
ルービタニア…、詳しくは知らんけど、この大陸の二大国家のうちの一つや。
トヤヘリノが栄えたんはその二大国家の中間地点で、人がよく通ったからって聞いたことあるな。
けれど俺はそのチラシを受け取らず、かなり雑だがダイヤにニーニャからの手紙を渡した。
多分、読んでくれないだろう。
そう思いながら、エリオットの家に向かう。
ノートに書いてあった通りに、エリオットにお礼を言いに行くんや。
エリオットの家のベルを鳴らす。
一人で来た俺を見て、エリオットは少し戸惑っていた。
いつもニーニャと一緒に来てたからな。
エリオットはお茶をいれてくれて、広いりびんぐに向かい合って座った。
「今日は一人で来たんですね。 道に迷いませんでしたか。」
「大丈夫や。 俺ももう大人やしな。」
「そうですね。」
エリオットはいつも通り優しく話してくれる。
俺はニーニャの不幸事をなかなか言い出せへんかった。
口を開かへん俺をエリオットは急かさず、静かに待ってくれた。
俺はゆっくり口を開いた。
「ニーニャの遺言を預かってきました。」
「え。」
「長い間お会いできなくて、申し訳ないです。 たくさんのことを教えてくださり、ありがとうございました。 …と。」
「そうですか…。」
エリオットはうつむき、ポロポロと涙をこぼす。
「わざわざ来てくださり、ありがとうございます。」
「いえ、そんな…。」
その時、扉の方で音がした。
「おじいちゃん…?」
リビングに入ってきたんは、十歳くらいの女の子。
女の子はエリオットのところに駆け寄る。
泣いているエリオットを心配してるんやろう。
「大丈夫です。 テオさんにご挨拶してください。」
「セルフィーです。 こんにちは。」
「セルフィーか。 大きなったな。」
俺が最後にセルフィーを見たのは歩くかどうかぐらいの、幼いときやった。
セルフィーの成長が長い時間の流れを物語ってる。
日も落ち始め、俺はエリオットの家で夕飯をご馳走してもらった。
エリオットが城にいた時の話をしていると、いつの間にか日は落ちきっていた。
そろそろ帰ろうかと席を立った時、エリオットが急に立ち上がった。
「テオさん、来てください。」
俺は何もわからんままエリオットについて行く。
エリオットの後について行った先は白い扉。
見慣れた白に金の装飾。 ダイヤの扉や。
「この扉の先は東の城の正面玄関です。 私は先に失礼します。」
エリオットはそう言って、扉の中に入っていった。
めっちゃ焦ってるように見えたけど、どないしたんやろ。
俺は焦っているエリオットの後をついていく。
エリオットの後について行ったけど、着いたのは何も無い城の廊下。
こんなとこに何の用があるんやろうと思いながら、エリオットの少し後ろを歩く。
すると、急にエリオットが消えてしもた。
それも壁の中に。
ちょっと先にライトがおるんが分かる。
何を狙ってるんやろうか。
内通者はカレンってことは分かったけど、ライトが完全に除外された訳やない。
ライトは途中でどっかに行ってしもうたみたいやな。
俺はダイヤが出てくるまで、廊下で待つことにした。




