暖渉
先生を家に送り、僕とテオは城に戻ってきた。
ダイヤの本当の名前はシルファー…。
シルファーってとても強い魔法使いだってみんな言っていたな。
実際にダイヤはとても強い。
彼に弱点はあるのだろうか。
僕は思い切って聞いてみることにした。
もう少し話がしたいと言って、テオとダイヤをダイヤの部屋に入れる。
「ダイヤって弱点あるの?」
「え!」
ダイヤに質問したはずなのに、テオがいちばん驚いている。
ダイヤはクスッと笑った。
「弱点かぁ。 痛覚があることかな?」
「痛覚?」
「俺はキャンディーと契約した後に、ゼルアークに回復してもらったんだよ。 ベルリアルに丸焦げにされちまってな。
その回復の代償が不老不死になること。 元々純血だから寿命は長かったんだけど…、まぁ仕方ないよな。
だから俺は死なない…、というか死ねないんだ。 でも、痛みは感じる。 不便な体になってしまったんだよ。」
「そうだったんだ。 不老不死って大きな代償なんだね。」
「回復してもらうんで、そんな大きい代償…。 アイツの推薦の昇格は、たしかに何取られるか分からんな。 死を取られるってことは生を取られるに等しいもんな。」
「でも、痛覚は、ダイヤが生きている証でもあるんじゃない? 弱点なんかじゃないよ。」
僕の言葉に、ダイヤとテオは少し驚いたような顔を見せた。
「ニーニャがそう思ってくれている間はそういうことにしておこうか。」
ダイヤは僕の頭を優しく撫でる。
他にも、ミランダやルカ、ザイード、サイモンという魔法使いの話。
北の国は雪が降っているように見える魔法を貼っているだけで、国内は寒くないという話。
ダイヤの小さい時の話などたくさん話してくれた。
僕も最近見た未来のことを二人に話した。
といっても、特になんともない未来の話だ。
「ニーニャの個人魔法はかなり珍しいよな。」
「そうだな…、時空系の個人魔法は情報を漏らすと危険だな。」
「個人魔法は、家計魔法とはまた別のものなの?」
「そうだな。 家計魔法は、同じ家計全員が使える魔法で、代々受け継がれていくんだ。
個人魔法は、そいつだけのものだな。 その個人魔法が家計魔法として、受け継がれていくこともあるが、極稀だな。」
「個人魔法ってみんな持っているものなの?」
「昔はそうだったんだが、最近減ってきたな。 今は、五人に一人いるかいないかぐらいだったはず。」
「今そんなんなんや。」
「思ってたより少ないね。」
「テオは個人魔法あるの?」
「無いで。 前も言ったけど、俺は出来損ないやからな。 ここに送られてきたんも、何もできひん俺の最後のチャンスってことやわ。」
「チャンスをくれているってことは、テオはまだ期待されているってことじゃない?」
「そうやといいけど。 そんなことより、ダイヤの個人魔法のほうがおもろいんちゃうか?」
「ダイヤは持ってるの?」
「あぁ、ニーニャの魔法ほど派手では無いんだけどな。」
「僕のは派手なの?」
「そうだよ。 俺の個人魔法はコピーだ。」
「コピー?」
「一度受けた魔法を複製できるんだ。 俺が受けた魔法は、俺の血を通して分解される。 その分解した魔法を血に乗せて魔法を放つ。」
「難しいね。」
「簡単に言うと、魔法を受ければ受けるだけ、俺が使える魔法のバリエーションが増えるから強くなる。
っていう、仕組みを説明しないとわからないような、地味な個人魔法だ。」
「でも、潜在的やからこそ相手にバレにくいし、ダイヤの不老不死には相性のええ魔法やと俺は思うで。」
「確かにそうなんだよな。 っていうか、テオは俺の個人魔法を知っていたんだな。」
「ダイヤの情報は、アイツがくれてるからな。 家計魔法の情報は落としてくれへんかったから、アイツも知らんのかもしれへん。」
「結局、ダイヤの家計魔法って空間を動かす魔法なの?」
「そうだな、名称は空間把握って言うんだったかな。 触れた建物の構造がわかったり、扉を介して空間と空間をつなげたりできるな。」
「時空系の魔法って口で説明するん難しそうやんな。」
「確かに、実際見てみないとわからない魔法かもね。」
「で、アイツは他にどんな情報をお前に渡したんだよ。」
ダイヤはテオの方を掴み、軽くゆすぶった。
「うぅ、後はダイヤの光・闇魔法には気をつけろってくらいしか…。」
「光と闇は基礎魔法だけど、使うのが難しいんだよね。」
「難しいというか、制御できないと大変なことになるから、魔力が少ないやつは使わないほうがいい魔法だな。」




