留守番
王がアルクス様から、クロム様とアリス様に移った日から、色々なことが変わった。
まず、最近西の国で戦争が起こっているらしいので、それに巻き込まれないための機関ができた。
それと同時に、この国を守るための部隊が創設された。
国中から志願者を集め、書類と面接を経て約百人が集まった。
部隊は五つに別れており、それぞれ役割が違うらしい。
城に使えているものは、みんな五番隊に入隊したので、僕とテオも推められたが、僕は反対した。
ダイヤは、医療部隊の四番隊に入ることが決まったいた。
四番隊は、ダイヤとたまに手を貸してくれる、魔法学校の保険医のみ。
僕も四番隊に入ろうと、免許取得の勉強を始めた。
ダイヤは最初少し心配しているようにも見えたが、僕のやりたいことをやらせようと思ったのか、勉強を見てくれるようになった。
ダイヤも最近たくさんの医療免許を取ったということもあって、色々と参考になった。
僕は無事、軍事医療の免許を取得することに成功し、四番隊に入隊した。
軍隊と言っても、他の国が攻撃をしてこない限り、東の国は一切手を出さない。
それ以外に代わったことは、城で働く人がほとんど代わった。
前までの使用人のほとんどは、ララが連れてきた者たちだったから、一斉に代えたのだろう。
実際、一度夕食に毒が盛られていたことがあった。
クロム様が口にする前に、ダイヤが気づけたのは、不幸中の幸いだ。
その事もあって、城の食器が銀製に代えられた。
ダイヤのカップ以外は。
そして、僕の中で一番変化してしまったのは、ダイヤだと思う。
ダイヤはいつも変わらず優しいし、僕達のことをよく考えてくれている。
しかし、ダイヤは固形物を何も口にしなくなった。
ダイヤが口にするのは、水と紅茶。 少しの酒のみだった。
とても心配だったが、ダイヤはいつもと変わらず活動していたし、体型もほぼ変わらなかった。
ダイヤの体はどうなっているのだろうか。
色々代わったものもあるが、変わらないものもある。
さっきも言った通り、ダイヤの僕らに対する対応は変わらないし、王になってからもクロム様とアリス様と一緒に遊んだ。
リュウセイとの文通を通して、古代文字の勉強を続けたり、
先生や、ステラさんの家によく遊びに行ったりして、楽しく日々を過ごしていた。
クロム様が王になってから、約五年。
いつの間にか、テオに背を抜かれていた。
仕事が入ったと言って、ダイヤとクロム様が出かけた。
どうやら、ここから遠いところにある国の内戦の様子を見に行くそうだ。
そんな必要があるのだろうか。
クロム様に王が代わってから、トヤヘリノ地域以外の国とも交流が深いようで、仕事で二人で出かけることが多くなったと思う。
なんだか、どこかの誰かの調査で何かがわかって、それを保護してほしい的なことを言っていたような、違うような…。
とりあえず、今この国の責任者は六歳のアリス様。
僕の役目はアリス様の護衛。
身の回りのことは、オルターさんやメイドさんがしてくれるから、心配は無い。
この出来事で一番驚いたのは、テオが一緒に行きたがっていたことだろうか。
テオは普段そんなことはしないので、ダイヤは不思議がっていたが、結果的には僕達と共に留守番することになった。
「そんなに、一緒に行きたかったの? 珍しいね。」
「ん〜、絶対に行きたいってわけや無いんやけど…。」
「まぁ、一緒に行きたい気持ちは分かるけどね。」
「ニーニャは、ホンマにダイヤのこと大好きな。」
「そう?」
「なんでそんなに、ダイヤのこと好いてるんかが、俺にはわからん。」
「命の恩人だから…かな。」
「そうやとしても…、まぁええわ。
実は、ダイヤとクロム様が行ってるとこ、前に行ったことあんねん。
危険なとこやったから、クロム様を連れってってほしくなかっただけ。 それの交換条件として、俺を連れて行けって言ってん。」
「じゃあ、テオが行きたいって言うより、クロム様を行かせたくなかったってことね。」
「せや、あこはホンマにひどいとこやった。」
テオは少し悲しそうな顔をする。
ダイヤとクロム様が向かったところは、どんなところなのだろうか。
ダイヤとクロム様がいない間に、何度も怪しい商人が来た。
名前は、デネヴと言っていた。
テオよりも背が高く、大きな帽子を被っていて、顔がよく見えなかった。
内戦が続く西の国に、物資を送らないかという話だったが、僕達は断り続けた。
アリス様は、とてもしっかりしている。
デネヴを追い返すときも、しっかりと東の国側の意見を言えている。
ララ達がいたこともあって、あまり関わることがなかったが、国王として十分な人だと思う。
アルクス様が、二人で一つの国の王にしたのも納得だ。




