表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/25

2-9 忠誠

 俺の「最後の仕上げ」と言う言葉に、意味が分からず、皆が困惑顔をする。

 それが少し可笑しくて、笑いながら俺は説明をした。


「取り敢えずは、君達の【隷属紋】だけど、それを今から取り除く。それで、好きな所で、好きなように生きればいい。生活面に関しても、心配しなくていいよ。金になりそうなのは、たんまりあるからね」


 俺は、手に持った【収納鞄(ストレージ・バッグ)】を掲げてみせた。


 アフター・ケアも忘れません!


「あ、その前に、悪いけど先に【契約書】(〈魔法契約〉が施された紙)にサインだけしといてもらえるかな?別に怪しいものじゃないから安心して。ただ、俺の名前とか能力を、誰にも話さないって言うだけの契約だからさ。それじゃ、早速……」

「ちょっ!待て待て待てーい!!」


 俺が、【隷属紋】の解除をしようとした矢先、ディータから「待て」が掛かった。


 …………俺は犬か。


「うん?どうかした?」

「「どうかした?」じゃねぇーよ!お、俺達、このまま死ぬんじゃ……」

「あれ?ディータさんは死にたいの?それだったら……」

「ち、違う!違うけども……」

「なら、【隷属紋】解除しても大丈夫だよね?」

「へ?え?そりゃ、出来るんならそうしてくれると…………え?マジで?」


 ディータの混乱がピークに達する。

 半信半疑ながらも、本当に生き残れるのか?、だとか。

 俺達の決死の覚悟は?、だとか。

 頭を抱えながら、何やらブツブツと言い出した。


 良く見ると、他の人達も口をポカーンと空けて、呆けていた。


「………………何故、そこまでしてくれるんだ?」

「……え?」


 そんな中、武士然としたイケメンが、唐突に俺にそう聞いてきた。


「俺達は、君に返せる物が何も無い。だと言うのに、君は無償で我々を助けようと言うのか?そこに、君に一体どんなメリットがある?君は、ヴァレン国の人間だろ?偏見をするつもりではないが、私はあの国にはあまり良い印象を持っていない。君みたいなタイプは、あそこでは生きにくいだろうに。君は、あまりにも優し過ぎる」

「………………別に、僕は優しいんじゃないよ?」


 メリットは確かにない。

 強いて言うなら、彼らが()の俺に似てるから、と言う所か。


 但し、それは別に感傷に浸ってると言う事でもなく……。


「なら、何故だ?」


 イケメンが、更に問う。

 皆もそれが気になるのか、俺に注目する。

 俺は苦笑しながら、ゆっくりと口を開け、自分の考えを語った。


「…………昔、ある人が言ってたんだ。「世界は、とても理不尽だ。幸せな人がいれば、当然不幸せな人もいる。けど、幸せか不幸せかを決定するのは他人じゃないし、ましてやそれを他人が強制して良いものでもない。結局の所、幸せになるか不幸せになるかは、『自分自身』だけだ」と……」

『……………………』


 例えば、長距離走をしたとしよう。

 当然、一位の人が居れば、最下位の人も居る。

 そんな最下位に、貴方なら何て声を掛ける?


 良く頑張ったと褒める?

 もっと頑張れと罵る?


 それを、他人が何故軽々しく言えるのか?

 自分が、一生懸命力の限り走って、この結果で満足するなら、それは幸せな事だ。

 逆に、もっと死ぬ気でやれば、もしかしたら、もう少しマシな結果になったのではないかと後悔するなら、それは不幸せな事だ。


 他人は所詮他人でしかない。

 自分以外の者は、皆他人だ。

 頑張ったのか、そうじゃないのか、それを見極めるのは、他人には容易ではない筈。

 だから人は、自分の物差しで人を見る。


 自分ならこうする。自分ならああする、とーー。


 人は無責任だ。

 口先でなら幾らでも言えるが、結局、相手の事を本気で理解出来てる者など、そうは居ないのだから……。

 それを本気で思ってる者が居たら、それはただの勘違いだ。

 思い上がりも(はなは)だしい。


 だから、結局決めるのは『自分自身』。

 自分以外に、それらを決める権限は、誰にもない。

 例えそれが、神であろうとも……。


 俺の言葉に、誰も口を開かなかった。

 皆にも、色々思う所もあるだろう。


 だから、俺は最後にこう付け加えた。


「貴方達が奴隷に落ちたのは、『他人に強制された、理不尽な事』だ。僕は、それが気に入らない。だからこそ、【隷属紋】を破棄する。僕は優しいんじゃない。結局は、自分の為なんだよ。その後、貴方達が何処で野たれ死のうと、僕の知った事じゃないしね」


 そんな、俺の突き放すような言葉に、


「………………なるほど。理解した」


 武士然としたイケメンが、そう言った。

 何処か嬉しそうに。


「やはり君は優しいよ」

「だから、僕は……」


 俺は、イケメンの言葉に言い返そうとして…………口を閉ざす。

 イケメンが、徐に二本の刀を地面に置き、片膝を折って頭を垂れたからだ。


「…………え?」

「……【隷属紋】を破棄出来ると言っていたが、逆に、【隷属紋】を刻む事は?」

「は?え?ま、まあ、一応出来るけど……」


 唐突な質問に、戸惑いながらも、俺は取り敢えず素直に答えた。


「ならば……」


 イケメンは、垂れていた頭を上げると、閉じていた瞼を開けた。


「ッ?!」


 俺は、息を飲んだ。

 何故なら、その瞼の裏には…………何も無かったからだ。

 そこは、空洞だった。


 ずっと、目を閉じていたのは気になっていたが、まさか、目をくり取られていたとは……。


 イケメンが、凛とした声音で、高々と宣言する。


「我が名は【ヤマト】。生涯の主をここに見つけたり。許されるなら、残されたこの命、貴殿の【隷属紋】を刻み、貴殿の為に尽くしたいと思う。願わくば、我が忠誠を受け取ってほしい」

「…………………………はい?」


 え?何言っちゃってんの?この人。


 今度は俺が、開いた口が塞がらなかった。

 何故、いきなりそうなるのか分からなかった。


 助けを求めるように、辺りを見渡してみると…………ヤマトに倣う様にに、何故か他の人達までもが、膝を折ってる光景が目に入った。


 えー?何でー?


 益々、俺は混乱するのだった。

例えが分かりずらくてすんまへん!!

作者も、書いてて良く分からんくなった(←おい!


((((((^_^;)ニゲヨッ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ