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ミンジェ課長の秘密  作者: Furi0804


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29/32

第29話 同じ夜

仮婚約の契約は明日で終わる。




ジミンはアパートの部屋で、静かに息を吐いた。


あの緑地での夜から、もう1週間が経っていた。




あれだけ言葉をぶつけた。


ミンジェも、初めて自分の過去を話してくれた。


あれは、心からの本音だったと思う。




それなのに、毎日会社で顔を合わせても、職場では何事もなかったように振る舞っている。


資料の確認、短い指示、淡々とした「お疲れ様」。


じゃあ、あの夜は何だったのか。




(明日、課長は何を言うつもりなんだろう)




ジミンはアパートの窓を少しだけ開けた。


十二月の冷たい空気が、頬に触れる。




終わるのかもしれない。正しく、静かに、契約通りに。


そう思うだけで、涙が、こぼれそうになる。




温かくて、強い、ミンジェの背中。


あれは夢じゃなかったはずなのに、


今はまるで遠い幻のように感じる。




ジミンは窓枠に額を押しつけた。


冷たいガラスが、熱くなった肌を冷ます。




(なんだか、すごく遠い……)




*****************




同じ夜、ミンジェも自宅マンションの窓辺に立っていた。


外の夜景を眺めながら、静かに、深く息を吐く。




ジミンと顔は合わせる。


仕事もする。


でも、以前のようには戻れない。




決定的な話はまだしていない。


職場だから。


契約終了日が近いから。


言うならその日に、ちゃんと言うべきだから。




スマホを手にとる。


指が震えた。




>明日は、うちの近くまで来られるか。




短いメッセージ。




送信して、ミンジェはコーヒーテーブルの上に置かれた小さい紙袋に目を落とした。




あと一日。


この仮の契約が終わるまで、あと一日。




答えが、明日出る。


彼は静かに目を閉じた。




胸の奥で、抑えきれない熱が、静かに、激しく燃え続けていた。


痛いほどに。


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