表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
87/88

第二話 雨の森

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

 翌朝。


雨はまだ降り続いていた。


灰色の空。


湿った土の匂い。


村の誰もが、私たちを避けるように目を逸らしていた。


……三日後。


私達は、ここからいなくなる。


その意味は分からない。


でも。


戻ってきた人がいないことだけは知っていた。


「お姉ちゃん。」


「ん?」


「今日のご飯、あるかな?」


ツバキが私の袖を引っ張る。


 私は笑った。


「……あるよ。」


「探そう。」


「うん!」


本当は何もない。


でも、何もしないで待っているなんて嫌だった。



 森へ入る。


里の周りに広がる、暗い森。


私たちエルフにとって唯一の食料庫。


だけど、最近は木の実もほとんど残っていない。


「ないね……。」


「うん……。」


ツバキのお腹がぐぅ、と鳴った。


「……。」


「……。」


二人で顔を見合わせて、小さく笑う。


「今日は外れかな。」


「お姉ちゃん。」


「なに?」


「私、お花でも食べられるよ?」


「食べちゃだめ。」


「えぇ……。」


少しだけ。


本当に少しだけ。


気持ちが軽くなった。



その時だった。


ゴロゴロ……


遠くで雷が鳴る。


雨が強くなる。


「うわっ。」


「お姉ちゃん。」


「少し雨宿りしよう。」


「うん。」


私たちは、森の奥へと足を向けた。


すると。


「……あれ?」


見慣れないものが目に入る。


木々の間。


苔に覆われた石。


まるで建物の一部のような。


「こんなの……あったっけ?」


私は近づく。


ツバキも後ろからついてくる。


「変なの。」


石には、不思議な模様が彫られていた。


円。


線。


見たこともない文字。


そして中央に。


透明な結晶のようなものが埋め込まれている。


「綺麗……。」


ツバキが呟く。


私は、なんとなく手を伸ばした。


すると。


ピシッ。


首輪の宝石が、微かに光る。


「……え?」


同時に。


石碑の模様が光を帯び始めた。


「お姉ちゃん?」


「離れて!」


ゴォォォ……


地面が震える。


足元に、光の輪が広がっていく。


「な、なにこれ!?」


「お姉ちゃん!」


ツバキが泣きそうな顔でしがみついてくる。


逃げようとした。


でも。


身体が動かない。


眩しい。


熱い。


そして。


世界が白く染まった。



――どれくらい経っただろう。


「……う……。」


冷たい床。


私はゆっくりと目を開けた。


「ここ……。」


暗い。


天井が高い。


石造りの広い空間。


見たことのない場所。


「ツバキ!」


「う……。」


すぐ隣で、妹が目を覚ます。


「お姉ちゃん……。」


「よかった……。」


私は思わず抱きしめた。


「怖かった……。」


「うん……。」


二人でしばらくそのままでいた。


やがて。


ツバキが顔を上げる。


「ここ、どこ?」


「……分からない。」


本当に分からなかった。


村でもない。


森でもない。


そして。


外でもない。


まるで。


地下のような場所。


その時だった。


パチッ。


遠くで光が灯る。


「……!」


「お姉ちゃん。」


「……うん。」


もう一つ。


また一つ。


光が順番に点いていく。


やがて。


巨大な通路が浮かび上がった。


その先には。


見たこともない建物。


塔。


橋。


そして。


無数の明かり。


「……街?」


私は、呆然と呟いた。


地下。


そこには。


一つの都市が眠っていた。


誰もいない。


静かな。


まるで時間が止まったような。


古代の街が。


「お姉ちゃん……。」


ツバキが私の服を掴む。


「……うん。」


私は妹の手を握った。


怖い。


でも。


ここにいるしかない。


もう、帰り道も分からない。


「……行こう。」


「うん。」


二人は。


静まり返った地下都市へ。


ゆっくりと足を踏み入れた。



読んでいただきありがとうございます。

面白かったら評価、ブックマークで応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ