表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
85/88

プロローグ エルフを選んだ理由

4章開幕です。3章からの流れで過去の回想の章です。

新キャラ登場 エルフの姉妹「サクラ」「ツバキ」です。 



 ――エルフを選んだのは、見た目が一番良かったから。


長い耳。


綺麗な髪。


魔法。


ゲームなら、きっと強い。


そんな、ただそれだけの理由だった。


……なのに。


「なんで私は、ここにいるんだろう。」


冷たい雨が頬を打つ。


泥だらけの地面。


薄汚れた服。


痩せ細った手。


そして、首につけられた鉄の首輪。


私は、それを指先でそっと触れた。


カチャリ、と嫌な音が鳴る。


「お姉ちゃん……。」


隣から、小さな声が聞こえる。


同じように長い耳。


栗色の髪。


まだ幼い少女。


この世界での、私の妹。


ツバキ。


彼女は空を見上げながら、小さくお腹を押さえていた。


「……お腹すいた。」


「……うん。」


私もお腹が空いている。


昨日から、何も食べていない。


でも。


「大丈夫。」


私は笑った。


「お姉ちゃんだから。」


そう言うと、ツバキは少しだけ安心したように笑った。


その笑顔を見ると、胸が苦しくなる。


私だって、怖い。


私だって、お腹が空いている。


私だって、泣きたい。


お姉ちゃんだから。


そう思うしかなかった。


顔を上げる。


そこには、高い山。


雲を突き抜けるほどの巨大な山脈。


その麓にある、小さな村。


私たちエルフの里。


……いや。


竜人族の支配する、檻だ。


この世界の記憶は、ここから始まった。


気が付けば私は、この里にいた。


名前だけは覚えている。


自分が「サクラ」ということ。


そして、ここがゲームの世界に似ていること。


それ以外は、何も分からなかった。


ここでは弱い者は死ぬ。


強い者だけが生きる。


竜人族。


獣人族。


エルフ。


多くの種族がいるらしいけれど。


私たちエルフは、弱かった。


高い生命力を持ち。


その命を代価に精霊を操ることができる。


それがエルフ。


けれど。


戦う力は弱い。


数も少ない。


だから、支配される。


だから、首輪を付けられる。


だから、怯えながら生きる。


「……なんで。」


ぽつり、と言葉が漏れた。


「なんで、こんなことになってるんだろう。」


ゲームなら。


楽しい冒険が始まるはずだった。


綺麗な景色を見て。


友達を作って。


強い敵を倒して。


そんな物語になるはずだった。


なのに毎日考えるのは。


今日、食べられるか。


今日、生き残れるか。


明日、自分が売られるのではないか。


そんなことばかり。


怖い。


苦しい。


帰りたい。


でも。


どこに帰ればいいのかも分からない。


私は、雨空を見上げた。


灰色の雲。


つめたい雨。


遠くの山の頂には、一匹の竜が翼を広げて飛んでいる。


あれが、この世界の支配者。


私たちの恐怖。


私たちの主人。


……そして。


いつか私たちを部品として使う存在。


その時だった。


村の方から声が響いた。


「サクラ!」


「ツバキ!」


「村長がお呼びだ!」


胸が、ドクンと鳴る。


嫌な予感がした。


鼓動が、少しだけ強くなる。


私は、ツバキの小さな手を握った。


「……お姉ちゃん?」


「大丈夫。」


震える声で。


私は、そう言った。


「お姉ちゃんだから。」


それしか。


言えなかった。



読んでいただきありがとうございます!

続きが読みたいと思ってくれましたら

4章開始に伴い私のモチベーションUPの為に評価とブックマークをしてくれたら嬉しいです。

エネルギー補給おねがいします。

☆☆☆☆☆ヲ★★★★★ニシタラ満タン二ナリマス

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ