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第二十一話 黒き奇跡

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

バルド辺境伯領。


砦の謁見室。


いつになく、その場は騒然としていた。


「撤退とはどういうことだ!」


「あれだけの戦力がありながら!」


「バルド伯は何をやっておる!」


「もうこの砦も危険ではないか!」


「すぐに戦場になるのでは!?」


「王都へ戻るべきです!」


家臣達は口々に叫ぶ。


不安。


恐怖。


怒り。


それらが入り混じり、収拾がつかなくなっていた。


「ええい!!」


ドン!


国王アレス六世が玉座の肘掛けを叩く。


「やかましい!!」


「少しは落ち着かんか!」


一喝。


その場が静まり返る。


「もうすぐ当人たちも到着する。」


「それですべて分かるであろう。」


一方その隣で


エレノアは静かに俯いていた。


両手を握り締め。


祈るように。


「……バルド様」


その姿を見て国王はため息をついた。



その時。


扉が開く。


「バルド辺境伯!」


「騎士団長レオン!」


「帰還いたしました!」


現れた二人。


それを見た瞬間。


「卿ら!」


「何をやっていた!」


「この失態!」


「どう責任を取るつもりだ!」


再び怒号。


しかし。


国王が静かに手を上げた。


ぴたりと場が静まる。


「二人とも」


「大儀である。」


「して」


「戦況は?」


バルドとレオン。


二人は頭を下げた。


「はっ!」


「我が軍損耗率四割。」


「敵主力と思われる戦力は、一時的には撃退いたしました。」


「しかし」


「敵にはまだ余力があります。」


「今後、さらなる敵戦力が投入された場合」


「我が軍は一気に不利になると判断。」


「撤退を決断いたしました。」


「……」


アレス六世は頷く。


「そこまでの脅威だったか。」


「はっ。」


「人知を超えております。」



「しかしながら」


レオンが続ける。


「友軍の強力な結界能力により」


「この砦は不落と言っても過言ではない結界で」


「これ以上の敵の進軍は不可能と判断します。」


「なんと楽観的な!」


「責任を取れ!」


「負け戦ではないか!」


「辺境伯!」


「騎士団長!」


家臣達はさらに声を荒げる。


「もうよい。」


国王が静かに言う。


「人知の及ばぬ戦に」


「責任も何もあるまい。」


「して」


「その友軍とは?」


「どこの軍だ?」


「はっ」


レオンは答えた。


「妖精王です。」


「む?」


国王は首を傾げる。


「あのペンギンか?」


「はい。」


「ペンギンではなく妖精王です。」


「……?」


「外をご覧ください。」



窓の外。


夕暮れの荒野。


そこに。


黒き騎士。


魔核機ネスト。


その背中から伸びる六枚程に見える光翼。


両手を広げ。


巨大な結界が空へと広がっていく。


キィィィィ……


半透明の壁。


それはまるで。


世界そのものを守る大樹のようだった。


「おお……」


「なんと……」


「美しい……」


「南部都市の奇跡と同じ……」


「妖精王……」


「本当にいたのか……」


砦の兵士。


負傷兵。


冒険者。


帰還した機兵乗り。


全員が足を止めて見上げていた。


その姿は。


まさしく。


伝説の物語のように。



「……なるほど。」


アレス六世は小さく笑う。


「これは確かに。」


「妖精王だな。」


エレノアも思わず立ち上がる。


「綺麗……」


フィオナも目を見開く。


「まるで神話……」


家臣達も言葉を失う。


誰も。


先ほどまで責任を叫んでいたことを忘れていた。



その頃。


ネストの中。


「はぁ……」


レンはため息をついていた。


「必要だからって」


「目立つのあんまり好きじゃないんだよなぁ……」


『仕方ありません。』


『新人連合に対する防衛策は必須です。』


「そうだけどさぁ」


『現在、砦の安全は確保されました。』


『マスターの判断は正解です。』


「そうかい」


レンは頭を掻く。


「あー……」


「今から色々聞かれるんだろうなぁ」


「めんどくさい……」


『諦めてください。』


『マスターは妖精王です。』


「俺は結界師だ。」


『精霊王です。』


「違う。」


『妖精王です。』


「違う。」


『ペンギン王です。』


「それはもっと違う。」


(ペンギン・・壊れちまったなぁ・・)



読んでいただきありがとうございます。

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