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第二十話 撤退戦

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

『お前……』


『なんだそれ?』


レオンの呆れた声が無線越しに響く。


『まぁ』


『ネストだ』


『いやいやいや!』


『そんな機体無かったって!』


『知らん』


『俺が付けた名前だ』


『そういうことじゃねぇ!』


バルドまで割り込んでくる。


『おい!』


『なんだそのかっこいい奴!』


『俺にもくれ!』


『無理だな。』


『なんだ?隠しアイテムか?課金か!?』


レオンは苦笑した。


『おそらくは』


『アポカリオンと同か。』


『ゲームでは設定だけ存在した機体』


『本来、俺たちが知りえぬ存在。』


『まぁ』


『そんなところだ』


『なるほどな……』


『なるほどじゃねぇよ。何所から見つけてくるんだよ。』


「こいつが噂の精霊王か・・」


その姿を見てレオンは納得する。



「そんなことより」


レンが空の牙竜を見る。


「こいつ」


「落とした後どうする?」


レンは勝利を確信したように言い放つ。


『そうだな』


レオンの声が真面目になる。


『兵の損耗率は四割を切った』


『このまま粘っても』


『こいつみたいなのが大量に来たら』


『全滅だ』


『バルド』


『撤退を勧める』


「……」


バルドも頷く。


『そうだな』


『無駄に部下を死なせたくねぇ』


『しょうがねぇ』


『ただ』


ティラントが戦斧を構える。


『遺跡の扉だけは破壊して退くぞ!』


「あ、それは気にしなくてもいいぞ?」


二人にはレンの言っている意味が分からなかった。



「さて」


レンは牙竜を見る。


「第二ラウンドだ」



牙竜の黄金の瞳。


その視線は。


完全にネストへ固定されていた。


「貴様……」


「面白い!」


「面白いぞ!」


「ほう」


「もう少し頭のいい種族かと思ってたんだがな」


「悪い」


「今手が塞がってるんだわ」


当然。


牙竜にはノイズにしか聞こえない。


「何を言っている!!」


竜の咆哮。


「後ろが」


レンは小さく笑った。


「がら空きって言ったんだよ」



ズバァァァァ!!


「!?」


牙竜の肩口から腹。


背中まで。


一閃。


鮮血。


雨のように降り注ぐ。


「ぐぁぁぁ!!」


牙竜が絶叫する。


その後ろ。


赤き機竜。


グラム。


大剣を振り抜いた姿勢。


『こいつ』


『最後まで戦場を舐めてたな』


「人質が居なけれはどうとでもなる。」


レオンが静かに呟く。


『まぁ』


『プレイヤーなら』


『こんな単純ではない』



「お……」


「おおおおぉぉぉ!!」


断末魔。


巨大な竜が。


空から落ちていく。



ズドォォォォン!!


地面が揺れる。


そして巨体は


徐々に縮んでいく。


翼。


鱗。


牙。


全てが消えていく。


残されたのは。


二本の角。


人間と変わらぬ大きさ。


黒髪。


そして。


現代でいう着物に似た服。


若い男。


「……」


戦場に静寂が訪れた。



その光景を。


白虎は遠くから見ていた。


「……」


「竜人が倒された」


驚き。


「まさか、竜をもしのぐ力とは」 


部下達も動揺していた。


「白虎様!」


「このままでは我々も!」


「全滅します!」


「撤退を!」


「弱気なことを言うな」


白虎が一喝する。


「……」


しかしその目は冷静だった。



「リアが気になる早く帰りたい。」


レンが二人に言った。


『マスターは過保護です。』


「うるさい」


「おいおい、それは置いといて」


「遺跡の扉を破壊しなくて良いって事か?」


「ああ、おそらくは・・」


「あの遺跡、空だ。」


「は?」


「は?」


「だから安心しろ。」


「撤退に必要な結界も貼れるし」


「もしここを奪われても」


「バルドの砦までなら、安全を確保できる。」


「ちょ・・」


二人は頭を抱えて考える。


「まぁ、込み入った話は帰ってからだ。」


「エレノアも心配してるぞ?」


「なんで、そこでエレノアが出てくる」


バルドはレンの言葉の意味を


深くは理解できない


レオンはレンと顔を合わせて、


何度もうなずくのであった。

読んでいただきありがとうございます。

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