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第十九話 戦場の妖精王

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

空に響く轟音。


赤き機竜グラム。


そして巨大な竜、牙竜。


激しい空中戦が続いていた。


だがその片腕には。


力なくぶら下がるシルフィネ。


「リア!」


「くっ!」


レオンは歯を食いしばる。


度重なる衝撃。


振動。


既に。


リアは操縦席で気を失っていた。


『リア様』


『リア様』


『返答してください』


『リア様』


ノアの声だけが虚しく響く。



「ははは!」


牙竜は楽しそうに笑う。


「速いな!赤いの!」


グラムが翼を広げる。


音速で剣を振りかぶる。


しかし。


「ほれ」


「ほれ」


ガン!


シルフィネを振り回す。


「!」


レオンが剣を止める。


「卑怯な!」


牙竜にはレオンの言葉は金属音の様に


ノイズに聞こえている。


「当たるぞ?味方を斬ってみよ」


牙竜の言葉は咆哮として聞こえる。


アストラの兵士達には。


シルフィネを玩具のように振り回して


遊んでいるようにしか見えなかった。


「なんて奴だ……」


「悪魔か……」



「くっ」


バルドは立ち上がる。


「休んでられねぇ」


ティラントへ向かう。


その時。


「?」


遠く機兵の残骸。


砕けた外装、その傍ら。


立ち上がる男が見えた。


「……!」


「無事だったか!」


思わず叫ぶ。


「レン!」



レンは空を見上げる。


「……」


「流石に」


「出し惜しみしてる場合じゃないな」


拳を握る。


そして。


ペンギンの残骸に残った通信機。


「バルド!」


「少しの間」


「獣人の相手頼めるか!」


「おう!」


「任せろ!」


「レオン!」


「そのまま竜を牽制しろ!」


「了解した!」


二人は安堵した。


生きていた。


まだレンがいる。



「どうする気だ?」


 二人から問われる。


「ノア」


「リアは?」


『衝撃に耐えかねて気絶しています』


『命に別状はありません』


「そうか」


レンは息を吐く。


心を落ち着かせる。


静かに。


目を閉じる。


そして。


呟いた。


「来い」


「ネスト」



ピシッ……


空間が割れる。


「!?」


「なんだ!?」


「空が!」


戦場全体が静まる。


亀裂の中から


黒い巨人の手。


まるで主人を迎えるように。


優しく。レンを包む


そしてそれは姿を現す。


黒い騎士。


魔核機。ネスト



「なんだありゃ!?」


「どこから出てきた!?」


「魔核機か!?」


「知らん!」


兵士達も。


獣人達も。


誰一人。


理解できない。


現実感のない戦い。


その先の。


さらに理解不能な存在。


夢でも見ているのか。


そう思う光景だった。



『ネスト』


『起動します』


「ノクターン」


「起動」


『光の長弓ノクターン


『起動します』


ネストが天へ手を掲げる。


すると。


光が収束して


巨大な長弓の形を成す。


まるで月光を編み込んだような。


神々しい弓。


戦場の誰もが息を呑む。


「綺麗……」


「なんだあれ」


「魔法か?」


「違う……」


「なんだ?」



『距離補正』


『高度補正』


『座標補正』


「シルフィネに当てるなよ」


『了解しました』


「いけ」


『発射』


ビィィィィィ!!


一条の閃光が放たれる



空。


「!」


牙竜はレオンとの攻防に夢中だった。


下を見ることすらない。


「面白い!赤いの!」


その時。


「!?」


シルフィネを持つ腕の


付け根がはじけ飛ぶ。


ズバァァァ!!


「ぐあぁぁぁ!!」


「なっ!?」


「何だ!?」


牙竜が動揺する。


「腕が!?」


「いつ!?」


「どこから!?」



「今だ!」


レオンはその隙を見逃さなかった。


グラムは大剣を一閃。


「遅い!」


ズバァ!!


牙竜を吹き飛ばす。


「ぐあぁぁぁ!!」



竜の腕から離れ、力なく落下するシルフィネ


先程まで地上にいた黒い騎士は


竜のすぐそばまで飛行して


シルフィネを両腕で抱くように抱えて受け止める。


ネストの背中には


オーロラのカーテンの様なものが


蝶の羽のように大きく噴き出している。


妖精。


光の羽。


幻想的な六枚の光翼。


「!」


「飛んだ!」


「魔核機が!」


「なんだあれ!」


「妖精……?」


誰もが見上げる。


妖精姫を抱えるその姿。


美しく、妖艶で、優しく。


気高く見えた。


大空へ。


静かに浮かび上がる。


誰しも。


同じものを思い浮かべた。


「妖精王……」


「妖精王様……」


「奇跡だ……」



そして。


空中。


腕を失った牙竜。


何が起こったのか未だ混乱している


自分を襲った光が何所から来たのかを探す。


そして、自分の背後に


突如として現れた黒い人形。


光の翼。


そして、自分が今まで持っていた


玩具を奪われている。


「よう」


「遊びの時間は終わりだ」


牙竜は察したアイツがやったと。


瞳が見開かれる。


「……」


「なんだ、お前は」


突然現れたそれを見上げ理解と同時ににらみつける。

読んでいただきありがとうございます。

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