第十八話 牙竜
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。
戦況は変わり始めていた。
白虎率いる獣人部隊。
その猛攻を。
赤き機竜グラム。
幻獣ペンギン。
そして。
空を舞う妖精。
三機の連携が押し返し始めていた。
「押せぇ!」
「今だ!」
「敵将を押し込め!」
王国軍の士気も高い。
獣人達も猛者揃い。
しかし。
白虎一人では。
三機を相手取るには厳しい。
「くっ……!」
「面白い!」
「面白いぞ!」
白虎は笑う。
「だが!」
「負けん!」
◇
その頃。
医療班の元。
目を覚ましたバルドが起き上がる。
「……」
「どれくらい寝てた?」
「一時間ほどです」
「そうか」
立ち上がる。
戦場を見る。
「悪くねぇな」
その時だった。
「?」
空の彼方。
「なんだ……?」
影。
一つ。
「……鳥?」
いや違う。
「……」
「竜?」
近づく。
徐々に。
その姿が明らかになっていく。
赤き機竜グラム。
その姿によく似た。
だが違う生物。
翼。
鱗。
牙。
そして。
巨大。
魔核機の倍。
いや。
それ以上。
「おい……」
「嘘だろ」
◇
兵士達も気付く。
「なんだ」
「あれ」
「……」
「魔獣?」
恐怖。
戦場が静まる。
一方。
獣人達。
ガァァァァ!!
歓喜。
咆哮。
「竜人族!」
「竜人だ!」
「おおおお!」
◇
空。
若き竜人族。
牙竜。
戦闘形態。
竜化。
「ふぁぁ。ここかぁ」
「やっと退屈から解放される」
思慮深い竜人族の中でもこの若者は。
血気盛んな部類だ。
戦を聞きつけ暇潰しにやって来た。
「うむ」
「楽しそうじゃないか」
◇
「援軍か!感謝する!!」
白虎が咆哮する。
武人らしく。
感謝の意を示す。
しかし。
「援軍?」
牙竜は首を傾げる。
「違うぞ?」
「俺は遊びに来ただけだ」
「……?」
白虎。
「?」
◇
その時。
「え?」
シルフィネ。
リア。
次の瞬間。
ドン!!
「きゃっ!?」
「リア!」
恐ろしい速度。
牙竜の手。
シルフィネの首。
ガシッ!!
「!」
ギギギギ……
装甲が軋む。
「シルフィネちゃん!」
「リア!」
「?」
牙竜は片腕で。
さも当然のように。
シルフィネを持ち上げる。
興味すらない。
視線は。
真下。
戦場。
「小さいな」
「お前達」
ギギギギ……
軋む音だけが響く。
◇
「リアぁ!!」
ゴォォォ!!
ペンギン。
全力推進。
「レン!」
レオンも飛ぶ。
ズバァ!!
音速のグラムの剣が牙をむく。
「ほう」
牙竜。
首を傾げる。
紙一重でかわす
「速いな」
次にペンギンが突っ込んでくる
「リアを放せぇ!!」
ドゴォォォ!!
弾丸と化した鉄塊が竜に突進
牙竜。
「フン」
反対側の腕。
ガシッ。
片手で止められる、止まる。
「!?」
「止めた!?」
「玩具が」
◇
牙竜の口が開く。
「消えろ」
ゴォォォォ!!
波動の様なブレスが直撃。
光と黒煙、爆発がペンギンを包む
ドガァァァァ!!
「ぐあぁ!!」
ペンギンは外装が粉々にはじけ飛ぶ
バキバキバキ!!
中からベースとなったパワードが
姿を現す。
「がはっ!!」
推進喪失。
飛べなくなり落下。
「レン!!」
「レンさん!」
◇
ドゴォォン!!
大地。
煙。
沈黙。
兵士達が青ざめる。
「……」
「嘘だろ」
「ペンギンが……」
「今まで以上の化け物が……」
「まだいやがるのか……」
兵の顔には絶望の色が出だした。
◇
空。
「リアを放せ!」
グラムだけが残る。
シルフィネは未だ竜につかまれたまま
下手に攻撃をすればシルフィネを
巻き込んでしまう。
レオンも攻めあぐねる。
「くっ……!」
「卑怯だぞ!」
牙竜。
嬉しそうな咆哮が響く
「赤いの」
「遊ぼう」
◇
そして。
遥か東。
山岳の城。
巨大な水晶。
その中に映る戦場。
天竜。
「……」
「まったく」
隣の老将が苦笑する。
「あの方は」
「言うことを聞きませんな」
「退屈だったのでしょう」
「ここ数百年」
「平和でしたから」
「まぁ」
「本人も」
「遊戯程度にしか思っていない」
「……」
天竜はため息を吐く。
「あやつは」
「本当に」
「竜らしい」
「まぁ」
「好きにさせておけ」
◇
その頃。
土煙の中。
崩れ落ちたペンギン。
砕けた外装。
その中。
半壊の黒いパワード
「……いてぇ」
レンはゆっくり顔を上げた。
はるか上空に捕らわれたシルフィネ。
リア。
赤き機竜と巨大な竜が激突している。
「……」
「マジかよ」
小さく。
呟く。
「やべぇな」
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