第十六話 結界師の本領
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。
ズドォォォォン!!
突如として降ってきた黒い鉄塊。
土煙。
そして。
その向こう。
満身創痍のティラント。
白虎は牙を剥いた。
「……?」
なんだ。
これは。
見たことがない。
ただ、丸い。
妙な鉄人形。
そして。その中から。
「いてて……少し失敗したか」
男の声。
白虎には聞こえない
全てが機械の音に感じる。
「さて」
操縦桿を握る。
「本職の結界師の」
「久しぶりの仕事だ」
ゴウン。
全身を結界が覆う。
「間に合ったようだな」
「選手交代だ」
◇
「レン!来たか!」
バルドは思わず笑った。
その瞬間。
ガァァァァ!!
白虎が咆哮する。
「邪魔だ!」
巨大な戦斧。振り下ろされる一撃。
ガギィィィィン!!
「!?」
結界と激しく衝突する。
多重展開さらに。
二重。
三重。
四重。
五重。
白虎の一撃を受け止める。
「なに!?」
「へぇ」
レンが笑う。
「重いな」
「でも」
「まだまだ」
◇
その頃。
地上に降りたシルフィネから出てきたリア
「バルドさん!」
「悪いな」
「少し疲れた」
レオンもグラムを寄せる。
「お前らしくないな」
「歳だ」
「馬鹿言え」
「ははは」
だが。
その傷。
装甲。
内部。
全て限界。
「リア」
「頼む」
「はい!」
リアはティラントから降りたバルドに肩を貸す。
◇
「しかし」
バルドは戦場を見る。
「すげぇな」
「レンのやつ」
リアも頷く。
「はい」
「結界って」
「本当は神殿を守るためのものなんですよね?」
「そうだ。魔法特化の防御職」
「俺たちみたいなタンクとは根本が違う」
バルドは笑った。
「本来、結界ってのは物理に弱い」
「だから」
「神官は魔法を専門に防御するために張るもんだ」
「でも」
「あいつは違う」
◇
ガギィィィ!!
獣人達の猛攻。
それに対して次々と張り替えられる結界。
「二重」
「三重」
「四重」
「五重」
「六重」
「七重」
「よし」
「まだいける」
◇
「……」
バルドが呆れた顔をする。
「あれだけ重ねるには」
「相当な魔力と精神力が必要だ」
「本来」
「機兵一機が」
「獣人相手にあれだけ食い下がれること自体」
「奇跡なんだ」
「……」
「レンさん」
「変ですよね」
「おう」
「変だ」
「普通じゃない」
「獣人の戦闘力は魔核機一機と互角。」
「それが常識。」
「機兵は本来」
「その半分も戦力はない」
「それほどに、獣人の戦闘力は凄まじい。」
「あいつ一機で」
「魔核機一機分の仕事してやがる」
◇
「本来の結界師の仕事は」
「戦闘職じゃない」
「……」
「ここにいる時点で」
「ちっとおかしいんだ」
リアは苦笑した。
「知ってます」
「でも」
「レンさんですから」
「違いねぇ」
◇
一方。
「ええぃ!!」
白虎が咆哮する。
「うっとうしい!!」
ドガァ!!
ガギィィィ!!
ドガァ!!
ガギィィィ!!
「うぉ!?」
「痛ぇ!」
「危ない!」
「危ない!」
「危ない!」
「これだから脳筋は!」
また結界。
また結界。
また結界。
何度も。
何度も。
何度も。
「うっとうしい!」
白虎の咆哮が荒くなる。
「つぶれろ!この鉄団子!!」
「何言ってるかわからないけどちょっと不愉快だ。」
「うぉぉぉぉ!!」
「元気だな!」
◇
その様子を見ていたリア。
「……」
「?」
「どうした」
バルドが首を傾げる。
「なんというか」
「森のお家の近くに来る魔物さん達みたいです」
「?」
「春先に」
「結界に頭突きして」
「勝手に疲れて」
「最後は晩御飯になるんです」
「……」
「なんだそれ」
「似てます」
「似てるか?」
「似てます」
◇
バルドは。
ぷっと吹き出した。
「ははは」
「はははは!」
「なるほど」
「安心した」
「?」
「なんか」
「大丈夫そうだ」
力が抜ける。
「少し」
「寝る」
「バルドさん?」
「おう」
「後は任せた」
「……」
そのまま。
気を失った。
◇
リアは微笑んだ。
「ゆっくり休んでください」
「英雄さん」
シルフィネへ乗り込む。
「行こう」
「シルフィネちゃん」
「はい!」
『了解しました』
ノアが元気よく敬礼する。
◇
そして。
上空。
赤き竜。
緑の妖精。
そして。
地上で暴れる。
黒い鉄人形。
「レオンさん!」
「レンさん!」
「今行きます!」
夕陽の戦場。
戦いは。
まだ終わらない。
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