第十四話 遭遇
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。
敵との接敵から。
すでに半日。
荒野の戦場には。
鉄と咆哮が響き続けていた。
ガァァァ!!
巨大な武装した獣達「獣人族」
機兵ほどの体躯。
その一撃で振り下ろされた戦斧。
ドガァァン!!
一機の機兵が吹き飛ぶ。
「ぐああ!」
操縦席の騎士が血を吐いた。
機体も半壊。衝撃は内部まで届く。
「医療班!」
「後退させろ!」
「次!押されるな!!」
機兵隊が前に出る。
数体の機兵の集中攻撃
「ガァァ!」
獣人も倒れる。
しかし。
倒れながらも。
次の瞬間。
別の獣人が飛び込んでくる。
「化け物め!」
「怯むな!」
◇
数の上ではアストラ王国側が勝る。
機兵には多くの猛者が乗る
騎士。冒険者。
そして。
絶え間なく続く剣戟と機械音。
布陣した場所からの援護の魔法攻撃。
獣人達も異常だった。
強い。
速い。
そして。
恐れない。
いや。
戦いを楽しんでいる。
「笑ってやがる……」
若い騎士が震える。
「なんなんだあいつら……」
知性がある。
戦術も使う。
それなのに。
狂気じみている。
初めて見る敵。
アストラの兵達は半ば恐れながら戦っていた。
◇
その中央。
「左だ!」
「第三中隊下がれ!」
「第七機兵隊!」
「今だ!」
ティラント。
バルド辺境伯。
巨大な戦斧が振るわれる。
ドゴォォン!!
三体の獣人が吹き飛ぶ。
「負傷者を下げろ!」
「無理するな!」
「俺が出る!」
豪快な笑顔。
誰よりも前。
誰よりも危険な場所。
その背中が。
兵士達を奮い立たせていた。
「辺境伯だ!」
「ティラントが出た!」
「押し返せ!」
「おおおお!」
◇
「やはり」
「魔獣狩りとは勝手が違うな」
バルドは苦笑する。
獣人達は強い。
だからこそ。
面白い。
バルドの心はゲーマーのそれに戻っている。
「最高じゃねぇか!」
ティラントの咆哮。
ドガァァ!!
また一体。
獣人が吹き飛ぶ。
◇
一方。
獣人側。
「まただ」
白い毛並み。巨大な体躯。
ひと際豪華な鎧兜の獣人。
白虎。
獣人族を率いる将。
「……」
その目は一機の機兵を見ていた。
ティラント。
「邪魔だな」
こちらが勝機を掴もうとする度に
絶妙なタイミングで
あの巨人が現れる。
単騎で。
全部を壊す。
「何者だ」
「白虎様」
「中央突破失敗」
「またあの鉄人形です」
白虎の顔が険しくなる。
「あいつさえ」
「あの赤銅色の巨人さえいなければ」
「この戦」
「とっくに終わっていた」
◇
白虎は思う。
強い。
あの鉄人形。
獣人でも一撃を受ければ危険。
だが、疲れないはずがない。
「疲弊させろ」
「はい」
「焦るな」
「機会を待つ」
「一気に叩く」
「必ず隙はできる」
白虎は牙を剥いた。
「その時だ」
◇
砦。
国王本陣。
「ほう、敵もかなりの戦力のようだな。」
アレス六世は報告書を読む。
「拮抗か」
「はい」
「辺境伯がよく持ちこたえております」
「流石だ」
「うむ」
レオンも静かに頷いた。
「……」
顔色は暗い。
レオン宛に来た1通の報告書が報告を悩ませる。
「レオン?」
【現在接敵中の敵に獣人以外が見当たらない。】
【おそらくは、伏兵か温存か。いずれにしても】
【敵は本気ではない。お前たちも備えた方がいい】
「違和感?」
国王が問う。
「ええ。奴ら、何か企みがあるのか本気ではないようです。」
「本気じゃない敵と拮抗ってわが軍の劣勢では!?」
国王の護衛についている家臣が慌てている。
「ご安心を。」
「我らもまだまだ本気ではないので。」
「そうか、引き続き頼む。」
アレスと、エレノアは少し安心したようだ。
「……バルド様」
エレノアは空を見上げてひそかに祈る。
「陛下、お願いがあります。」
レオンは膝をつき礼を尽くした姿勢で伝える。
「私も、戦地に向かいます。」
「戦況が拮抗しているとすれば」
「敵も戦力を投入してくる頃合い」
「そうだな。では我も。」
「いけません!」
行動しようとする国王をレオンが静止する。
「大切な御身に何かあれば、国は滅亡の危機です。」
「お父様……」
「うむぅ。」
「口惜しいが仕方あるまい。」
「ならば、レオンよ。」
「我が王国の最強の剣となり敵を屠ってこい。」
「御意。」
(……そういうプレイが出来て感心するよ)
部屋の端で見ていたレンが手を挙げる。
「俺も行くぜ。」
「おお、皇帝ペンギン殿もいってくれるか!」
国王が立ち上がる
(なにそれ・・)
『この砦ではマスターはすっかりペンギンの王となってます。』
(あ、そう・・)
「戦友たちに先に逝かれちゃ、寝覚めが悪いので」
◇
レオンは窓の外を見る。
夕日。
戦場。
血煙。
そして。
遥か東。
「本命はまだ動いていないか・・」
ゲームで相対した種族の影を頭の中で追っていた。
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