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第十三話 天竜

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

「獣人族先遣隊、敵勢力と交戦を開始しました。」


巨大な水晶盤の前。


報告を受けた男は、不機嫌そうに目を細めた。


「ほう」


天竜。


竜人族の長。


長い寿命。


圧倒的な知性。


強靭な肉体。


新人連合の頂点に立つ存在。


その黄金の瞳が冷たく細められる。


「またか」


「はい」


「すでに数度の衝突を確認」


「敵は鉄人形の群れ」


「獣人族は交戦状態へ移行しています」


「……」


天竜は鼻を鳴らした。


「あの獣ども」


「統率という言葉を知らんのか」


「仕方ありますまい」


隣に控える竜人の老将が苦笑する。


「所詮は第二世代」


「我らとは思考も何もかもが違います」


「ふん」


天竜は玉座に腰を下ろした。


「目的のため」


「あえて手を組んでいるが」


「しょせん番犬風情」


「同胞ですらない」


「はい」



竜人族。彼らは誇り高かった。


傲慢ですらあった。


戦闘能力。


知性。


寿命。


環境適応能力。


全てにおいて他種族を上回る。


その自負があった。


そして知っている。


この世界の真実を。


竜人族に伝わる伝承。


飢える大地に母は強靭な力と生命力の「獣人」を造った。


次に住めなくなった地上に代わり母は地下に


「ドワーフ」を作り技術と知識を与えた。


次に疫病が猛威を振るう時代の土地に


母は「エルフ」を作り魔力と長寿命を与えた。


最後に我ら「竜人」を作り翼と天を与えた。


我らが先祖は母から授かる果実


「アンブロシア」を食べ最強の種として完成した。


「どれも先駆けに過ぎん」


「試作品」


「我らこそ完成された種」


「真なる人類」


「真人計画の到達点」


誰も異論を唱えない。


それは竜人族にとって常識だった。


「我らを生み出した母」


「アーカイブ」


天竜は世界樹の方角を見た。


「あれさえ」


「あれさえ我らの手に戻れば」


「全ては不要。」


「世界は再び我らのものとなる」



高い山々。


その頂。


竜人族の王城。


眼下には雲海。


遥か彼方。


うっすらと見える巨大な樹。


世界樹。


「旧人類の生き残り共も」


「面白いことを考えたものだ」


「我らを模倣し」


「鉄の人形を作り」


「数百年かけて戦力を増強するとは」


「実にほほえましい。」


老将が笑う。


「ですが」


「鉄人形も侮れません」


天竜の目が細くなる。



ここ数百年。


新人連合は苦しかった。


環境周期。


寒波。


熱波。


干ばつ。


魔獣。


戦争。


生きるだけで精一杯。


だが。


それも終わる。


「今や戦力は十分」


「一気に世界樹を掌握するか?」


若い竜人が尋ねた。


しかし。


天竜は首を振る。


「焦るな」


「同胞の血は流したくない」


「鉄人形も侮れん」


「何より」


「第二世代共が」


「戦いにいそしんでくれている」


「ゆっくり行けばよい」


「我らは勝者」


「待つことも強さだ」


「なるほど」



そして、アーカイブの存在。


「哀れなものだ」


「母の存在を知らぬ立場で」


「無自覚にその恩恵を受ける」


「旧人類のでがらしは」


「森にいる害虫だ。」


天竜は笑った。


「アーカイブ」


「母なる情報媒体」


「全てを司る知識の海」


天竜は玉座から立ち上がる。


「我らは最後に動く」


「それでよい」


「全軍出撃はまだだ」


「遺跡都市の確保」


「その後」


「世界樹」


「そして」


「アーカイブ」


黄金の瞳が輝く。


「今度こそ」


「今度こそ」


「この世界の覇権を取り戻す」


「真なる人類の時代を」


「再び」


次の瞬間。


ガォォォォォォォ!!


巨大な咆哮。


山岳の城全体を揺らす。


空を舞う飛竜達が一斉に羽ばたいた。


竜人達が頭を垂れる。


「我らの桃源郷は」


「もう近い!」



遥か西。


辺境砦。


「出撃!」


「第一陣前へ!」


「続け!」


「おおおお!!」


王国軍もまた。


数百年ぶりの戦争へ。


その第一歩を踏み出していた。


しかし、者とも知らない。


それぞれが


「真なる人類」


「正しき後継者」


と思っていることを。



読んでいただきありがとうございます。

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